情報処理学会第85回全国大会 会期:2023年3月2日~4日 会場:電気通信大学

論文必勝法

日時:3月4日 13:20-15:20

会場:第1イベント会場

【セッション概要】論文誌ジャーナル/JIP編集委員会主催の本セッションでは,現在,論文誌への掲載を目指して論文を執筆中もしくは,今後,執筆する予定のある情報処理分野の若手研究者の方々へ有益な情報を提供いたします.具体的には,まず,経験豊富な講師をお迎えして研究成果を論文として執筆する過程についてお話をいただきます.また,パネル討論では,編集委員会から編集長ならびに,各グループの主査による,採録される多くの論文にみられる傾向や,査読コメントへの対応方法などのアドバイス,論文を出す前のチェック事項、および論文誌に関する最近の動向などについて情報提供と意見交換を行います.本セッションは,論文著者の方のみならず,共著者の指導教員,査読をお引き受けくださる方にも必見です.

司会

高倉 弘喜(国立情報学研究所 教授)

高倉 弘喜

【略歴】国立情報学研究所教授.1990九大工卒,1992九大工修士課程修了,1995年京大工博士後期課程修了・博士(工学).イリノイ大訪問研究員,奈良先端大助手,京大講師・助教授・准教授,名大教授を経て2015年より現職.2016年同サイバーセキュリティ研究開発センター長,2022年同ストラテジックサイバーレジリエンス研究開発センター長.サイバーセキュリティに関する研究に従事.IEEE COMPSAC Program Chair in Chiefなどを歴任.

13:20-14:10 基調講演 より効果的な論文執筆を目指して --査読者の視点に立った論文執筆--

鈴木 潤(東北大学 データ駆動科学・AI教育研究センター 教授)

鈴木 潤

【講演概要】論文の採否を決定する要因として,研究の内容が大部分を占めるのは当たり前と言えますが,論文の書き方も大きな要因になります.研究の内容が同じであっても,書き方次第で本来採録になってよい研究内容の論文が不採録になることがあります.特に難関国際会議など採択率が3割を切るような場合はその傾向がより顕著になります.論文の採否を決めるのは査読者なので,査読者目線で論文がどのように読まれるのかを考えて論文を執筆することが採択確率を上げる効果的な方法の一つになると考えられます.本講演では,人工知能関連研究分野の難関国際会議での事例を用いて,査読者の立場で論文を読んだときにどのように論文が読めるかを深掘りし,より効果的な論文執筆の一助となる手掛かりを紹介したいと思います.

【略歴】2001年から2018年まで日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所に勤務.2018年,東北大学大学院情報科学研究科准教授に着任し,2020年より現職.2005年奈良先端大学院大学博士後期課程修了 博士(工学).2008-2009年MIT CSAIL客員研究員.2017年より理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員.2020-2022年Google LLC Visiting Researcher.主として自然言語処理,機械学習,人工知能に関する研究に従事.

14:10-15:20 パネル討論 論文誌の査読プロセスの紹介と,査読をどう通すか

【討論概要】論文誌の査読プロセスの紹介と,査読をどう通すか,について,論文誌編集委員会の各グループ主査の先生方に熱く語っていただきます

パネル討論司会 論文誌の査読プロセスの紹介と,査読をどう通すか

浅井 信吉(会津大学)

浅井 信吉

【討論概要】論文誌の査読プロセスの紹介と,査読をどう通すか,について,論文誌編集委員会の各グループ主査の先生方に熱く語っていただきます

【略歴】会津大学コンピュータ理工学部上級准教授.1996年筑波大学大学院博士課程を修了後,(株)ウェーブフロント勤務を経て,現職.論文誌編集委員会基盤グループ委員(2014年〜2017年),副査(2015年,2016年),主査(2017年).論文誌ジャーナル編集長(2020-),数値解析その他に関する研究に従事.

パネリスト 論文を楽しもう!(著者も、査読者も)

柏崎 礼生(近畿大学 情報学部 准教授)

柏崎 礼生

【討論概要】このイベントが『論文必「勝」法』と名打っていることからも分かるように、論文投稿は勝つか負けるかの勝負であるかのように考えられがちである。事実、そういう側面はある。いち読者は「採録」された論文しか目にする機会がないが、論文誌の編集委員になると、まして副査や主査になると、数多くの「採録」に至る前の論文を目にすることになる。どの投稿も愛おしい。どの査読コメントも愛おしい。論文の著者も、査読者も、勝ち負けとか考えずに論文執筆や査読を楽しんで欲しいと思って、いち研究者としてなんかおもしろいことしゃべります、しらんけど。

【略歴】2005年北海道大学大学院中退。2014年博士(情報科学, 北海道大学)。2022年から近畿大学。情報処理学会では主にインターネットと運用技術(IOT)研究会で活動し、論文誌特集号の編集委員を担当。2019年から論文誌運営委員会(ネットワークグループ)編集委員となり、2021年に副査、2022年に主査を務める。

パネリスト 条件付き採録とは

大野 正樹(株式会社RevComm Research Engineer)

大野 正樹

【講演概要】論文誌ジャーナルへ投稿された論文は,ほとんどの場合,条件付き採録となる。その場合の流れと,条件への対応方法について話したいと思います.

【略歴】2011年早稲田大学大学院修士課程修了, 同年にIBM東京基礎研究所に入社.2022年に株式会社RevCommに入社.

パネリスト 条件付き採録を通すには

伊原 彰紀(和歌山大学 システム工学部 講師)

伊原 彰紀

【講演概要】採録条件に対する著者の回答とそれに対する査読者の判定案をもとに⾏われる論⽂誌編集委員会の議論から,条件付き採録を通すためのヒントをご紹介します.

【略歴】2012年奈良先端大情報科学研究科 博士後期課程修了.博士(工学).同年同大学助教, 2018年より和歌山大システム工学部講師. エンピリカルソフトウェア工学の研究に従事.情報処理学会論文誌運営委員会COMPグループ副査 (2020,2021年度),同主査(2022年度),情報処理学会ソフトウェア工学研究会編集委員(2018〜2020年度),同幹事(2021年度〜)などを歴任.

パネリスト 査読報告書の書き方

里田 浩三(NEC セキュアシステムプラットフォーム研究所 ディレクター)

里田 浩三

【講演概要】査読を引き受けて条件付採録にしたところ,著者が採録条件通りに論文を修正してくれず,困った経験はありませんか.そんなとき,もしかしたらあなたが書いた採録条件は誤解を生みやすいものになっていたのかもしれません.私からは,誤解の生みにくい採録条件の書き方について,ちょっとしたヒントをご紹介します.

【略歴】1991年京都大学工学部卒業.1993年同大大学院工学研究科修士課程了.同年NEC入社.現在NEC セキュアシステムプラットフォーム研究所ディレクター.2020年名古屋大学大学院情報学研究科博士後期課程了.博士(情報学).メディア通信,ネットワーク運用, セキュリティ運用の研究に従事.情報処理学会論文誌編集委員会情報システムグループ主査・副査・編集委員などを歴任.