情報処理学会第86回全国大会 会期:2024年3月15日~17日 会場:神奈川大学

高度IT技術者の国際標準が間もなく定まる:新ISO/IEC 24773のIS化とIFIP IP3での国際認定制度

日時:3月17日 13:20-15:20

会場:第4イベント会場

【セッション概要】ISO/IEC 24773は、ソフトウェア技術者を対象とする資格制度に関する要求事項やガイダンスをまとめたISO規格である。IEEE、INCOSEおよび日本の関係者の10年に及ぶ努力の成果として、2024年までにISO化が完成する。情報処理学会では、上記の規格策定を支援し、認定情報技術者制度(CITP資格)のISO対応を進めてきた。一方、IFIP IP3ではISO/IEC 24773に準拠した資格制度に対する国際認定制度の検討を進めている。本シンポジウムでは、こうした取り組みを紹介し、DX化が進む今後のソフトウェア社会に向けたソフトウェア技術者の意義について討論する。

13:20-13:25 オープニング

旭 寛治(元(株)日立製作所)

旭 寛治

【略歴】1971年(株)日立製作所入社.同社基本ソフトウェア本部長,ストレージソリューション本部長,(株)日立テクニカルコミュニケーションズ代表取締役社長等を歴任.
情報処理学会関係では,1999年理事,2005年副会長.2007年より,ITプロフェッショナル委員長としてCITP資格制度の創設を推進.2014年より2年間,資格制度運営委員会初代委員長を務めた.本会名誉会員,フェロー.

13:25-13:45 講演(1) 国際規格ISO/IEC 24773とその意義

鷲崎 弘宜(早稲田大学 / 国立情報学研究所 / システム情報 / エクスモーション)

鷲崎 弘宜

【講演概要】ISO/IEC 24773シリーズは、システムズエンジニアリングおよびソフトウェアエンジニアリングにおける技術者の知識やスキル、能力を評価・認定する技術者個人対象の資格制度に対する要求事項やガイドをまとめた国際規格である。国や地域によって様々な資格制度が運用される一方、システムやソフトウェアの開発産業がますます国際化される中で、共通の基準が得られることで資格制度の一定の質の確認や相互の共通理解の促進、さらには技術者の国際的な流動性の向上が期待される。本講演では、当該シリーズの規格化をとりまとめているワーキンググループのコンビナー(主査)の立場から、趣旨や展望、さらには資格制度やその運営組織および技術者や業界へのインパクトを解説する。

【略歴】2003年早稲田大学大学院博士後期課程修了、博士(情報科学)。現在、早稲田大学研究推進部副部長、早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長・教授、国立情報学研究所客員教授、株式会社システム情報 取締役(監査等委員)、株式会社エクスモーション 社外取締役、人間環境大学 顧問。ソフトウェア工学、機械学習工学、情報教育ほかの研究、教育、社会展開に従事。IoT・AI・DXリカレント教育プログラム スマートエスイー事業責任者、情報処理学会ソフトウェア工学研究会主査、ISO/IEC/JTC1 SC7/WG20 Convenor、IEEE Computer Society 2025 Presidentほか歴任。

13:45-14:05 講演(2) IFIP IP3での資格制度を対象とする国際認定

掛下 哲郎(佐賀大学 理工学部 数理・情報部門 准教授)

掛下 哲郎

【講演概要】IFIP IP3(International Professional Practice Partnership)は,15年間にわたり,IFIPのメンバー学会が運営する情報分野の資格制度に対する認定を行い,その国際的な信頼性を確保する取り組みを行っている.現在,ISO/IEC 24773シリーズの改訂作業が大詰めを迎えており,IFIP IP3では,メンバー学会などが新しいISO/IEC 24773に適合していることを認証する仕組みについて検討している.デジタル社会の進展が進み,生成AIなどの新技術も続々と生まれている状況において,ISO標準に資格を保有することで国際的にも通用する能力を持ったデジタル技術者の重要性はますます高くなることが期待される.そのため,IFIPメンバー学会以外も認定対象に含め,従来のボランティアベースの運営を改める計画である.本講演では,IP3における取り組みの状況を解説し,オンライン技術やLLMを積極的に活用することで,審査に要する活動の自動化を進める取り組みについても報告する.

【略歴】IFIP IP3 Standards and Accreditation Council co-chair. ISO/IEC JTC1/SC7/WG20委員としてソフトウェア技術者資格に対する国際規格の策定にも従事.本会データサイエンス教育委員会 委員長として,本会データサイエンス・カリキュラム標準(専門教育レベル)の策定や,本会のデータサイエンティスト資格の制度設計やデータサイエンティスト育成戦略の策定や推進にも取り組んでいる.ソフトウェア工学,情報システム,情報専門教育等を専門とする.工学博士(九州大学).

14:05-14:25 講演(3) 認定情報技術者制度のISO対応と活用

西 直樹(情報処理学会 資格制度運営委員会 委員長)

西 直樹

【講演概要】本学会は認定情報技術者(CITP)制度の運用を,個人認証を2014年から,企業認定2015年から行っている.CITP制度は2018年2月に,国際的な高度IT人材資格制度の推進組織であるIFIP IP3より,プロフェッショナル資格制度の基準(IP3P)を満たしているとして認定を受け,国際的にも認められる資格制度となった.2021年度には,新たにデータサイエンティスト資格を含む企業グループの資格制度を認定し,情報技術者に求められる新たな技術のニーズに対応している.本講演では,CITP制度の概要紹介,ISO/IEC 24773の国際標準化への期待とCITP制度の対応状況について述べる.

【略歴】情報処理学会の認定情報技術者(CITP: Certified IT Professional)の制度設計に参画し2014年度からの制度運用に従事,2018年から資格制度運営委員会の委員長を拝命.1984年4月~2019年11月:日本電気株式会社に勤務,2018年4月~2019年11月;理化学研究所(日本電気からの出向),2019年12月より株式会社理研鼎業及び理化学研究所において産学連携支援業務に従事.

14:25-15:15 パネル討論 ISO/IEC 24773に基づく国際的相互承認とその意義

櫻井 茂明(株式会社東芝 知能化システム技術センター1 シニアフェロー)

櫻井 茂明

【略歴】1991年3月東京理科大学理学研究科修了、同年4月株式会社東芝入社、同年5月同社システム技術研究所配属、1998年5月新情報処理開発機構つくば研究センタ出向・主任研究員、2000年3月同機構出向解除、2000年4月株式会社東芝ヒューマンインターフェース研究所帰任・研究主務、2001年3月東京理科大学経営工学科より博士(工学)を受領、現在、株式会社東芝知能化技術センターシニアフェロー

パネリスト

鷲崎 弘宜(早稲田大学 / 国立情報学研究所 / システム情報 / エクスモーション)

鷲崎 弘宜

【略歴】2003年早稲田大学大学院博士後期課程修了、博士(情報科学)。現在、早稲田大学研究推進部副部長、早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長・教授、国立情報学研究所客員教授、株式会社システム情報 取締役(監査等委員)、株式会社エクスモーション 社外取締役、人間環境大学 顧問。ソフトウェア工学、機械学習工学、情報教育ほかの研究、教育、社会展開に従事。IoT・AI・DXリカレント教育プログラム スマートエスイー事業責任者、情報処理学会ソフトウェア工学研究会主査、ISO/IEC/JTC1 SC7/WG20 Convenor、IEEE Computer Society 2025 Presidentほか歴任。

パネリスト

掛下 哲郎(佐賀大学 理工学部 数理・情報部門 准教授)

掛下 哲郎

【略歴】IFIP IP3 Standards and Accreditation Council co-chair. ISO/IEC JTC1/SC7/WG20委員としてソフトウェア技術者資格に対する国際規格の策定にも従事.本会データサイエンス教育委員会 委員長として,本会データサイエンス・カリキュラム標準(専門教育レベル)の策定や,本会のデータサイエンティスト資格の制度設計やデータサイエンティスト育成戦略の策定や推進にも取り組んでいる.ソフトウェア工学,情報システム,情報専門教育等を専門とする.工学博士(九州大学).

パネリスト

西 直樹(情報処理学会 資格制度運営委員会 委員長)

西 直樹

【略歴】情報処理学会の認定情報技術者(CITP: Certified IT Professional)の制度設計に参画し2014年度からの制度運用に従事,2018年から資格制度運営委員会の委員長を拝命.1984年4月~2019年11月:日本電気株式会社に勤務,2018年4月~2019年11月;理化学研究所(日本電気からの出向),2019年12月より株式会社理研鼎業及び理化学研究所において産学連携支援業務に従事.

15:15-15:20 クロージング

旭 寛治(元(株)日立製作所)

旭 寛治

【略歴】1971年(株)日立製作所入社.同社基本ソフトウェア本部長,ストレージソリューション本部長,(株)日立テクニカルコミュニケーションズ代表取締役社長等を歴任.
情報処理学会関係では,1999年理事,2005年副会長.2007年より,ITプロフェッショナル委員長としてCITP資格制度の創設を推進.2014年より2年間,資格制度運営委員会初代委員長を務めた.本会名誉会員,フェロー.