情報処理学会第85回全国大会 会期:2023年3月2日~4日 会場:電気通信大学

どうする情報科教育!~情報ⅠⅡ,高大接続から考える~

日時:3月3日 12:40-15:10

会場:第4イベント会場

【セッション概要】2020年小学校でプログラミング教育が開始され,年次進行で今年度(2022年度)共通必履修科目「情報I」と2023年度発展的選択科目「情報II」が高等学校で開始される。また,2025年の大学入学共通テストの試験科目に情報Iが追加され,個別学力試験に情報Iを取り入れる大学が現れるなど,情報科を取り巻く環境が大きく変わりつつある.本企画では,1年目の情報Iの授業がどのように行われているのか,また大学の講義内容などから,大学入試や,高等学校での授業へのヒントなどを中心に講演とパネル討論を企画しています.

司会

赤澤 紀子(電気通信大学アドミッションセンター)

赤澤 紀子

【略歴】電気通信大学アドミッションセンター特任准教授.博士(工学).教育の情報化や,初等中等教育における情報教育,特に大学入試における教科「情報」の出題の調査分析や,情報科の知識体系の策定に向けて,教科「情報」の教科書で用いられる用語に関する研究などに従事.情報処理学会では,会誌編集委員などの委員として活動.

12:40-13:10 講演(1) 電気通信大学での「情報」に関する高大連携や入試への取り組み

成見 哲(電気通信大学 大学院情報理工学研究科情報・ネットワーク工学専攻 入試担当副学長)

成見 哲

【講演概要】電気通信大学は,情報や理工学の幅広い教育と研究を行っており,入学時にI類(情報系),II類(融合系),III類(理工系)に分かれるものの,どの類でも「情報」に関して幅広く学ぶことが出来る.初年次には全員が,情報リテラシーやプログラミングは勿論のこと,量子AIやデータサイエンスの基礎も学ぶ.特に文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(応用基礎レベル)プラス」としては国立大学として4大学しか認定されていない.「情報」に関する高大連携プログラムとして,「プログラミング入門」の教室を開いているだけでなく,科目等履修生として大学の単位を先取りする「高大連携・基礎プログラミング」も開講している.2025年度入試では,個別学力検査においても「情報I」を選択科目として課すことや,一部の選抜でCBTを使用する計画についても報告する.

【略歴】1993年東京大学教養学部卒, 1998年東京大学総合文化研究科博士課程修了, 博士(学術).同年理化学研究所基礎科学特別研究員, 2007年慶應義塾大学理工学部特別研究講師, 2009年電気通信大学情報理工学研究科准教授, 2013年同教授, 2022年同入試担当副学長.ハイパフォーマンスコンピューティングやコンピュータハードウェアに関する研究に従事.2000年,2006年,2009年 Gordon Bell Prize.

13:10-13:30 講演(2) 東京都立六本木高等学校における「情報I」の授業実践

千葉 緑(東京都立六本木高等学校 情報科)

千葉 緑

【講演概要】東京都立六本木高等学校は、昼夜間3部制の定時制課程・総合学科・単位制の高等学校です。
また、本校は今までに不登校を経験するなど、自分の力を十分に発揮できなかった生徒が自らの目標の実現に取り組むチャレンジスクールです。
他の学校にはない特色がある本校で1年間「情報I」の授業を行った実践について報告する。

【略歴】東京都立六本木高等学校主任教諭。

13:30-13:50 講演(3) 学習活動を中心に据えた授業展開について~記憶に残る学習活動を繰り返し展開する~

神藤 健朗(世田谷学園中学校・高等学校 教諭)

神藤 健朗

【講演概要】高校1年生で「情報Ⅰ」を学習すると、その後学習しない期間が2年弱あるため、授業で学んだ知識を共通テストまで覚えておくことは困難である。そこで、生徒にとって興味・関心の高い題材は授業が終わっても記憶に残るのではないかと考え、思考力・判断力・表現力に重きをおいた学習活動を授業で取り組んでみた。また、4分野(情報社会の問題解決、コミュニケーションと情報デザイン、情報通信ネットワークとデータの活用、コンピュータとプログラミング)の内容を年間を通して繰り返すことで、知識・技能の定着をはかるよう工夫した。成功事例だけでなく失敗事例も含め、今年度の「情報I」の授業を紹介する。

【略歴】世田谷学園中学校・高等学校情報科教諭。1999年〜民間企業2社(システムエンジニア、IT技術教育インストラクタ)、2005年〜東京都市大学付属中学校・高等学校情報科教諭、2018年〜ドルトン東京学園情報科教諭を経て2021年より現職。2012年より芝浦工業大学非常勤講師を兼務。

13:50-14:40 パネル討論・司会 どうする情報科教育!~情報ⅠⅡ,高大接続から考える~

小原 格(東京都立町田高等学校 全日制情報科 指導教諭)

小原 格

【討論概要】文部科学省の担当者、大学、および高等学校の教員が、まずはそれぞれの立場から、状況や考え方などを講演し、共通理解を図る。その後、「情報入試で大学は受験生にどの程度の内容を要求するのか」「高校の情報科での学習と大学での学習のつながりはどのような形になるのか」等の高等学校からの問題提起や、「文系含め全員がプログラミングやデータサイエンスを学ぶ意味を高校教員はどのように考えているのか」等の大学からの問題提起を元に、討論を深めていく。そして、「総合的な探究の時間」「理数探究」等を含め、高大連携・高大接続はどのようにあるべきか、という内容にも触れていく。

【略歴】1993年数学科教諭として東京都に採用,主幹教諭等を経て現職。東京都教職員研修センター認定講師。現在,青山学院大学,電気通信大学非常勤講師を兼職。情報科教育法,文部科学省検定済教科書・指導書等を執筆。中央教育審議会情報ワーキンググループ委員,文部科学省高等学校学習指導要領の作成協力者,情報処理学会アドバイザリーボードなどを就任。文部科学大臣優秀教職員表彰,情報処理学会より情報教育への取り組みへの感謝状受賞。

13:50-14:40 パネリスト

成見 哲(電気通信大学 大学院情報理工学研究科情報・ネットワーク工学専攻 入試担当副学長)

成見 哲

【略歴】1993年東京大学教養学部卒, 1998年東京大学総合文化研究科博士課程修了, 博士(学術).同年理化学研究所基礎科学特別研究員, 2007年慶應義塾大学理工学部特別研究講師, 2009年電気通信大学情報理工学研究科准教授, 2013年同教授, 2022年同入試担当副学長.ハイパフォーマンスコンピューティングやコンピュータハードウェアに関する研究に従事.2000年,2006年,2009年 Gordon Bell Prize.

13:50-14:40 パネリスト

千葉 緑(東京都立六本木高等学校 情報科)

千葉 緑

【略歴】東京都立六本木高等学校主任教諭。

13:50-14:40 パネリスト

神藤 健朗(世田谷学園中学校・高等学校 教諭)

神藤 健朗

【略歴】世田谷学園中学校・高等学校情報科教諭。1999年〜民間企業2社(システムエンジニア、IT技術教育インストラクタ)、2005年〜東京都市大学付属中学校・高等学校情報科教諭、2018年〜ドルトン東京学園情報科教諭を経て2021年より現職。2012年より芝浦工業大学非常勤講師を兼務。

14:40-15:10 講演(4) 情報教育をめぐる政策動向(仮)

武藤 久慶(文部科学省 初等中等教育局)

武藤 久慶

【講演概要】情報Ⅰをはじめとした情報教育をめぐる課題と国の施策、今後の方向性について、中学校以下の改善方策も含めて、政策担当者が分かりやすく解説します。

【略歴】平成12年文部省入省。教育課程企画室(H15学習指導要領の部分改訂)、人事院長期在外研究員(M.Ed,Harvard Graduate School of Education, Boston College客員研究員)、大臣官房法令審議室、学術機関課等を経て、北海道教育委員会に出向。教育制度改革室長補佐(小中一貫の制度化等)、外務省一等書記官、高等教育局企画官(大学入試改革の再検討等)、大臣官房総務課副長などを経て、令和4年6月よりGIGAスクール構想や小・中・高の情報教育の総括担当の課長職に就任。