情報処理学会第86回全国大会 会期:2024年3月15日~17日 会場:神奈川大学

量子インターネット

日時:3月16日 12:40-15:10

会場:第1イベント会場

【セッション概要】量子インターネットは、量子コンピュータや量子メモリなどの量子情報処理ノードを、光ファイバや自由空間などの量子通信路で結びつけた地球規模の量子情報処理ネットワークで、地球上の任意のクライアントの、さまざまな量子情報処理タスクの実行を可能にする。本講演では量子インターネットとは何か、実現に向けて何が必要か、また最新の取り組みについて紹介頂く。

12:40-12:50 司会

袖 美樹子(新居浜高等専門学校)

袖 美樹子

【略歴】日本電気(株)在籍中ACOS,地球環境シミュレータ等のスーパーコンピュータの開発に従事.ルネサスエレクトロニクス(株)移籍後,R-CARなどの自動車向けLSIの開発に従事.現在,バス停など身近なものをIoT化しエッジコンピューティングにより見守りなどの生活基盤として活用する研究に従事.工学博士(早稲田大学).情報処理学会,アジア交通学会,IEEE,電子情報通信学会等会員.

12:50-14:00 講演1 量子インターネットに向けて

東 浩司(NTT物性科学基礎研究所)

東 浩司

【講演概要】「量子インターネット」は,量子暗号プロトコルから量子コンピュータネットワークに至る,様々な量子情報処理を,地球規模で可能にする究極の通信ネットワークである.本講演では,量子インターネットに対する分野の現状の理解を提供する.講演では始めに,量子ネットワーク上のクライアントへの「量子もつれ」の効率的分配が量子インターネットに求められる基本的役割であることを解説する.その後,その実現に「量子中継」がなぜ必要とされるのかについて解説し,最後に量子インターネットプロトコルのデザインの基礎を提供する.

【略歴】2010年大阪大学基礎工学研究科物質創成専攻博士後期課程修了.同年,日本電信電話株式会社に入社,NTT物性科学基礎研究所勤務.入社以来,量子情報理論,特に量子インターネットの理論的研究に従事.2012年から2018年トロント大学客員研究員.2019年ケンブリッジ大学客員研究員.2018年から2022年JSTさきがけ(兼任)研究者.2019年より大阪大学大学院基礎工学研究科招へい准教授.現在,量子科学イノベーション研究部,理論量子物理研究グループ特別研究員兼グループリーダ.

14:00-15:10 講演2 量子インターネットと情報処理

永山 翔太(株式会社メルカリ研究開発部R4Dシニアリサーチャー/慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特任准教授)

永山 翔太

【講演概要】量子コンピュータは高度な計算能力を持つ単なるマシンではなく、量子力学の原理を応用した革新的な計算方法を提供します。また、量子コンピュータのネットワーク化によって生まれる「量子インターネット」は、遠隔地間の量子コンピュータの協働だけでなく、量子センシングデータの効率的な共有や、破られない暗号技術の実現も期待されています。

この講演では、量子情報技術の魅力的な側面を掘り下げ、この学際的分野がどのように多種多様なサブフィールドを育んでいるかを探ります。特に、情報処理分野でのサブフィールドに焦点を当てます。さらに、最新の研究開発の動向から、未来の可能性、国際的な量子情報科学競争の現状についても議論します。

【略歴】専門は量子インターネット。特に、量子エラー訂正符号および量子インターネットアーキテクチャ・通信プロトコル。在学中にはインターネットの研究室で量子情報処理に取り組み、2017年に博士(政策・メディア)を取得。2018年4月より株式会社メルカリ研究開発部R4Dシニアリサーチャー。2019年に量子インターネットタスクフォースを立ち上げる。2022年6月より、慶應義塾大学政策・メディア研究科特任准教授を兼務。現職中に内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター研究・産学官連携戦略ワーキンググループ委員、2018年度未踏ターゲット事業(ゲート式量子コンピュータ部門)「分散量子計算プラットフォーム」プロジェクト。現在、量子インターネットタスクフォース代表、JSTムーンショット型研究開発プログラム目標6下量子通信システムプロジェクトPM、情報処理学会量子ソフトウェア研究会運営委員。