情報処理学会第87回全国大会 会期:2025年3月13日~15日 会場:立命館大学

Society 5.0時代の安心・安全・信頼を支える基盤ソフトウェア技術の構築

日時:2025/3/15(土) 9:30-12:00

会場:第4イベント会場

【セッション概要】わが国が提唱するSociety 5.0が目指す社会の実現のためには、プライバシーやセキュリティー、知的財産などの安全を確保した上で、自由に「データ」が流通することが必要である。令和3年度の文部科学省の戦略的創造研究推進事業の戦略目標の一つとして「Society 5.0時代 の安心・安全・信頼を支える基盤ソフトウエアの研究開発」が設けられ、同年よりこれに基づいてJST CREST、さきがけ研究が実施されてきた。また令和6年度からはそれを戦略目標に含むJST ACT-X研究領域として「AI共生社会を拓くサイバーインフラストラクチャ」が設定された。本セッションでは、これらCREST、さきがけ、ACT-Xに採択された研究者の発表とアドバイザーを中心としたパネルを実施し、その取り組みや技術課題を紹介・議論するとともに、令和7年度のACT-Xの公募について紹介する。

10:00-10:05 オープニング

東野 輝夫(京都橘大学 工学部 情報工学科 教授・副学長)

東野 輝夫

【略歴】京都橘大学工学部情報工学科・教授・副学長。大阪大学・特任教授・兼務。1984年大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了。工学博士。1999年大阪大学教授、2002年同情報科学研究科教授。2021年京都橘大学工学部教授。モバイルコンピューティングやサイバー・フィジカル・システムに関する研究に従事。文部科学省「Society 5.0実現化研究拠点支援事業」研究開発課題責任者。情報処理学会元副会長。JST さきがけ「ICT基盤強化」研究総括。

10:05-10:25 講演(1) ACT-X「AI共生社会を拓くサイバーインフラストラクチャ」について

下條 真司(青森大学 ソフトウェア情報学部 教授)

下條 真司

【講演概要】JSTで2025年より開始されたact-xプログラム「サイバーインフラ」について,紹介するとともに,第1期採択の概要及び研究者の方から研究内容について紹介いただく.本プログラムでは,今後、AIをより広く社会で利用していくためには、このデータ流通の中核となる次世代のサイバーインフラストラクチャ(CI)を構築するための様々な課題に対応し、通信や計算における様々な技術的限界やサービス・アーキテクチャの変化による従来の考え方・原理の限界を打破するような独創的なアイデアを持ち、技術と社会の新たな分野を切り拓いていける優秀な若手研究者を育成していくことを目指したものである.「将来的に情報通信・情報科学の革新につながる技術」というキーワードのもとに、若手研究者の新たな発想に基づいた、次世代のCIの創造につながる挑戦的な研究を推進していく。R7年度の公募に向けて広く興味のある方々に参加いただきたい.

【略歴】大阪大学基礎工学部大学院後期課程, 昭和61年3月修了. 平成10年4月同教授、平成12年4月同大学サイバーメディアセンター副センター長、平成17年8月 同大阪大学センター長、平成19年8月 同副センター長、平成20年4月から3年間 情報通信研究機構大手町ネットワーク研究統括センター センター長/上席研究員。平成23年4月サイバーメディアセンター教授. 退職,令和5年4月より青森大学ソフトウェア情報学部教授.現在に至る. 大阪大学名誉教授.

10:25-10:35 講演(2) さきがけ「ICT基盤強化」について

東野 輝夫(京都橘大学 工学部 情報工学科 教授・副学長)

東野 輝夫

【略歴】京都橘大学工学部情報工学科・教授・副学長。大阪大学・特任教授・兼務。1984年大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了。工学博士。1999年大阪大学教授、2002年同情報科学研究科教授。2021年京都橘大学工学部教授。モバイルコンピューティングやサイバー・フィジカル・システムに関する研究に従事。文部科学省「Society 5.0実現化研究拠点支援事業」研究開発課題責任者。情報処理学会元副会長。JST さきがけ「ICT基盤強化」研究総括。

10:35-10:45 講演(3) NSF SaTC (Secure and Trustworthy Cyberspace) Programについて

岡部 寿男(京都大学 学術情報メディアセンター)

岡部 寿男

【略歴】1988年京都大学大学院工学研究科修士課程修了,京都大学博士(工学).2002年より現職.インターネット技術,並列・分散システムとアルゴリズム,ネットワークセキュリティなどの研究に従事.2018・2019年度本会副会長.JST CREST「S5基盤ソフト」研究総括.

10:45-10:55 講演(4) クロスモーダル技術を用いた食感伝送システムの取り組み

上堀 まい(青山学院大学 理工学研究科 博士後期課程)

上堀 まい

【講演概要】情報通信技術の普及により,通信インフラ上で視覚や聴覚といったリッチなコンテンツの伝送が可能となっている.そこで,視覚と聴覚にとどまらず,五感全てを感覚メディアとして拡張し,これらの五感情報の伝送・共有技術の実現を目指し,研究を進めている.今回は,特に食べたときの感覚(食感)に注目し,食感を伝送・共有することで,新しいコミュニケーションの創出を目指している.本講演では,感覚の相互作用であるクロスモーダル知覚を用いて,口腔外への温度提示によって味覚を制御する技術を紹介し,今後の展開について議論する.

【略歴】2024年青山学院大学大学院理工学研究科理工学専攻知能情報コース修士課程修了.同年より同大学院博士後期課程に在籍.日本学術振興会特別研究員(DC1).ヒューマンインタフェースの研究に従事.修士(工学).

10:55-11:05 講演(5) 攻撃耐性を備えたセキュアな基盤ソフトウェア

葛野 弘樹(神戸大学 大学院工学研究科 准教授)

葛野 弘樹

【講演概要】サイバーインフラストラクチャを守るためのサイバー攻撃対策として基盤ソフトウェアのロバスト性・レジリエンス性の向上が求められています.基盤ソフトウェアのなかでもオペレーティングシステム(OS)は医療システム,産業システム,およびAI学習中の情報システムなどで動作する多くの機器で利用されており,高度な保護を提供するOSセキュリティの技術確立が重要となります. 本講演では,OSの脆弱性を利用した特権昇格攻撃やDoS攻撃への耐性を持つセキュアな基盤ソフトウェアの研究開発を紹介します.

【略歴】2005年岩手県立大学 ソフトウェア情報学部卒業.2007年奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科博士前期課程修了.
2007年~2021年セコム株式会社IS研究所主務研究員.2020年岡山大学大学院 自然科学研究科 博士後期課程終了.
2022年より神戸大学大学院助教,2024年より同准教授.博士(工学).コンピュータセキュリティ,ネットワークセキュリティの研究に従事.

11:05-11:15 講演(6) データセンタネットワーク大容量化のための光ネットワークアーキテクチャ

久野 拓真(名古屋大学 大学院工学研究科 博士後期課程)

久野 拓真

【講演概要】データセンタはクラウドコンピューティングやAIの基盤として重要性が増す一方で,急増する通信需要に伴う消費電力の増大が課題となっている.現在のデータセンタネットワークでは,電気スイッチを用いた信号の光電変換に膨大な電力を消費しており,持続的な発展には消費電力の大幅な削減が不可欠である.本研究では,信号の光電変換を不要とする光スイッチを基盤とし,低消費電力化と大容量化を両立する新たなネットワークアーキテクチャを提案する.これにより,持続可能なデータセンタネットワークの実現に貢献することを目指す.

【略歴】2022年 名古屋大学 大学院工学研究科 情報・通信工学専攻 修士課程修了.同年より博士課程在籍.光ファイバ通信システムを研究対象とし,特にデジタルコヒーレント技術および光ネットワークアーキテクチャに関する研究に従事.

11:15-11:55 パネル討論

11:55-12:00 クロージング

岡部 寿男(京都大学 学術情報メディアセンター)

岡部 寿男

【略歴】1988年京都大学大学院工学研究科修士課程修了,京都大学博士(工学).2002年より現職.インターネット技術,並列・分散システムとアルゴリズム,ネットワークセキュリティなどの研究に従事.2018・2019年度本会副会長.JST CREST「S5基盤ソフト」研究総括.