【セッション概要】国立情報学研究所,情報処理学会,日本情報オリンピック委員会が共同で2020年4月より実施している,高校生,高専生のトップ才能に対して,世界最先端の情報学研究に触れてもらい,早期に研究を開始する「情報科学の達人」プログラムは,2023年度よりJST「次世代科学技術チャレンジプログラム」として新たなスタートを切っている.本企画では,本プログラムの取り組みを紹介するとともに,5期生(第二段階修了)ならびに6期生(第一段階修了)の各受講生によるポスター形式の研究成果発表を行う.
【略歴】早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長・教授, 国立情報学研究所客員教授, 株式会社エクスモーション 社外取締役, 株式会社SI&C顧問, 人間環境大学 顧問. IEEE Computer Society 2025 President. ISO/IEC/JTC1 SC7/WG20 Convenor. IoT・AI・DXリカレント教育 スマートエスイー事業責任者. 編著に『Guide to the Software Engineering Body of Knowledge (SWEBOK Guide), Version 4.0』『AIプロジェクトマネージャのための機械学習工学』『機械学習工学 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』『生成AIによるソフトウェア開発』ほか多数. 2021年 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進部門), 2022年 KDDI Foundation Award 本賞, Spirit of the Computer Society Award, 2023年 工学教育賞 経済産業省産業技術環境局長賞, ICEBE Best Paper, IEEE Computer Best Paperほか.
【略歴】静岡県立浜松工業高等学校情報技術科卒業,中京大学大学院情報科学研究科にて博士(認知科学)取得,静岡大学技術職員,同教育学部特任助教ほかを経て,現在同情報学部准教授.小学生から大学生までの情報教育において認知科学に基づく実践研究を行っている.情報処理学会理事(教育担当),文部科学省学校DX戦略アドバイザー等を務めている.
【講演概要】講演者は,現在,高校生・高専生のトップ才能(情報オリンピック経験者など)が,日本のトップ研究組織で研究遂行を行うJST 「情報科学の達人」と,大学院生,そして若手研究者対象のACT-X「数理・情報のフロンティア」の総括を行っている. 本講演では,本プログラムでの新たなる取り組み,5期生,6期生の受講生が行ったプログラムを紹介するとともに,これらのプログラムを通して10年間でどのように数多くのトップ研究者を育成していくかの展望を講演する.
【略歴】1998年慶応大学理工学部卒,2001年慶応大学理工学研究科後記博士課程終了(理学博士).2003年東北大学情報科学研究科助手,2006年国立情報学研究所助教授,2009年より同教授,2019年より同副所長.現在ビッグデータ数理国際センター長,およびJST ACT-X「数理・情報のフロンティア」の総括.離散数学,アルゴリズム,理論計算機科学からAI,データマイニングの研究に従事.2008年度IBM科学賞,2012年度日本学術振興会賞,日本学士院学術奨励賞.SODA’13 Best paper,2021年Fulkerson Prize,2024年フンボルト賞,2025年度 ACM Fellow2025. JST STELLA「情報科学の達人」コーディネータ
【講演概要】国際情報オリンピック (IOI) は,情報科学領域における国際科学オリンピックである.その目的は,中等教育段階の生徒が情報科学(コンピュータサイエンス)への興味関心を高めることや,各国から才能豊かな生徒を集め科学的経験や文化的経験を共有させることなどにある.情報オリンピック日本委員会では,中高生競技プログラマー日本一を決める日本情報オリンピック (JOI) の開催やIOI日本代表選手の選抜・派遣だけでなく,情報科学の普及啓発にも力を入れている.本講演では,JOI 女性部門・JOI 入門講座・国際情報科学コンテストビーバーチャレンジなどの普及活動や国際大会中の様子を含めて,情報オリンピック日本委員会の取り組みを紹介する.
【略歴】1994年早稲田大学大学院理工学研究科単位取得退学. 博士 (理学). 日本大学文理学部 教授. (一社)情報オリンピック日本委員会 専務理事. 情報処理学会情報入試委員会委員長. 計算論的位相幾何学・複雑ネットワーク解析などの研究,および,情報科学の普及活動に従事.IPSJ MOOC(https://sites.google.com/a.ipsj.or.jp/mooc/)「コンピュータとプログラミング」の制作に携わる.
ポスター/研究紹介ビデオ: https://www.nii.ac.jp/tatsujin/2026/3/tatsujinposter_video.pdf
| 展示 番号 |
ポスタータイトル・発表者・概要 |
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| #01 | 「UXsimを用いた熊本市における南北交通流の分散シミュレーション 」 |
| 熊本市を南北に貫く国道3号・57号では、朝の通勤時間帯に慢性的な渋滞が発生しており、深刻な課題となっている。渋滞緩和は通勤の時間ロスだけでなく、物流効率や環境負荷にも関わる。バイパスである熊本西環状道路が整備されつつある一方、交通流の適切な分散は十分ではない。既存の道路網を活用し、どの程度・どのように交通を分散させると効果的かを明らかにすることは重要である。しかし経路選択は需要やボトルネックの状態に応じて変化するため、ネットワーク全体での定量評価は難しい。そこでPython製交通流シミュレータ「UXsim」を用い、国道3号・57号および熊本西環状道路に関わる区間の簡易ネットワークを構築した。本研究では、熊本市の南部から北部へ向かう通勤時間帯(北行)を対象に、リンク容量を設定した上で、西環状道路への転換率(0?数十%)を変えるシナリオ分析を行った。 | |
| #02 | 「 LLMによるGUI更新時のヘルプページ自動更新手法 」 |
| 本研究では、サービスの更新によって古くなったGUIのヘルプページをLLMにより自動的に更新する手法を提案する。WebなどのGUIは頻繁に更新される一方、そのヘルプページが更新に追従できず古い手順が利用者の混乱を招くことがある。これまでもUIテストの自動修復は盛んに行われているが、要素同定に焦点が置かれ、ユーザーの作業手順の意味と到達条件を保った修復や、必要に応じた手順更新を扱う研究はほとんど行われていない。そこで本研究では、ヘルプページをステップ・操作対象・成功条件から成る実行可能な手順仕様へ変換することで、更新後のUI上で手順を実行して破綻するステップを同定する。また、LLMが失敗状況を能動的に収集し、最小編集パッチを生成する。提案手法の有効性を検証するため、オンラインのヘルプポータルから収集した事例に対して提案手法を適用し、修復の成功率と作業時間を評価した。 | |
| #03 | 「大規模時間割問題におけるLLMの活用分析と現行時間割との比較 」 |
| 高校などの教育機関では時間割の作成が毎年必須となるが、これを手作業で行っている学校も少なくないと考えられる。時間割作成の自動化が進みにくい背景の一つとして、教師の個人的希望といった定量化が困難な要素を、どのように制約や重みとしてモデルに組み込むかという課題が挙げられる。 そこで本研究では、既存の時間割データセットの形式を崩すことなく、教師の個人的希望を制約として追加できるような拡張手法を提案する。具体的には、自然言語で記述された教師の希望をLLMを用いて解析し、その重要度を数値化することで、最適化モデルに組み込む。 さらに、拡張されたデータセットを用いて最適化問題を解き、時間割の解を自動生成する。得られた時間割について、制約の満たされ方や計算効率の観点から評価を行うとともに、人手によって作成された現行の時間割との比較を通じて、本手法の有効性を定量的に検証することを目的とする。 | |
| #04 | 「音楽を聴いて生まれる感情の文化差は幼少期に聴いていた音楽と関係するか 」 |
| 本発表は音楽を聴いて生まれる感情の文化差は幼少期に聴いていた音楽と関係性について発表する。 音楽は人々の喜びや悲しみなどの感情を引き出したり、それにより消費活動を生み出したりする点で重要であり、音楽を聴いた時にどのような感情が生まれるかは聴き手の文化差に影響を受ける。 その文化差は幼少期に聴いていた音楽とどう関係するかということを本発表では分析する。 これを分析することにより、心理学・神経科学への発展や音楽マーケティングなど多方面へ貢献できる可能性がある。 分析のアプローチとしては、5か国で一般に広く聴かれている曲を抽出し、聴き手の文化により生まれる感情の差というものはその抽出された曲に依存しているという仮説のもと分析をする。 | |
| #05 | 「決定木探索アルゴリズムSPLITにおけるBeam Searchの有効性分析 」 |
| SPLITは、最適決定木学習器GOSDTを基盤とし、限られた深さの木をまず最適化した後、greedyに各葉を再帰的に分割することで高性能な決定木を構築する手法である。この二段階構成により、速度と精度の両立を図っている。本研究では、このSPLITの葉展開過程に着目し、greedyな探索に代えてbeam searchを導入する。各深さごとに複数の木候補を同時に保持・評価することで、局所最適に陥ることを防ぎ、より良い構造の決定木を探索できる可能性を検証する。特に、同一深さ制約下での性能比較を通じて、beam searchとそのbeam幅が木の深さ、損失、汎化性能に与える影響を定量的に分析し、SPLITにおける改善指針を明らかにする。 | |
| #06 | 「自己接触による視触覚同期刺激がOut-of-Body Illusionの強度及び性質に与える影響 」 |
| Out-of-Body Illusion(以下OBI)とは、自己の身体所有感や位置感覚が身体の外側に移動したかのように感じる感覚のことを指す。一般に、OBIの生起には外部視点からの視触覚同期刺激が必要とされている。 具体的には、VR空間のアバターを三人称視点から眺める状況で、アバターが撫でられている視覚刺激と自身の背中への触覚刺激を同期させることでOBIが生起することが先行研究により示されている。 これまでの研究では、接触刺激に関して第三者による受動的な提示条件が行われてきた一方で、被験者が自らの背中に接触刺激を与えた場合に生起するOBIによって、身体所有感や位置感覚の強度や性質がどう変化するかについては十分に調査されていない。 そこで本研究では、被験者の動きと同期するロボットアームを用いて、被験者による能動的な接触刺激を与えた条件下でのOBIの性質の相違について調査する。 | |
| #07 | 「VQEを用いた量子カーネルによるPES予測」 |
| 分子のポテンシャルエネルギー曲面(PES)予測は、化学反応解析や新材料設計の指針となる重要課題である。従来の機械学習手法は、分子中の原子配置や原子特徴量を利用するが、分子の量子状態を直接特徴量として利用することはできず、データが少ない領域での予測精度の低下が問題とされている。本研究ではこの問題に対し、分子の持つ量子状態を直接利用する量子カーネル法を提案する。具体的には、変分量子固有値ソルバー(VQE)で算出した分子の基底電子状態を用い、その量子状態間の内積をカーネル関数として計算する。物理法則に基づく量子状態を予測モデルに組み込むことで、精度向上が期待できるだけでなく、その解釈性も高くなる。実験の結果、提案手法が既存手法と比較して特に外挿性能で優れることを確認した。本成果は、対象系の物理的特徴量をモデルに組み込むことが、量子機械学習の性能向上につながることを示している。 | |
| #08 | 「リアルタイム処理向けプロセッサの優先度に基づくコンテキストキャッシュ管理機構」 |
| リアルタイムシステムにおいては、スケジューラが時間制約を優先度に変換し、優先度に従ってタスクを切り替えながら実行している。ここで、次に実行するタスクの選択やタスクの切り替えがオーバーヘッドとなる。タスク切り替えのオーバーヘッドの削減策として、コンテキスト情報を専用にキャッシュするコンテキストキャッシュという手法がある。しかし、この手法ではスケジューラによるタスクの選択のオーバーヘッドが依然として存在する。そこで本研究では、この問題を解決するため、ハードウエア管理機構を用いてコンテキストキャッシュ内のタスクの優先度を昇順で管理する手法を提案する。これにより、最高優先度のタスクを高速に取得することが可能になる。本研究により、スケジューリングのオーバーヘッドを削減し、リアルタイム処理の時間粒度を改善することができた。 | |
| #09 | 「機械学習を用いた上層大気の局所風況予測 」 |
| ロケットや気球の打上げ計画段階において局所的な高層風を事前に低コストで予測することを目的とし,機械学習を用いた上層大気の局所風況予測を行った。30年分の教師データを用いてリッジ回帰モデルで予測した結果、長期予測には限界があるものの、約2週間先までは高精度な予測が可能であり、風速ベクトルの誤差の大きさを33 knot以下の精度で予測することに成功した。また、一ヶ月以上前の気象情報を基に予測すると、季節など高次元化によって精度が悪化する可能性があることが示唆された。教師データ数を1から30年分に変えて比較したところ、5年分以上の教師データを用いることで、安定した予測精度が得られることが分かった。 | |
| #10 | 「ZDDを用いた「橋をかけろ」パズルの解列挙 」 |
| 「橋をかけろ」は,島(ノード)同士を橋(エッジ)で結び,すべての島を一つながりにすることを目的としたペンシルパズルである. 各島には接続される橋の本数が指定されている. また,橋は盤面上で直線として描かれ,互いに交差してはならない. 本パズルは解の存在判定問題が NP 完全であることが知られており,盤面サイズの増大に伴って解候補数が指数的に増加する. 本研究では,橋をかけろの盤面が与えられたとき,解を列挙することを目的とする. 解列挙は解の一意性判定や問題生成への応用が期待される一方,膨大な解を個別に扱うことは計算量的に困難である. そこで,解集合を圧縮表現する Zero-suppressed Decision Diagram(ZDD)を構築するフロンティア法を提案する. | |
| #11 | 「特定の確率分布におけるFree-Order Prophetの最適解 」 |
| Free-Order Prophetは、次のような問題である。 ・まずN個の確率分布が与えられる。そのうち1つを選び実現値を知り、それを選択するかしないかを決める、という動作を、どれかを選択するまで繰り返す。最終的に選択した値の期待値を最大化したい。 この問題は、一般的にはNP-Hardであり、少なくとも現時点では多項式時間で厳密解を求めることはできず、どちらかと言うと近似解を求める方向性の研究が多い。しかし、与えられる確率分布が特定の形状を満たしていれば多項式時間でも厳密解が求まるのではないかと考え、その「特定の形状」をいくつか試し、証明を試みた。具体的には、ある解におけるi番目とi+1番目に選ぶ要素をswapすることでの差分を考えた。 | |
| #12 | 「順序固定テンパズルの解の一意性解析 」 |
| テンパズルとは、与えられた四桁の整数を4つの一桁の整数とみなし、これに四則演算と括弧を用いて10を表す式を作るパズルである。整数の順序は固定される場合と固定されない場合がある。本研究では整数の順序が固定される場合のテンパズルについて、与えられる整数をN桁へと一般化し、その解の一意性について研究する。 入力長Nの増加に伴い構成可能な式の数は指数的に増大するため、解の全列挙や数え上げは困難である。そこで本研究では、まず区間動的計画法を用いた効率的な解の数え上げアルゴリズムを提案する。次に提案手法を実際に実装、実行時間を計測することで、提案手法が全列挙による数え上げよりも十分高速に動作することを確認する。 さらに提案手法を活用し、Nが十分大きいとき、解が一意であるようなテンパズルは存在しないことを示す。また目標値が1から50の場合について、その具体的な閾値を与える。 | |
| #13 | 「C-Raftにおける遅延増加と可用性のトレードオフを考慮した動的クラスタ再編 」 |
| C-Raftは、地理的・物理的に近いノードをクラスタとしてまとめ、クラスタ内とクラスタ間で二段階の合意を行い、クラスタ内の低遅延通信を利用して高いスループットを実現する階層型Raftである。しかし、クラスタのサイズが偏り、小規模なクラスタが生じると、そのクラスタの耐障害性が低下して可用性を損ない得る。本研究では、グローバルリーダーがクラスタサイズと遅延指標を監視し、閾値を超えるクラスタサイズの不均衡が発生した際にノード移動を指示する動的なクラスタ再編手法を提案する。さらに、ノード移動によってクラスタ内での遅延が増加しスループットが低下する可能性があるため、スループットの低下とクラスタの可用性向上のトレードオフを定量的に評価し、最適な移動プランを探索することを目標とする。 | |
| #14 | 「判じ絵を用いた高度な画像理解能力の測定 」 |
| 高度に画像を理解することはしばしば人間にも困難なタスクである。ましてやVLMには困難なタスクだ。 高度な画像理解能力を測定する方法として、「判じ絵」の読解を提案する。 判じ絵とは、日本では江戸時代ごろからある、絵の要素を組み合わせて答えを表すなぞなぞである。 例えば、戸とその上に歯が書いてあり、鳩を示すものがある。判じ絵のデータは国立国会図書館のwebページに掲載されているものを利用し、モデルはQwen2.5 VL 3b及び7b、またSarashina2.2 vision 3bの3モデルを利用した。それぞれについて、ヒントを「ヒントなし」「答えのカテゴリーを教える」「国立国会図書館のデータに付属していたヒントを与える」「国立国会図書館のデータに付属していたヒントと答えのカテゴリーを教える」の4段階に分け、加えてFewShotの有無による正答率の差に関しても検証を行い、それぞれのモデルに関し、正答率などをもとに性能の検証を行う。 | |
| #15 | |
| #16 | 「双安定テープスプリングの4Dプリント」 |
| 本研究ではFused Deposition Modeling (FDM)方式の3Dプリンタと4Dプリントという技術を組み合わせて、双安定テープスプリングを造形する手法を提案する。双安定テープスプリングとは、外力によってシートに近い初期形状からもう1つの安定形状へ遷移させられる構造のことであり、日常的にはスラップバンドなどに利用される。しかし、双安定テープスプリングに求められる初期形状は2方向にゆるく湾曲していなければならず、本質的に平たく造形できない。そこで本研究では、3Dプリントによって双安定テープスプリングを一度平たく造形し、印刷後の加熱によって湾曲した初期形状に変形させる手法を実現する。 | |
| #17 | 「Bron-Kerbosch algorithm におけるピボット選択戦略と頂点順序の比較」 |
| 最大クリーク問題とはグラフ理論における代表的なNP困難問題の一つで、任意の2頂点間に辺のある部分グラフ(クリーク)のうち最大のものを見つける問題である。その解法として、再帰的なバックトラックに基づきグラフのすべての極大クリークを列挙する Bron-Kerbosch algorithm が広く用いられている。本アルゴリズムはピボット選択により枝刈りを行い計算量を大幅に改善できることが知られている。このとき、ピボットと頂点探索の順序は、グラフの Degeneracy や Degree に基づいたものなど、様々な種類が挙げられる。本研究では、探索するグラフの構造的特性に応じて、ピボット選択と頂点探索の順序づけの方法の違いが本アルゴリズムの計算量にどのような影響を与えるのかを分析することを目的とする。 | |
| #18 | 「星の識別アルゴリズム 」 |
| 宇宙空間で宇宙機が自身の姿勢を把握するためには、周囲に見える星を手がかりとする方法が用いられる。センサーで取得した画像から星を検出し、星同士の角距離などの幾何学的関係を星カタログと照合することで視野内の星を識別し、その結果から姿勢を決定する。この一連の処理は、星の検出、星の識別、姿勢計算の三段階に分けられる。本研究ではこのうち、星同士の角距離情報を用いて星を識別する過程に着目し、既存の星識別アルゴリズムの比較と検討を行った。 | |
| #19 | 「計算幾何を用いた関数値のK-th largest queryの計算高速化と応用 」 |
| 座標平面上に定義された複数の一次関数に対し,関数値の大小関係(特に最大値,最小値)を求める問題の解法は,Convex Hull Trick(CHT)やSegment Treeベースのデータ構造によって提案されてきた. 一方,同一の関数形状を持つ関数集合に対して,K-th elementを求めるのは一般的に難しいことで知られており,平方分割を用いても計算量が大幅に大きくなるケースがある. そこで,本研究では入力の数が十分に大きいことを前提に,入力パラメータ空間に注目してマッチングや数え上げ問題に帰着させることでK-th largest queryを高速に処理するアルゴリズムを提案する. さらに,一次関数に限らず,対数関数・指数関数・定数関数などが組み合わさった関数族に対しても,本手法が適用可能であることを検証する. 最後に,これらの問題が解決されることによって期待される応用例についても述べる. | |
| #20 | 「視覚野におけるグローバルフィードバック機能を模倣したDeep Spiking Neural Networkの提案 」 |
| Spiking Neural Network(SNN)は脳の情報処理を模倣し、情報をスパイク表現として扱うことで高い生物学的妥当性を有する一方、教師なしの学習は局所的な学習則に基づくため、タスク性能の向上が困難であるという課題を抱えている。実際の視覚野では、局所的な可塑性に加えて、上位皮質からのグローバルなフィードバック信号が下位層の学習を調整していると考えられているが、このような機構は、従来の深層SNNには十分に取り入れられていない。そこで本研究では、局所的な教師なしによる事前学習後に、教師あり学習によって得られる出力誤差を、直接的な誤差逆伝播ではなくランダム射影を用いたグローバルなフィードバック信号として下位層へ伝播させ、重みを修正する学習手法を提案する。本手法は、局所的な可塑性と大域的な誤差修正を組み合わせることで、生物学的に形成された受容野を保持したまま上位皮質によるフィードバック機能を模倣し、 SNN の性能向上を実現する。 | |
| #21 | 「制約誘導型概念生成に基づくLLMを用いた構成的説明可能ニューラルネットワーク 」 |
| 近年、ニューラルネットワークを用いた機械学習は高い予測性能を示している一方、モデル内部の判断根拠が不明瞭である説明可能性の問題が指摘されています。 既存の特徴量エンジニアリングは人による設計に依存するため、再現性、労力等に課題があります。また、近年の説明可能人工知能(XAI)手法の多くは学習後に説明を行う事象的な(post-hoc explainability)アプローチに留まっています。 本研究では、大規模言語モデル(LLM)を論理的、意味的制約に基づく「概念生成器」として用い、生成された概念的特徴をニューラルネットワークの構造に組み込みます。 当該提案手法により、特徴の生成過程、そして中間表現の意味が明示された構成的に説明可能なニューラルネットワークモデルの設計が可能となります。 数値データ、又は画像データに対する適用例を通じて、提案手法が、枝刈りによる処理軽量化、説明可能性・モデルの透明性と学習性能の両立を目指します。 | |
| #22 | 「n 頂点の Cubic Graph における単純パスの数のオーダー評価 」 |
| $n$(偶数)頂点の単純なCubic Graph $G_n$ における、頂点1を始点とする単純パスの個数を $p_n$ とする。 この研究では、$p_n$ が $\Theta^*(2^{n/2})$ であることを示した。 より詳しくは、以下を示した。 $(1)$ 上界:$p_n = O(n 2^{n/2})$: 次数 $3$ の頂点の数が二択を迫られるごとに減っていくことに着目すると証明できる。 $(2)$ 下界:$p_n = \Omega(2^{n/2})$: 長さ $n/2$ のループ二つを繋げたものにおいて、パスの数が $2^{n/2-1}$ 個あることが示せる。 | |
| #23 | 「ナッシュ積を用いた予算分配の改善 」 |
| 部費の予算分配は申請品の使用目的などを踏まえて行うため、実際と異なる希望順を提示するような戦略によって本来より高い金額を獲得できるということは発生しうる。しかし、そのような申請は需要に沿った予算の分配を難しくするので、見抜けなくともできるだけ避ける必要がある。したがって、戦略的な申請をしてもあまり大きな便益を得られないような分配の決定方法を考えることが重要となる。 ナッシュ積は複数人で物を分ける時にしばしば用いられる。ナッシュ積とは大雑把に言えば各人の分配額と交渉決裂時の分配額の差を因数に持つ多項式の積である。ナッシュ積は連続的なものを分配するときの最適な分け方を効率的に導き出す。 本研究では優先順位の虚偽申告による便益が小さくなるような分配方法をナッシュ積を用いて検討した。ナッシュ積の工夫については因数の指数や定数倍などの調整を行った。ソフト面では実用性を考えた手順の工夫を中心に行った。 | |
| #24 | 「オンラインコマースサイトの商品画像を入力とした衣服の3Dモデル生成」 |
| 本研究では、オンラインコマースサイトに存在する衣服の画像を入力として、対応する衣服の3Dモデルを生成する。また、3Dモデル化された衣服をアバターに着せてバーチャルフィッティングを実現する。オンラインコマースサイトでは多数の衣服がモデルの着用画像と共に販売されているものの、一般ユーザーが自身の体型で着用感を把握することは困難であった。そこで本研究では、ウェブサイトに存在する1枚または複数枚の衣服画像を入力として3Dモデルを生成した。このとき、与えられた画像からいきなり3Dモデルを生成するのではなく、衣服の4面図を中間データとして生成することで、より現実の衣服に近いモデル生成が可能になる事例を発見した。また、生成された3Dモデルをアバターにフィッティングする機能を実装し、そのアバターの体型をスライダー操作で変更可能にした。これにより、コマースサイトを利用するユーザにより近い条件で衣服の着用感を確認できるようになった。 | |
| #25 | 「短時間実行環境における遺伝的アルゴリズムの改良」 |
| 遺伝的アルゴリズムは生物の進化、遺伝の仕組みを模倣し、厳密解を出せないような複雑な問題に対して近似解を探索するメタヒューリスティックのアルゴリズムであり、組合せ最適化や機械学習など様々な分野で利用されている。 遺伝的アルゴリズムは局所探索法などのほかのメタヒューリスティックの手法に比べて比較的長い実行時間が必要であるため、短い実行時間で問題を解く場合、局所探索法などの手法に勝ることは難しい。 特に実行制限時間が短いインターネット上のマラソン系プログラミングコンテストなどでは、遺伝的アルゴリズムが使われることは稀である。 そこで本研究では短い実行時間でも従来の遺伝的アルゴリズムよりも高いスコアを出すことができる新しい遺伝的アルゴリズムの手法について考察し、従来の手法と比較を行う。 | |
| #26 | 「ZDDを用いたresistance distance制約付き部分グラフの列挙」 |
| resistance distance (effective resistance)とは、単純連結無向グラフの各辺を1Ωの抵抗と見なしたとき、任意の2頂点について、その間の合成抵抗として定義される値であり、ネットワーク上の頂点間の結びつきの強さを表す指標として用いられる。 本研究では、あるグラフGの2頂点x, yとある値Tに対し、x, y間のresistance distanceがT以下となるGの部分グラフの列挙という問題を考える。これは、x, y間のロバスト性を保ちながらどれだけ辺を削除できるかを評価するのに有用だが、解集合は指数サイズになり得るため、愚直な列挙は一般のグラフでは現実的でない。 そこで、木幅の小さいグラフに着目し、フロンティア法により解集合をZDDとして構築する。さらに、各辺が独立に確率的に故障する(削除される)モデルの下で、x, y間のresistance distanceがT以下となる確率をこのZDDから高速に計算することを目指す。 | |
| #27 | 「GANによるマルウェア検知におけるリプレイサンプル生成の効率化 」 |
| マルウェアは日々進化し続けており、検知モデルには新種への対応と同時に、過去のマルウェアに対する検知能力の維持が求められる。しかし、モデルを新しいデータで継続的に学習させると、過去に学習した知識が失われる「破滅的忘却」が生じてしまう。この問題への対処法として、GAN を用いて過去データを生成し再学習に利用する生成リプレイ型手法が提案されている。生成リプレイ型手法では、過去タスクのデータ分布を再現するために GAN を用いて多数のマルウェアサンプルを生成し、その中から学習に有効なサンプルを選択する方法が一般的である。しかしこの方法では、大量のサンプル生成と評価が必要となり、計算コストが高くなるという問題がある。さらに、生成されたサンプルの中には分類性能の向上に寄与しないものも多く含まれており、効率的ではない。本研究では、生成リプレイにおけるサンプル生成および選択の過程に着目し、分類器の学習にとって有用なサンプルをより効率的に扱うことを目的とする。 | |
| #28 | 「Wi-Fi CSIを用いた非侵襲的なSAS検出システムの可能性」 |
| 本研究では,Wi-FiのCSI(Channel State Information:チャネル状態情報)を用いることにより,SAS(Sleep Apnea Syndrome:睡眠時無呼吸症候群)を非侵襲的に検出する可能性について検討する.日本呼吸器学会によれば,成人男性の約3~7%,成人女性の約2~5%がSAS患者であるとされている.既存の検査手法では,体中に電極を装着する必要があるため被験者に身体的負担を与えるほか,病院における終夜計測により緊張などの影響を受け,日常的な睡眠状態を正確に測定できないという課題が存在する. そこで,Wi-Fi CSIの振幅における局所ピークを検出することで,被験者の身体にセンサ等を装着することなく呼吸数を計測する手法を用い,SASのスクリーニング検査および潜在的なSAS患者の発見への応用可能性について調査する. | |
| #29 | 「深層強化学習を用いた鉄道運行ダイヤの作成」 |
| 日本の都市圏における鉄道の運行ダイヤは、線路容量など複数の物理的制約の下で様々な利用者にとって便利な計画を組む必要があり、その複雑さから現在でも人の手により作成されていることが多い。 ま従来手法では乗車時間の合計など単一の指標を最適化するものが多いが、公共インフラである鉄道においては、一部の利用者のみが大きな不便益を受けないよう、単一の指標における最適性よりも公平性が優先されるべき場合がある。 本研究では、利用者の都合を反映する目的関数を検討した上で、Deep Q-Networkを用いて運行ダイヤを作成し、計算時間や解の精度について従来手法と比較する。 | |
| #30 | 「ステップニューロン集団としての活性化関数解釈に基づく重み学習 」 |
| sigmoid 関数は、ステップ関数を活性化関数とする多数の小ニューロンの集団平均発火率を表すと解釈できる。しかし通常のニューラルネットワークでは、sigmoid を 1 つの活性化として用いることで、背後に暗に存在する小ニューロン群の重みが共通に拘束され、生物学的に不自然である。本研究では、小ニューロン群をグループとして統合し、平均・分散(モーメント)と入力方向感度(共分散の低ランク近似)で確率的挙動を近似しつつ、内部の重み自由度を学習可能にするモデル(Moment モデル)を提案する。PyTorch で実装し、XOR と MNIST で検証したところ、同等パラメータ数の純粋 sigmoid ネットワーク(Base モデル)よりも高速に収束する傾向が確認された。 | |
| #31 | |
| 以下URLを参照 https://www.nii.ac.jp/tatsujin/2026/3/tatsujinposter_video.pdf | |
| #32 | |
| 以下URLを参照 https://www.nii.ac.jp/tatsujin/2026/3/tatsujinposter_video.pdf | |
| #33 | 「機械学習を用いた悪性サーバーの検出」 |
| TLSフィンガープリンティングはさまざまな情報の検出に応用できる。例えばDissecTLSはサーバーパラメータの除外して再帰的にClient Helloを送信することで幅広い情報を含むフィンガープリンティングを作成でき、悪性サーバーの検出にも応用できる。しかし、DissecTLSは多数のClient Helloを送信するという欠点がある。そこで本研究では機械学習を用いて効率的に悪性サーバーの検出を行うことを焦点とする。 | |
| #34 | 「Minecraftエージェント実験環境の構築と階層的エージェントにおけるLow-Level Controllerの改善 」 |
| 自律型AIエージェントについて、High-Level Planner(HLP)とLow-Level Controller(LLC)の二段構成の階層的実装が普及している。またタスク失敗時の回復LLCも別途用意することで、タスク成功率を向上させる試みも提案されている。しかし、それら手法は局所的停滞による失敗判定をタイムアウトのみで行っており、行動履歴や状態遷移に基づく動的な判断までは踏み込めておらず、質的には不十分なものであった。そこで本研究では、複雑なタスクにおいて局所的停滞が発生しやすいMinecraftを例に取って、局所的停滞を動的に判断し、LLCに与える指示情報を変更し、自律的に局所的停滞から脱出しタスクを終える手順を踏む自律型エージェントを構築した。局所的停滞からの脱出を目的としたタスク完了率ならびに中長期タスクの完了率が変更前の手法と比較して向上し、本提案手法の有効性が示された。 | |
| #35 | 「境界同一視された膜電位空間上のWasserstein–Fisher–Rao勾配流としてのスパイキング推論」 |
| 本研究は、スパイク神経系におけるスパイクとリセットを伴う状態遷移を、測度空間上の連続な勾配流として統一的に扱う理論枠組みを提案する。膜電位分布を非負測度で表し、Wasserstein–Fisher–Rao計量に基づく不均衡最適輸送の勾配流として推論過程を定式化した。不連続なスパイク・リセットを連続的な流れとして内部化するため、膜電位区間の端点を同一視して円環構造を導入した。入力電流がエネルギー汎関数により定まる化学ポテンシャルを歪め、その歪んだポテンシャル上で分布ρが輸送されると同時に、反応項によって応答感度に基づく再重み付けが生じる過程を、本モデルにおける観測データへの適合(推論)として捉える。学習はこの推論力学を制約として作用最小化問題に定式化し、離散随伴法により勾配を導出した。導かれる学習則は生物学的な整合性を持つ局所的な pre×post 形式を持ち、適格性トレースはシナプスフィルタのグリーン関数として解釈できる。 | |
| #36 | 「Simple Visual Artifact Detection in Sora-Generated Videos and Quantitative Comparison of Video Generation Models 」 |
| 本研究は、昨年度報告した「動画生成AI Soraが生成するアーティファクトに関する研究」を発展させ、Sora生成動画のフレーム単位評価と動画生成モデル間の定量比較を行った。まずSoraの10秒動画からフレームを抽出し、輪郭の乱れや物体の不整合などのアーティファクト有無を人手でラベル付けしてマルチラベル分類器を学習し、破綻を自動検出する簡易検出器を構築した。さらに、Flickr8kのプロンプトからSora、Runway Gen-3 Alpha、ImagineArtで生成した5秒動画を対象に、FID/PSNR/SSIMに基づく画質比較を実施した。但し、自動指標のみでは捉えにくい不自然さの扱いという課題は残っており、時間的一貫性等の観点から整理し、真正性確認やディープフェイク検出・対策の評価設計に応用可能な手法を検討する。 | |
| #37 | 「情報量規準 WAIC と LOOIC の比較」 |
| 情報量規準は、条件の異なるモデル間の比較におけるバイアスを取り除き、比較を容易にするためのものである。この中で、渡邉(2010) によって提案された WAIC は、クロスバリデーション的な方法(LOOIC)と期待値の面で漸近的にある程度のオーダーまで一致することが知られている。 このポスターでは、 WAIC と LOOIC の両者を解析的に計算可能な例などを用いて比較し、 WAIC と LOOIC の挙動を数理的に比較することを目標とする。 | |
| #38 | 「遮蔽に強い単眼映像からの3D動物運動推定 」 |
| CG・ゲーム制作において、動物のアニメーションは広く利用されている。アニメーションの生き物らしさは運動のリアリティに大きく左右されるが、人間と異なり、動物にはモーションキャプチャースーツを装着することが困難である。 マーカーレス動物モーションキャプチャーは、マーカーを使用せずに単眼動画から姿勢や運動を推定し定量化する技術であり、SMALと呼ばれる動物の3D体形を少数のパラメータで表現する形状モデルが広く使われている。 しかし、既存手法では遮蔽によって観測が欠けると推定が不安定になるという課題があった。そこで本研究では、SMALのパラメータを動画全体で最適化することにより、遮蔽区間においても動物の動きを連続的に復元するアプローチを採用した。屋内外の実環境データおよび合成データを用いて、遮蔽率別の誤差や再構成率を評価する。 | |
| #39 | 「群ラベル付きグラフにおいて 2 点を通る非零閉路を発見する準線形時間アルゴリズム」 |
| 群ラベル付きグラフにおける非零制約は、偶奇制約や位相幾何学的な制約の一般化であり、非零な閉路を 1 つ見つけるのは容易である。しかし、特定の頂点部分集合を通るような閉路を見つけるのは、非零制約が無い場合でも難しい。本研究では、全ての要素の位数が 2 以下である可換群でラベル付けされた無向グラフを対象とし、指定された 2 頂点 s, t を通る非零閉路を発見する準線形時間の決定性アルゴリズムを提案する。本手法は、指定された 3 頂点を通る閉路の発見に対する Fleischner and Woeginger (1992) のアルゴリズムの拡張であり、より一般的な問題を解くものである。 | |
| #40 | 「RowHammer を用いたRISC-V Keystone TEEに対する特権昇格手法の検討 」 |
| Trusted Execution Environment (TEE) は隔離された環境で安全にコードを実行する技術であり,医療や認証などセキュリティが重要なシステムでの活用が広がっている.TEE の安全性に関し,特定のTEE 実装ではSpectreなどの攻撃により保護された機密情報が搾取できることが知られている.一方で,TEE の安全性のRowHammer への耐性についてはほとんど議論が行われていない.本研究では, RISC-VのTEEであるKeystone において,DRAM に保存されている管理情報がRowHammerによって攻撃を受けると特権昇格が発生すること,Context-Switch を大量に発生させることにより当該管理情報に対しRowHammer を引き起こせることを発見した.これらのアイディアをシミュレータ上で検証し,一定の条件下で実際に特権昇格できることを確認した. | |
| #41 | 「CHaserにおける敵位置の予測」 |
| 近年様々なプログラミングコンテストが開催されています。CHaserもその一つです。このコンテストでは、2人のプレイヤーがマップ上にあるアイテムを集めて、アイテムの獲得数を競います。事前にプログラミングしておき、自律的に操作します。ルール上できるだけ敵から離れながらアイテムを集めることが必要です。しかし、敵の位置はわからないため、予測することで、より勝率を上げることができるのではないかと考えました。今回の研究では予測の手法を考え、実際にどれほど効果があるのか検証しました。 | |
| #42 | 「高さ関数が与えられた半順序集合上のDR劣モジュラ関数について」 |
| 劣モジュラ関数は限界効用逓減性を持つ集合関数であり、例としてはグラフのカット関数やモジュラ関数、被覆関数などがある。また、その最大化や最小化は機械学習にも応用がある。劣モジュラ関数の定義域はある集合の部分集合全体の集合だが、応用の際には目的関数の定義域が分配束やモジュラ束を成しているような場合を考えることもある。このような場合でも劣モジュラ関数と同じような議論を可能にするためにDR劣モジュラ関数が定義された。 本研究では適当な高さ関数が与えられている半順序集合上でのDR劣モジュラ関数を定義し、部分列挙と貪欲法を用いて単調DR劣モジュラ関数の高さ制約下での最大化問題において通常の劣モジュラ関数の場合と類似した結果を得た。また、その際に得られた定理がナップサック制約下での劣モジュラ関数の最大化における既知の定理の一般化になっていることを確認した。 | |
| #43 | 「輸送問題の計算量下界」 |
| 輸送問題は, 例えば倉庫から市場への物資輸送にかかるコストを最小化するような数理最適化問題であり, コスト行列が Monge 行列の場合, 貪欲法で O(n+m) で解けることが知られています. また, この貪欲法は Monge Sequence というクラスに一般化でき, この Monge Sequence は O(m^2 n log n) の検出アルゴリズムが提示されています. ここで, コスト行列が Monge 行列でない場合に O(n+m) で解くことができるでしょうか. 本研究では「コスト行列が Monge 行列の行と列をシャッフルした行列であるときに輸送問題は ω(n+m) クエリを必要とする」ことを示し, この問いを否定的に解決しました. | |
| #44 | 「AI基盤モデルによる習字評価 」 |
| 本研究では、AI基盤モデル(Claude、ChatGPT、Gemini)による習字画像評価の可能性を検証し、ルールベースのOpenCV評価システムと比較する。まず、各AI基盤モデルに習字画像とプロンプトを入力し、評価能力を測定する。次に、画像生成AIで習字画像を生成し、異なるモデル間でクロス評価を実施する。さらに、評価結果のフィードバックを画像生成AIに再入力する反復改善プロセスを構築し、何回の繰り返しで改善が収束するかを調査する。並行して、OpenCVを用いた習字評価システムを構築し、線の太さ、バランス、はらい・はねなどの特徴量を定量化する。両アプローチを比較することで、AI基盤モデルと人間が設計したルールベースシステムそれぞれの強みと弱みを明らかにし、習字評価における最適なアプローチを探る。 | |
| #45 | 「予測符号化モデルを用いた規則・不規則パターンのゲーティングによる能動的推論」 |
| 予測符号化(Predictive Coding)は、脳が外部からの感覚情報に対して予測を行い、実際の感覚情報の入力との予測誤差について処理を行うという理論仮説である。 脳が、自由エネルギー原理に基づく、予測誤差を最小化しようとする枠組みで、知覚と行動を統一的に説明する理論である。 本研究では、大脳皮質の局所回路を再帰機構を持つ階層的予測符号化としてモデル化し、Rao&Ballard型の階層的予測符号化ネットワーク、上位階層が下位階層の状態遷移をモジュレートするDynamic Predictive Coding(DPC)、PredNetをベースとして用いたエージェントを実装し、正弦波による規則的パターンと、ノイズによる不規則パターンをゲーティングし観測・予測対象として与えることで、二次元環境でのターゲットに向かう行動の獲得や、MNISTなどの画像データの分類を行わせた。 | |
| #46 | 「
金継ぎの特徴を生かした変換パイプラインの提案」 |
| 大量消費社会の進行により廃棄物の増加や資源枯渇が深刻化する中、日本の伝統技法である金継ぎは、一つのものを長く美しく使い続ける持続可能な価値観を体現している。本研究では、金継ぎの持つ持続可能性と美しさをAIを通じて発信することを目的とし、3D点群データと作品の情報を記述したナラティブを組み合わせたデータセットの作成手法を提案する。1枚の金継ぎ画像を入力とし、背景除去、金継ぎ線抽出、破片分割、点群生成、ナラティブ付与から成る変換パイプラインを設計・実装した。人工データおよび実データを用いた2種類の実験の結果、約40万点規模の点群を約210秒で自動作成でき、作成の容易性を示した。さらに色情報の反映に加え、ナラティブを普遍的な情報を記述したメタデータと作者の意図を記述したストーリーに分けて保存することで、金継ぎ本来の美しさを保存した。本研究は、金継ぎの美しさや作者の思いをデータとして保存し、発信するための手法を示した。 | |
| #47 | 「盤面を回転して揃えるパズルの最適化手法 」 |
| 本研究では、正方形盤面の一部を回転させ、同じ数字のペアを隣接させるパズルの高速解法を提案した。単純なビームサーチでは、盤面の拡大に伴い状態数が爆発的に増加し、既存のペアが移動を妨げる干渉が発生することで探索が停滞する課題があった。この課題を解決するため、中央の広いスペースでペアを塔としてまとめ、操作によって塔を倒して外周へ運ぶ「タワードロップ法」を考案した。評価関数で塔の形成を促しつつ外周への移動を優先させることで、探索の多様性確保と効率的なペア運搬を両立させた手法である。第36回全国高等専門学校プログラミングコンテストの本戦に参加し、24×24の大規模盤面で全国1位の手数を記録して優勝を果たした。 | |
| #48 | 「GraphCodeBERTを用いたソースコードの時間計算量の推定」 |
| ソースコードの時間計算量を評価するのは難しいタスクである。複数回の処理の際に結果を再利用するなどの手法により一見した計算量よりも改善させることができる場合がある。しかし、たとえばこの改善手法が上手くいっていない場合、想定と実際の実行時間に大きな差が生じる可能性がある。精度の高い計算量の推定ができれば、想定との剥離を認識することが可能なのでより効率的なコードの作成に貢献することができると考えられる。 本研究ではGraphCodeBERTを用いた計算量の推定について調査する。また、その応用手法を提案する。 |