情報処理学会第86回全国大会 会期:2024年3月15日~17日 会場:神奈川大学

情報科が拓く小中高教育の未来

日時:3月17日 13:20-15:20

会場:第2イベント会場

【セッション概要】「情報Ⅰ」がスタートして2年。高校でのGIGAスクールの1人1台端末の活用も始まっている。「情報Ⅰ」や「情報Ⅱ」の各高校での取り組みには差があり、その現状を学校間で共有し課題を明らかにする必要がある。また、学習指導要領で情報活用能力が基盤学力として示されたが、小中学校で育まれた情報活用能力が、高校での「情報Ⅰ」の授業にスムーズにつながっていくかどうかも今後の課題である。
これらの課題に対応するには、校長のリーダーシップとカリキュラム・マネジメントが重要になるが、外部からの支援を必要とする学校も多いと考えられる。
本シンポジウムでは、これらの現状と課題について、現場の校長5名をパネリストとし、それぞれの学校での実践等を報告するとともに、これからの小中高校教育の未来について語る。

司会

滑川 敬章(千葉県立流山南高等学校 校長)

滑川 敬章

【略歴】1989年千葉大学大学院教育学研究科修了。教育学修士。
千葉県公立高等学校教諭、千葉県総合教育センター研究指導主事、千葉県立高等学校教頭、松戸市立中学校校長を経て、2023年から千葉県立流山南高等学校校長。
2007年千葉県初の情報の専門学科の立ち上げに携わり、8年間学科主任を務める。
委員歴:2012年 国立教育政策研究所「評価規準、評価方法等の工夫改善に関する調査研究」委員
2014-2015年 文部科学省「情報教育の推進等に関する調査研究(高等学校)」情報活用能力調査問題作成 WG 委員
2017-2019年 文部科学省 学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者 等

13:20-13:25 オープニング

筧 捷彦(早稲田大学 名誉教授)

筧 捷彦

【略歴】1968年東京大学卒業、東京大学工学部・立教大学理学部勤務の後、1986年から早稲田大学理工学部/基幹理工学部勤務。2016年から東京通信大学情報マネジメント学部勤務後退職。一般社団法人日本情報オリンピック日本委員会理事長、公益財団法人情報科学国際交流財団理事長。情報オリンピック、ICPC、パソコン甲子園、U-22など参与している。情報処理学会のフェロー・名誉会員、情報処理教育委員会委員、情報入試委員会委員長を務める。

13:25-13:37 講演(1) GIGAスクール後の小・中学校の学びから、高等学校の情報教育を考える

滑川 敬章(千葉県立流山南高等学校 校長)

滑川 敬章

【講演概要】GIGAスクール構想により、1人1台端末の授業での活用が進み、生徒の学び方や授業の進め方も大きく変わりつつある。学習の基盤となる資質・能力と位置付けられた情報活用能力の重要性が益々大きくなるとともに、小・中・高等学校を通じた情報活用能力の育成が求められている。しかし、小・中学校では、情報に関する専門知識をもつ教員も多くないため、校長のリーダーシップによるカリキュラム・マネジメントだけでなく、専門的な見地からの助言や支援といった外部からのサポートが必要だと考えられる。一方、高等学校には教科として情報科があるが、小・中学校での情報活用能力育成に地域差や学校差があり、「情報Ⅰ」履修の前提になる知識・技能が不足している。また、小・中学校と比べて講義中心の授業が多く、生徒の学び方も受け身的になりがちである。これらの課題について、中学校校長の経験を踏まえて、いま取り組むべきことについてお話しする。

【略歴】1989年千葉大学大学院教育学研究科修了。教育学修士。
千葉県公立高等学校教諭、千葉県総合教育センター研究指導主事、千葉県立高等学校教頭、松戸市立中学校校長を経て、2023年から千葉県立流山南高等学校校長。
2007年千葉県初の情報の専門学科の立ち上げに携わり、8年間学科主任を務める。
委員歴:2012年 国立教育政策研究所「評価規準、評価方法等の工夫改善に関する調査研究」委員
2014-2015年 文部科学省「情報教育の推進等に関する調査研究(高等学校)」情報活用能力調査問題作成 WG 委員
2017-2019年 文部科学省 学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者 等

13:37-13:49 講演(2) 高校はGIGAスクールで何を創造するのか

柴田 功(神奈川県立希望ケ丘高等学校 校長)

柴田 功

【講演概要】多くの高等学校では令和4年度から生徒一人一台端末を活用できるGIGAスクール環境が整った。そうした中で、各教科で一人一台端末をどのように活用した授業を行えばよいのか、また、情報科の授業の在り方はどのように変わるのか、校長目線でお話しします。

【略歴】昭和64年度~平成15年度 神奈川県立高等学校理科・情報科教諭
平成16年度~平成21年度 神奈川県立総合教育センター
平成21年度~平成27年度 神奈川県教育委員会教育局高校教育課指導主事
平成28・29年度 神奈川県立鶴見高等学校教養・副校長
平成30年度・令和元年度 神奈川県教育委員会教育局総務室ICT推進担当課長
令和2・3年度 神奈川県立川崎北高等学校長
令和4・5年度 神奈川県立希望ケ丘高等学校長
文部科学省「次期ICT環境整備方針ワーキンググループ」
文部科学省「ICT活用教育アドバイザー(学校戦略DXアドバイザー)」他

13:49-14:01 講演(3) 情報研究会のこれまでとこれから

福原 利信(東京都立田園調布高等学校 校長)

福原 利信

【講演概要】情報科がスタートして20年を過ぎた。2024年度には大学入学共通テストで「情報」が出題されるという時期に至っても、情報科を取り巻く状況に課題が山積している。情報研究会の活動を通して情報科の置かれた課題を整理し、校長のリーダーシップで解決できる課題と、更に大きな取り組みで解決していかなければならない課題を整理し、これからの情報科について考えたい。

【略歴】1990年数学科教諭として東京都に採用。2000年の新教科「情報」現職教員等講習会で講師を務め、自らも情報の免許を取得し情報科教員となる。東京都教育委員会指導主事、都立高校副校長を経て、東京都立田園調布高等学校校長として勤務。2021年より全国高等学校情報教育研究会並びに東京都高等学校情報教育研究会会長。

14:01-14:13 講演(4) 情報科専科高等学校の立ち上げ

津賀 宗充(茨城県立IT未来高等学校 校長)

津賀 宗充

【講演概要】令和5年4月に開校した茨城県立IT未来高等学校の目指すものについて発表する。本校は昼間2部制定時制単位制高等学校であり、全国初(?)の情報科専科高等学校でもある。開校初年度の教育活動を報告するとともに、生徒たちの様々な活動の様子を紹介したい。併せて、専門教科情報科特有の悩みについても報告する。

【略歴】茨城県立IT未来高等学校/友部高等学校校長。1992年4月に茨城県立高等学校数学科教諭として採用。2003年からは情報科及び数学科を担当。2010年から茨城県教育庁高校教育課指導主事となり、主に情報教育及びインフラ整備を担当。同課主任指導主事、茨城県立高等学校教頭、同課課長補佐、同課副参事を経て現職。

14:13-14:25 講演(5) 校長が果たすべき役割

中野 由章(工学院大学附属中学校・高等学校 校長)

中野 由章

【講演概要】学校説明会にお越しいただいた方から「組織はリーダーの器を超えない。だから、今日は校長がどんな人かを見に来た。」と言われたことがある。なるほど、これは僕自身腑に落ちるところである。学校は組織であり、組織風土が一校長により変わってしまうことには抵抗もあるが、一方、校長が変わっても何も変わらないのであれば、校長の存在意義がない。校長はその組織の目指す姿の象徴である。
我々はさまざまな情報技術に支えられた社会の中に存在する。その情報技術のしくみや特徴を理解することは、非常に重要である。情報教育は小中高において、比較的歴史の浅いものであり、地域や学校感にまだまだ格差がある。また、その重要性が十分認識され、市民権を得ているという状況にない。情報活用能力はスタディ・スキルズでもあり、教科横断的に連携した情報教育の実践が肝要である。このカリキュラム・マネジメントにおいても、校長の積極的なリーダーシップが求められる。

【略歴】技術士(総合技術監理・情報工学). 情報処理学会シニア会員,情報処理学会初等中等教育委員会委員長.情報オリンピック日本委員会理事. 日本IBM大和研究所,三重県立高校,千里金蘭大学,大阪電気通信大学,神戸市立高校を経て,工学院大学附属中学校・高等学校校長兼工学院大学教育開発センター特任教授. 情報処理学会山下記念研究賞(2015),情報処理学会学会活動貢献賞(2016),科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(2017),情報処理学会大会優秀賞(2018)

14:30-15:15 パネル討論 これからの小中高校の情報教育の未来と校長の役割

滑川 敬章(千葉県立流山南高等学校 校長)

滑川 敬章

【略歴】1989年千葉大学大学院教育学研究科修了。教育学修士。
千葉県公立高等学校教諭、千葉県総合教育センター研究指導主事、千葉県立高等学校教頭、松戸市立中学校校長を経て、2023年から千葉県立流山南高等学校校長。
2007年千葉県初の情報の専門学科の立ち上げに携わり、8年間学科主任を務める。
委員歴:2012年 国立教育政策研究所「評価規準、評価方法等の工夫改善に関する調査研究」委員
2014-2015年 文部科学省「情報教育の推進等に関する調査研究(高等学校)」情報活用能力調査問題作成 WG 委員
2017-2019年 文部科学省 学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者 等

柴田 功(神奈川県立希望ケ丘高等学校 校長)

柴田 功

【略歴】昭和64年度~平成15年度 神奈川県立高等学校理科・情報科教諭
平成16年度~平成21年度 神奈川県立総合教育センター
平成21年度~平成27年度 神奈川県教育委員会教育局高校教育課指導主事
平成28・29年度 神奈川県立鶴見高等学校教養・副校長
平成30年度・令和元年度 神奈川県教育委員会教育局総務室ICT推進担当課長
令和2・3年度 神奈川県立川崎北高等学校長
令和4・5年度 神奈川県立希望ケ丘高等学校長
文部科学省「次期ICT環境整備方針ワーキンググループ」
文部科学省「ICT活用教育アドバイザー(学校戦略DXアドバイザー)」他

福原 利信(東京都立田園調布高等学校 校長)

福原 利信

【略歴】1990年数学科教諭として東京都に採用。2000年の新教科「情報」現職教員等講習会で講師を務め、自らも情報の免許を取得し情報科教員となる。東京都教育委員会指導主事、都立高校副校長を経て、東京都立田園調布高等学校校長として勤務。2021年より全国高等学校情報教育研究会並びに東京都高等学校情報教育研究会会長。

津賀 宗充(茨城県立IT未来高等学校 校長)

津賀 宗充

【略歴】茨城県立IT未来高等学校/友部高等学校校長。1992年4月に茨城県立高等学校数学科教諭として採用。2003年からは情報科及び数学科を担当。2010年から茨城県教育庁高校教育課指導主事となり、主に情報教育及びインフラ整備を担当。同課主任指導主事、茨城県立高等学校教頭、同課課長補佐、同課副参事を経て現職。

中野 由章(工学院大学附属中学校・高等学校 校長)

中野 由章

【略歴】技術士(総合技術監理・情報工学). 情報処理学会シニア会員,情報処理学会初等中等教育委員会委員長.情報オリンピック日本委員会理事. 日本IBM大和研究所,三重県立高校,千里金蘭大学,大阪電気通信大学,神戸市立高校を経て,工学院大学附属中学校・高等学校校長兼工学院大学教育開発センター特任教授. 情報処理学会山下記念研究賞(2015),情報処理学会学会活動貢献賞(2016),科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(2017),情報処理学会大会優秀賞(2018)

15:15-15:20 クロージング

中山 泰一(電気通信大学大学院情報理工学研究科/情報処理学会理事)

中山 泰一

【略歴】1988年東京大学工学部計数工学科卒業.1993年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了.博士(工学).同年より電気通信大学において, 計算機システム,並列分散処理,情報教育の研究に従事.本会において,論文誌ジャーナル編集委員会編集長,教育担当理事,事業担当理事などを歴任. 2014年度学会活動貢献賞,2016年度山下記念研究賞,2017年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞受賞.日本学術会議連携会員.本会フェロー.