情報処理学会第86回全国大会 会期:2024年3月15日~17日 会場:神奈川大学

アジャイル開発オムニバス

日時:3月15日 12:40-15:10

会場:第3イベント会場

【セッション概要】アジャイル開発を取り入れる企業・組織も一時期前より多くなってきている。とはいえ、契約形態として準委任契約を取り入れることに踏み出せない企業・組織は一定数存在しているようである。そこで、本イベントでは行政における準委任契約のアジャイル開発や、マネジメントの役割について講演をいただく。後半では、「生成AIを用いたアジャイル開発」について、開発者、法律家それぞれの立場から事例紹介や問題提起について講演をいただく。
パネル討論では、講演の内容について会場とともに議論を深める。

12:40-15:10 司会

高岡 詠子(上智大学 理工学部 情報理工学科 教授)

高岡 詠子

【略歴】高岡詠子 略歴
東京都に生まれる.慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業,同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻博士課程修了,博士(工学).現在,上智大学理工学部教授.放送大学客員教授.専門は,計算機科学,医療・看護・介護用Web/スマフォアプリ等開発と運用,情報教育に従事.主な著書:チューリングの計算理論入門,シャノンの情報理論入門(講談社ブルーバックス),計算の科学と手引き('19),計算事始め('13)および情報科学の基礎('07)(放送大学教科書).

12:40-13:10 講演 行政における準委任契約によるアジャイル開発の研究

狩野 英司(一般社団法人 行政情報システム研究所 (AIS))

狩野 英司

【講演概要】アジャイル開発は準委任契約を前提として実施されるのが一般的です。しかしながら、日本の行政機関では実例が乏しく、開発を通じて実施すべきプロセスも不明確なままです。そこで、本研究では、行政機関が準委任契約に基づくアジャイル開発を行う際に一般的に必要になると考えられるプロセスを明らかにした上で、それらが2022年度の東京都のアジャイル開発事業でどの程度実践されていたかを確認していきます。これにより、行政機関が準委任契約に基づくアジャイル開発を行う際に必要かつ実施可能なプロセスを明らかにします。

【略歴】中央官庁、大手シンクタンク等を経て現職。行政機関や企業の業務・システム改革、デジタル・ガバメントに関する調査研究に長年携わる。立命館アジア太平洋大准教授、事業構想大院客員教授、筑波大学発ベンチャーD’s Link取締役CEO、福井県DX推進アドバイザー、調布市デジタル行政推進アドバイザーなども務める。博士(システムズ・マネジメント)。著書に「自治体職員のための入門デジタル技術活用法」。

13:10-13:30 講演 アジャイル開発を成功に導くマネジメントの役割

和田 憲明(富士通株式会社)

和田 憲明

【講演概要】以下の4つの言葉が一般的になってきました。人それぞれの解釈はありますが、
私が10年以上現場支援/普及活動を実施して学んだ解釈を簡潔に紹介します。
「スクラム」
名前の通り、チーム力を活かした働き方。様々な仕事に幅広く適用できる。
マネジメントの役割は「チームでの活動を推進する」こと。
「アジャイル」
最近は広い意味で使われているが、ここではアジャイル"開発"を取り上げる。
マネジメントの役割は「成功するための体制を作る」こと。
「リーン」
上記の活動を形骸化させないためには改善し続けることが大切。
マネジメントの役割は「背水の陣を作り続ける」こと。
「トヨタ式」
誰も困っていない状況だからこそ、リーダーの強い思いが人を動かす。
マネジメントの役割は「自らがチェンジリーダーになる」こと。

【略歴】富士通株式会社でアジャイル開発の支援を長年担当している。2006年に社内でアジャイルコミュニティを作り普及活動を実施してきた。2011年から現在まで技術支援部門でアジャイル支援活動に従事している。社外の様々なアジャイルコミュニティにも参加し、日本でのアジャイルの潮流を長年肌で感じてきた。趣味はジャグリングの普及活動。「ジャグリングは見るよりやる方が100倍面白いですよ」

13:30-13:50 講演 生成AIがもたらすアジャイル開発の未来 〜参加の時代の契約のありかたとは?

木下 史彦(永和システムマネジメント Agile Studio アジャイルコーチ)

木下 史彦

【講演概要】アジャイル開発の手法のひとつであるエクストリームプログラミングは建築家 クリストファー・アレグザンダーのパターン・ランゲージから影響を受け、利用者の参加によるソフトウェア開発を標榜してきました。生成AIによって、これが実現する世界線についてお話しします。
また、そのような参加型のソフトウェア開発を実現する上での、従来の甲乙型の契約の限界について問題提起します。

【略歴】2005年頃からエクストリームプログラミングを開発現場で実践.2010年には「価値創造契約」を提唱.
現在はアジャイルコーチとして「まっとうなアジャイル開発」を標榜して日々コンサルティング・コーチング活動に従事.自動車メーカー,医療機器メーカー,通信キャリア,金融機関などのDXを推進.
監訳書に『アジャイルプラクティス』(オーム社),『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』(オライリー)がある.

13:50-14:10 講演 生成AIを右腕にする。〜ChatGPTでチームはどう変わるか?マーケティング・人材育成の現場事例

岡島 幸男(株式会社永和システムマネジメント 取締役CTO)

岡島 幸男

【略歴】株式会社永和システムマネジメント 取締役 CTO / Agile Studio ディレクター
Web・組込等、様々なソフトウェア開発とマネジメントの現場を経て、現在はAgile Studioにて、内製化支援・アジャイル開発支援事業を主に担当。
2022年1月より兼業で福井県CDO補佐官。アジャイルを活用し自治体DXを推進すべく活動中。

著書に『受託開発の極意―変化はあなたから始まる。現場から学ぶ実践手法』(技術評論社)他。

14:10-14:30 講演 生成系AIを用いたアジャイル開発をめぐる法律問題

市毛 由美子(のぞみ総合法律事務所)

市毛 由美子

【講演概要】アジャイル開発の反復プロセスにおいて、生成AIを活用する事はスピードと品質アップの双方に貢献できるものと期待されているところである。他方で生成AIの活用が進む事により、法律(特に著作権法)上の問題発生の可能性も指摘されているところであり、法規制が技術進歩に追い付いていない面もあると考えられる。これらの問題をどう整理して対処していくべきかを検討したい。

【略歴】1989年弁護士登録,日本アイ・ビー・エム株式会社法務部,都内法律事務所を経て平成2007年~のぞみ総合法律事務所パートナー,2009年度第二東京弁護士会副会長,平成2010年9月~2012年8月日本弁護士連合会事務次長,現在,情報処理学会LIP所属,総務省情報通信審議会委員,アスクル㈱社外取締役,出光興産㈱社外監査役、日立astemo株式会社社外取締役監査等委員

14:10-14:30 講演 生成系AIを用いたアジャイル開発をめぐる法律問題

平岡 敦(十全法律事務所)

平岡 敦

【講演概要】GitHub CopilotなどプログラミングでのAI利用が急速に広がっているが、それと各種法律、特に著作権法との抵触関係については検討が余りなされていない。本講演では概括的に問題点を指摘する。

【略歴】1990年 早稲田大学第一文学部卒業
1990年 (株)コンピュータアプリケーションズ(現シーエーシー)入社
2002年 弁護士登録
2019年 筑波大学大学院卒業(法学)

14:35-15:10 パネル討論 アジャイル開発オムニバス

パネル司会

高岡 詠子(上智大学 理工学部 情報理工学科 教授)

高岡 詠子

【略歴】高岡詠子 略歴
東京都に生まれる.慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業,同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻博士課程修了,博士(工学).現在,上智大学理工学部教授.放送大学客員教授.専門は,計算機科学,医療・看護・介護用Web/スマフォアプリ等開発と運用,情報教育に従事.主な著書:チューリングの計算理論入門,シャノンの情報理論入門(講談社ブルーバックス),計算の科学と手引き('19),計算事始め('13)および情報科学の基礎('07)(放送大学教科書).

パネリスト

狩野 英司(一般社団法人 行政情報システム研究所 (AIS))

狩野 英司

【略歴】中央官庁、大手シンクタンク等を経て現職。行政機関や企業の業務・システム改革、デジタル・ガバメントに関する調査研究に長年携わる。立命館アジア太平洋大准教授、事業構想大院客員教授、筑波大学発ベンチャーD’s Link取締役CEO、福井県DX推進アドバイザー、調布市デジタル行政推進アドバイザーなども務める。博士(システムズ・マネジメント)。著書に「自治体職員のための入門デジタル技術活用法」。

パネリスト

市毛 由美子(のぞみ総合法律事務所)

市毛 由美子

【略歴】1989年弁護士登録,日本アイ・ビー・エム株式会社法務部,都内法律事務所を経て平成2007年~のぞみ総合法律事務所パートナー,2009年度第二東京弁護士会副会長,平成2010年9月~2012年8月日本弁護士連合会事務次長,現在,情報処理学会LIP所属,総務省情報通信審議会委員,アスクル㈱社外取締役,出光興産㈱社外監査役、日立astemo株式会社社外取締役監査等委員

パネリスト

平岡 敦(十全法律事務所)

平岡 敦

【略歴】1990年 早稲田大学第一文学部卒業
1990年 (株)コンピュータアプリケーションズ(現シーエーシー)入社
2002年 弁護士登録
2019年 筑波大学大学院卒業(法学)

パネリスト

柴田 睦月(奥川法律事務所)

柴田 睦月

【略歴】2014年弁護士登録。同年より国内メーカーにて輸出契約交渉、社内コンプライアンスを担当。2017年より、のぞみ総合法律事務所にて独禁法案件、労働問題、国内訴訟等を多数担当。2019年より、小島国際法律事務所にて、渉外案件、M&A案件を担当。2021年より、中村法律事務所にて、パートナー弁護士として、国内外の企業案件に幅広く対応。2023年7月より、奥川法律事務所にて、各種コンプライアンス対応、不正調査対応の他、技術の輸出に関する安全保障貿易対応等、クライアントのにビジネスにマッチした幅広い企業法務対応を行っている。

パネリスト

中野 安美(Agility Design株式会社 代表取締役/アジャイルコーチ)

中野 安美

【略歴】生保IT子会社にて生命保険分野のシステム開発にプロジェクトマネージャとして長年従事.2015年よりアジャイル開発,新規事業サービスデザインなどを社内で推進.その後クラウドサービスベンダーを経て,アジャイル・クラウド開発を通じて競争力のあるビジネス創出や働き方の改革を推し進めたい思いから2019年9月AgilityDesign(株)を設立.組織へのアジャイル導入支援やグループコーチングによるセルフマネージメント強化支援を行う.アジャイル経営カンファレンス実行委員長,AgileJapan2020実行委員長

パネリスト

木下 史彦(永和システムマネジメント Agile Studio アジャイルコーチ)

木下 史彦

【略歴】2005年頃からエクストリームプログラミングを開発現場で実践.2010年には「価値創造契約」を提唱.
現在はアジャイルコーチとして「まっとうなアジャイル開発」を標榜して日々コンサルティング・コーチング活動に従事.自動車メーカー,医療機器メーカー,通信キャリア,金融機関などのDXを推進.
監訳書に『アジャイルプラクティス』(オーム社),『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』(オライリー)がある.

パネリスト 生成AIを右腕にする。〜ChatGPTでチームはどう変わるか?ソフトウェア開発・マーケティングにおける現場事例

岡島 幸男(株式会社永和システムマネジメント 取締役CTO)

岡島 幸男

【講演概要】生成AIの普及に伴い、様々なプロジェクトにおいて活用が進んでいる。私が勤務する永和システムマネジメントにおいても、ソフトウェア開発や、マーケティングの現場、あるいは人材育成における様々な場面で利用されている。また、副業の自治体DX支援においても同様に、様々なケースにおける業務の効率化に向けた検討を進めている。本講演では、これら事例を紹介するとともに、生成AIを実務で活用し、実際に効率化を達成する上で必要な考え方も合わせて提示したい。

【略歴】株式会社永和システムマネジメント 取締役 CTO / Agile Studio ディレクター
Web・組込等、様々なソフトウェア開発とマネジメントの現場を経て、現在はAgile Studioにて、内製化支援・アジャイル開発支援事業を主に担当。
2022年1月より兼業で福井県CDO補佐官。アジャイルを活用し自治体DXを推進すべく活動中。

著書に『受託開発の極意―変化はあなたから始まる。現場から学ぶ実践手法』(技術評論社)他。

パネリスト

和田 憲明(富士通株式会社)

和田 憲明

【略歴】富士通株式会社でアジャイル開発の支援を長年担当している。2006年に社内でアジャイルコミュニティを作り普及活動を実施してきた。2011年から現在まで技術支援部門でアジャイル支援活動に従事している。社外の様々なアジャイルコミュニティにも参加し、日本でのアジャイルの潮流を長年肌で感じてきた。趣味はジャグリングの普及活動。「ジャグリングは見るよりやる方が100倍面白いですよ」

パネリスト

居駒 幹夫(青山学院大学 社会情報学部社会情報学科 教授)

居駒 幹夫

【略歴】日立製作所で大規模ソフトウェア製品の品質保証,ソフトウェア生産技術などを担当.2018年より青山学院大学で教育・研究活動.社会人向けの教育プログラムADPISA運用.博士(情報学).主な著書:「アジャイル開発のプロジェクトマネジメントと品質マネジメント」(日科技連),「ソフトウェア品質保証の基本」(日科技連)