情報処理学会第85回全国大会 会期:2023年3月2日~4日 会場:電気通信大学

一般情報教育と数理・データサイエンス・AI教育のこれから

日時:3月3日 9:30-11:30

会場:第1イベント会場

【セッション概要】一般情報教育員会は,社会の高度情報化,初等中等教育における情報教育が進展する中,カリキュラム標準J17の一般情報処理教育の知識体系を改定してGEBOK2017.1を策定し,これに基づいた教科書作成等の活動を進めてきた.GEBOK2017.1には,GE-AID(人工知能とデータ科学)が組み込まれ,新たに作成した教科書にも人工知能とデータ科学の内容を含めている.一方,それとは別に高等教育機関において数理・データサイエンス・AI教育についてはリテラシーレベルの認定などが各大学の関心を集めている.一般情報教育と数理・データサイエンス・AI教育は互いに関連も深く,また,2025年度からの大学の一般情報教育には,高校新課程で学んできた学習者への対応も求められる.本企画では,これらの状況に関連する講演を行ってもらい,その後,大学での実践者をパネリストに加えて,フロアーとともに一般情報教育と数理・データサイエンス・AI教育についての議論を深めていきたい.

司会

湯瀬 裕昭(静岡県立大学 経営情報学部 教授)

湯瀬 裕昭

【略歴】1986年秋田大学鉱山学部電子工学科卒業,1988年同大学大学院修士課程修了,2008年東北学院大学大学院博士課程修了.博士(学術).1988年秋田県立西目高等学校電子機械科教諭を経て,1991年静岡県立大学経営情報学部助手.現在,同大学同学部教授,同大学ICTイノベーション研究センター長.情報教育,遠隔講義システム等の研究に従事.情報処理学会一般情報教育委員会委員長.

9:30-10:00 講演(1) 一般情報教育の世界に、これから来ること

辰己 丈夫(放送大学 情報コース 教授)

辰己 丈夫

【講演概要】2022年から始まった高等学校「情報」で取り扱う内容は、プログラミング、データサイエンス、情報セキュリティ、情報デザイン、情報システムなど多岐に渡る。これからの情報社会を生きていく人が身につけておきたい内容である。2025年には、この「情報」を学んだ最初の学年が大学に入学する。これに合わせて大学入試にも「情報」が取り入れられる。一方で、大学では「数理・データサイエンス・AI」に関する授業プログラムの拡充がなされており、2025年4月からの大きな変化が期待されるところである。本講演では、いまからすべきことについて、議論を深めていきたい。

【略歴】1991年早稲田大学理工学部数学科卒業。2014年筑波大学博士(システムズ・マネジメント)。1993年早稲田大学情報科学研究教育センター助手。その後、神戸大学、東京農工大学を経て、現在、放送大学教授。本会広報小委員会委員長。広聴マーケティング小委員会、広報・広聴戦略委員会、教科書委員会、会誌編集委員会NWG、初等中等教育委員会、教員免許更新講習委員会、一般情報教育委員会の各委員等。2020年6月から2022年5月まで本会理事(新世代)。

10:00-10:20 講演(2) 東京女子大学における数理・データサイエンス・AI教育の取り組み

加藤 由花(東京女子大学 現代教養学部数理科学科 教授)

加藤 由花

【講演概要】東京女子大学は2022年度にデータサイエンス副専攻を設置し,全学レベルでのAI・データサイエンス教育に取り組んでいる.本講演では,リベラルアーツを軸とした文理融合型の教育プログラムの内容を紹介するとともに,文系中心の女子大学における,数理・データサイエンス・AI教育のあり方について考察する.

【略歴】1989年東京大学理学部卒業.同年日本電信電話(株)入社.電気通信大学,産業技術大学院大学を経て2014年より現職.博士(工学).情報ネットワーク,知能ロボティクス等の研究に従事.本会マルチメディア通信と分散処理研究会幹事(2009-2012年度),理事(2013-2014年度,2015-2016年度,2022-),会誌副編集長(2018年度-現在)等を歴任.

10:25-11:30 パネル討論 一般情報教育と数理・データサイエンス・AI教育のこれからを考える

パネル司会 一般情報教育と数理・データサイエンス・AI教育のこれから

喜多 一(京都大学 国際高等教育院 教授)

喜多 一

【討論概要】このパネルでは講演を踏まえて,一般教育としての情報教育と数理・データサイエンス・AI 教育について,高等学校での新学習指導要領で学んでくる 2025 年度以降の新入生への対応なども含めて討論します.

【略歴】京都大学 大学院 工学研究科 博士後期課程 研究指導認定退学,工学博士,
京都大学工学部助手,東京工業大学助教授,大学評価・学位授与機構 教授,京都大学 学術情報メディアセンター教授を経て現職,専門はシステム工学,情報教育

パネリスト

辰己 丈夫(放送大学 情報コース 教授)

辰己 丈夫

【略歴】1991年早稲田大学理工学部数学科卒業。2014年筑波大学博士(システムズ・マネジメント)。1993年早稲田大学情報科学研究教育センター助手。その後、神戸大学、東京農工大学を経て、現在、放送大学教授。本会広報小委員会委員長。広聴マーケティング小委員会、広報・広聴戦略委員会、教科書委員会、会誌編集委員会NWG、初等中等教育委員会、教員免許更新講習委員会、一般情報教育委員会の各委員等。2020年6月から2022年5月まで本会理事(新世代)。

パネリスト

加藤 由花(東京女子大学 現代教養学部数理科学科 教授)

加藤 由花

【略歴】1989年東京大学理学部卒業.同年日本電信電話(株)入社.電気通信大学,産業技術大学院大学を経て2014年より現職.博士(工学).情報ネットワーク,知能ロボティクス等の研究に従事.本会マルチメディア通信と分散処理研究会幹事(2009-2012年度),理事(2013-2014年度,2015-2016年度,2022-),会誌副編集長(2018年度-現在)等を歴任.

パネリスト

和田 勉(長野大学 教職課程 高等学校情報科 非常勤講師(元教授))

和田 勉

【略歴】1978年早稲田大学理工学部電気工学科卒業,1983年筑波大学大学院数学研究科単位取得満期退学,同年東京大学生産技術研究所第3部技官,1984年から長野大学産業社会学部専任講師,助教授,教授,同企業情報学部教授を経て,2022年から同非常勤講師(高等学校情報科教職課程担当).2006年大韓民国高麗大学師範学部コンピュータ教育学科招聘教授.元・本会初等中等教育委員会委員長,本会シニア会員,学会活動貢献賞受賞.

パネリスト

稲垣 知宏(広島大学 情報メディア教育研究センター 教授 情報メディア教育研究センター 教授)

稲垣 知宏

【略歴】1995年広島大学大学院理学研究科博士課程修了.博士(理学).広島大学総合情報処理センター助手,広島大学総合科学部講師,広島大学情報メディア教育研究センター准教授などを経て,2015年から教授.広島大学の情報教育改革,一般情報教育の知識体系改訂等に取り組んできた.主な研究分野は情報教育,情報倫理教育,計算物理学など.情報処理学会情報処理教育委員会委員長.