情報処理学会第85回全国大会 会期:2023年3月2日~4日 会場:電気通信大学

IoTが拓く未来: 超スマート社会に向けた最新研究と将来像

日時:3月2日 12:40-15:10

会場:第1イベント会場

【セッション概要】来たるべき超スマート社会(Society5.0)においては、IoT(Internet of Things)でつながった人や機器から生み出される膨大・多様なデータを、AIやビッグデータ処理などの情報科学技術により分析・活用し、知的な機器等をニーズに合わせて制御することにより、新しい価値やサービスを創発することが期待されています。本企画セッションでは、さきがけ「IoTが拓く未来」の採択者を中心に、AI、データベース、通信、デバイスなどIoTに関わる横断的な領域で活躍する気鋭の若手研究者から、最新の技術動向の紹介や研究ビジョン、IoT将来像について、講演を実施します。

司会

西尾 理志(東京工業大学 工学院情報通信系 准教授)

西尾 理志

【略歴】2010年京都大学・工・電気電子卒、2013年同大大学院情報学研究科 博士課程修了.博士(情報学)。同年より同大 助教。2016-2017年 米国ラトガース大学WINLAB客員研究員。現在、東京工業大学工学院情報通信系准教授。電子情報通信学会 末松安晴賞、電気通信普及財団賞テレコムシステム技術賞受賞。

司会

塩川 浩昭(筑波大学 計算科学研究センター 准教授)

塩川 浩昭

【略歴】2009年筑波大学第三学群情報学類卒業.2011年同大学院システム情報工学研究科博士前期課程修了.2011年4月から日本電信電話株式会社勤務の後,2015年筑波大学大学院博士後期課程修了(早期修了),博士(工学).2015年から2020年,筑波大学計算科学研究センター助教を経て,2020年より筑波大学計算科学研究センター准教授.データベース,データマイニング,特に大規模グラフ分析アルゴリズムの高速化に関する研究に従事.情報処理学会,日本データベース学会,ACM,AAAI各会員.

12:40-12:45 オープニング

12:45-13:15 講演(1) 波形選択メタサーフェスとその通信応用デバイス

若土 弘樹(名古屋工業大学 大学院工学研究科)

若土 弘樹

【講演概要】電磁材料メタサーフェスは、そのサブ波長構造を調節することで、様々な伝搬現象や電磁特性を人工的に作り出すことができ、近年では知的反射面(IRS: Intelligent Reflecting Surface)として5G等の高周波信号の制御にも応用が見込まれている。本講演ではメタサーフェスにダイオードなどの回路素子を組み込むことによって得られるパルス幅選択性について紹介する。同特性を有するメタサーフェスは、たとえ同じ周波数でもパルス幅に応じて振る舞いを変化できることから、古典的な周波数選択性に加え、新たな自由度としてパルス幅選択性に基づいて電波信号の制御に活用できると期待される。特に本講演ではメタサーフェスを用いた応用デバイス等に関する研究成果を中心に報告する。

【略歴】2006年青山学院大学理工学部卒業。2008年青山学院大学大学院理工学専攻修了。2011年英国ノッティンガム大学にてPhD(電気電子工学)を取得。2011-2013年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校博士研究員、2013-2016年名古屋工業大学テニュアトラック助教を経て、2016年より同大大学院工学研究科准教授。加えて2005-2008年情報通信研究機構、2019年-現在JSTさきがけに所属。これまで主にEMC、電磁界解析、電磁材料に関する研究に従事。

13:15-13:45 講演(2) IoTセンシングデータの人・モノ・動作の特性への因子分解

豊浦 正広(山梨大学 大学院総合研究部 准教授)

豊浦 正広

【講演概要】世界で個人特定情報の取得を許容しない流れは強まる方向にあります.たとえば,公共空間での顔認証を禁止する欧州AI規制法案はすでに公表されおり,2024年には全面施行される見通しです.本講演では,顔画像や個人照合を伴わないIoTセンシングデータからでも,高精度な動作認識と同じ人によるデータの追跡の実現を目指す研究を紹介します.IoTセンシングデータを人・モノ・動作の特性へと因子分解することで,互いの影響を排除して認識できるようにします.研究が実現すれば,高度なデータ収集・流通・蓄積・解析が可能なIoTビッグデータの構築に貢献できます.

【略歴】2008年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了.同年日本学術振興会特別研究員(PD),カリフォルニア大学サンタバーバラ校訪問研究員.2009年山梨大学大学院総合研究部助教,2017年同准教授.2021年10月よりJSTさきがけ研究者(IoT).IoTセンサデータ解析,ディジタルファブリケーションに関する研究に従事.情報処理学会山下記念研究賞(2016).

13:45-14:00 休憩

14:00-14:30 講演(3) IoTマルウェアの感染処理に着目したアクセス制御手法

山内 利宏(岡山大学 学術研究院 自然科学学域 教授)

山内 利宏

【講演概要】IoTマルウェア活動は活発に継続しており,ソフトウェアやセキュリティ設定に問題のあるIoT機器への攻撃が続いている.IoT機器のセキュリティを根本的に向上させるためには,OSレベルの対策が重要である.本講演では,IoTマルウェアの感染時に実行されるコマンドとシステムコールをロギングする機構を研究開発し,IoTマルウェアの感染活動を詳細に分析した結果を報告する.また,分析結果からIoTマルウェアの感染動作を明らかにし,正常な処理に影響を与えずに,効果的にシステムコール実行を防止するアクセス制御手法の処理内容と評価結果を紹介する.

【略歴】2002年九州大学大学院システム情報科学府博士後期課程修了.2002年九州大学大学院システム情報科学研究院助手.2005年岡山大学大学院自然科学研究科助教授.2019年より,JSTさきがけ研究員兼任.2021年から現職.博士(工学).オペレーティングシステム,コンピュータセキュリティ,IoTセキュリティ等の研究に従事.情報処理学会,電子情報通信学会,ACM,USENIX,IEEE各会員.

14:30-15:00 講演(4) 機械学習の自動化技術とIoTセキュリティへの応用

白川 真一(横浜国立大学 大学院環境情報研究院 准教授)

白川 真一

【講演概要】IoT環境で生み出されるデータの活用やIoTセキュリティにおいて機械学習の利用が進んでいる.一方,機械学習を効果的に活用するためにはモデル構造や学習設定の試行錯誤的なチューニングが必要不可欠である.このチューニングプロセスを自動化しようとする技術は自動機械学習(AutoML)と呼ばれる.IoTでは多種多様な環境で機械学習モデルが利用されることが想定されるため,利用環境に合わせたモデルのカスタマイズが欠かせない.本講演ではIoT環境のための機械学習の自動化技術やそのIoTセキュリティへの応用を紹介する.

【略歴】2009年横浜国立大学大学院環境情報学府博士課程後期修了.2009〜2010年,日本学術振興会特別研究員.2010〜2012年,株式会社富士通研究所研究員.2012〜2013年,青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科助手,2013〜2015年同助教.2015〜2016年筑波大学システム情報系助教.2016〜2021年横浜国立大学大学院環境情報研究院講師.2021年より同准教授.博士(工学).進化計算や機械学習,およびそれらの応用などの研究に従事.

15:00-15:10 クロージング