情報処理学会第84回全国大会 会期:2022年3月3日~3日 会場:愛媛大学 城北キャンパス

アジャイル開発の契約上の問題点と対策

日時:3/4 9:30-11:30

会場:第3イベント会場

【セッション概要】アジャイル開発に即した準委任契約を策定し2020年6月に公開した.続く83回の全国大会でその後の展開について紹介した.この契約モデルに関する講演やパネルディスカッションでは毎回必ず上がるのが「偽装請負の問題」である.この問題については数年にわたりグループでも議論を重ねてきたのでその問題を整理する.また,アジャイル開発が思うように進まない原因として失敗を許す文化が根付いていないことが挙げられるが,これからのアジャイル開発の契約のあり方に「失敗を許す文化」を導入できるのではないかと考えている.さらに,「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が出されるなど,多様な働き方が提案されている背景を受けて,改めて「アジャイルに適した雇用の在り方」を模索している.これらのことについて当日は講演を行う.パネルでは講演をもとに,セッション参加者と共に日本におけるソフトウェア開発に新しい風を吹き込むためにも,多様で健全な働き方を提案したい.

9:30-11:30 司会 日本におけるアジャイル開発の契約・雇用のあり方

高岡 詠子(上智大学 理工学部 教授)

高岡 詠子

【討論概要】アジャイル開発における準委任型ベースのモデル契約書を公開してから2年が過ぎます.その間にCOVIT-19の影響もあり,働き方がだいぶ変わっています.アジャイルの考え方を企業そのものに,またガバナンスにも適用するという動きが盛んです.前半では,正しい雇用や契約のあり方とは?また,これからの働き方やアジャイルの潮流はどうなっていくのかについて講演があります.パネルでは会場からのコメントや質問をいただきながら日本の働き方についての議論を深めたいと思います.

【略歴】慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業,同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻博士課程修了,博士(工学).現在,上智大学理工学部教授.放送大学客員教授.
医療看護介護用Web/スマフォアプリ等開発と運用,情報教育に従事
2010-16会誌編集委員,2012-16CE研運営委員,2012-17 論文誌編集委員,2014-16TCE編集委員,2012-初等中等教育委員会委員,2015-情報処理教育委員会,2015-LIP-Gr主査,山下記念研究賞,学会活動貢献賞,2016-18/2021-理事(教育)

9:30-10:00 講演 これからのアジャイル契約のあり方

柴田 睦月(中村法律事務所)

柴田 睦月

【講演概要】これからのアジャイル契約の在り方というテーマで、82回全国大会イベントにて、発表した「アジャイル開発向けソフトウェア開発委託契約書(準委任型)」について、正しくアジャイル開発を進めていくために、契約書をどのように活用し、どのような点に留意すればいいのかという点につき、各プレイヤーごとにお話ししたいと考えております。

【略歴】2014年弁護士登録。同年より国内メーカーにて輸出契約交渉、社内コンプライアンスを担当。2017年より、のぞみ総合法律事務所にて独禁法案件、労働問題、国内訴訟等を多数担当。2019年より、小島国際法律事務所にて、渉外案件、M&A案件を担当。現在は、中村法律事務所カウンセル弁護士として、国内外の企業案件に幅広く対応。コンプライアンス対応等に加え、デザイン、NFT、メタバース等の分野に注力。

10:00-10:15 講演 アジャイル契約の問題点:偽装請負

平岡 敦(たつき総合法律事務所)

平岡 敦

【講演概要】アジャイル開発を外部に委託する場合、
①プロダクトオーナーと開発チーム間
②開発チームが委託者と受託者の混成チームである場合のチームのメンバー間での各種のやりとりが指揮命令に該当し、派遣法で禁じられている偽装請負にならないのか?という問題があった。
この問題が解決しないためアジャイルの導入を躊躇する企業もあったと聞く。
今般、厚労省から『「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」 (37 号告示)に関する疑義応答集(第3集)』が出され、この問題に対する一定の解決が図られている。
この質疑応答集の内容及びそれがアジャイル開発の実務に与える影響について解説する。

【略歴】1990年早稲田大学第一文学部哲学科卒業.2019年筑波大学大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻博士前期課程修了.修士(法学).1990年から(株)シーエーシーに勤務.2000年司法試験合格,2002年から弁護士(原後綜合法律事務所),現在に至る.日弁連弁護士業務改革委員会副委員長,第二東京弁護士会業革委員会委員長,情報処理推進機構(IPA)社会実装推進委員会委員・情報処理技術者試験委員,内閣府日本経済再生本部裁判手続等のIT化検討会委員等

10:15-10:30 講演 アジャイル開発に適した雇用のあり方

市毛 由美子(のぞみ総合法律事務所 弁護士)

市毛 由美子

【講演概要】アジャイル開発において、チームメンバーはそれぞれ自律している事が求められ、誰かが誰かを指揮命令をするような関係は好ましくない。他方で、ユーザー従業員とベンダー従業員が混在する中で、それぞれの雇用主は労働者の安全健康管理の点から労務的な指揮命令監督は行わざるを得ない。更に、アジャイル開発による労務問題として偽装請負と判断されるリスクの問題、これを克服するための工夫すべき事項、また、昨今のコロナ禍を経た働き方の変容なども踏まえたうえで、アジャイルチームを構成するメンバーの雇用形態はどのような形態が望ましいのかを検証したいと思います。本講演では、この点について議論を整理し、問題提起を行いたいと思います。

【略歴】平成元年弁護士登録,日本アイ・ビー・エム株式会社法務部,都内法律事務所を経て平成19年~のぞみ総合法律事務所パートナー,平成21年度第二東京弁護士会副会長,平成22年9月~平成24年8月日本弁護士連合会事務次長,現在,情報処理学会LIP所属,総務省情報通信審議会委員,㈱FOOD & LIFE COMPANIES(旧社名㈱スシローグローバルホールディングス)社外取締役,アスクル㈱社外取締役

10:30-10:45 講演 アジャイルの潮流 エンタープライズアジャイルへ

中野 安美(Agility Design 代表取締役/アジャイルコーチ)

中野 安美

【講演概要】ソフトウェア開発の世界から生まれた「アジャイル」がソフトウェア開発だけでなく,経営へその考え方を取り入れ,組織変革の手段として広く展開されはじめています.しかし,組織へアジャイル導入するとなると,企業文化を変革して固定観念を変えるための組織構造や社内ガバナンスの見直し,システム開発においてはベンダーとの契約や品質管理など見直すべき所が多岐にわたります.当セッションでは,組織へアジャイルを展開するにあたり,経営企画や人事など間接部門の関わり方についてご説明します.

【略歴】アジャイルコーチ,働く女性のメンター
生保IT子会社にて生命保険分野のシステム開発にプロジェクトマネージャとして長年従事.2015年よりアジャイル開発,新規事業サービスデザインなどを社内で推進.その後クラウドサービスベンダーを経て,アジャイル・クラウド開発を通じて競争力のあるビジネス創出や働き方の改革を推し進めたい思いから2019年9月AgilityDesign(株)を設立.組織へのアジャイル導入支援やグループコーチングによるセルフマネージメント強化支援を行う.アジャイル経営カンファレンス実行委員長,AgileJapan2020実行委員長

10:45-11:00 講演 アジャイルがもたらす新しい WoW!

木下 史彦(永和システムマネジメント)

木下 史彦

【講演概要】2021年9月に厚生労働省から「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集」が発表されている.ここでは発注者側と受注者側の開発関係者が対等な関係の下で協議することや開発担当者が自律的に判断して開発作業を行うといったアジャイルな働き方(Ways of Working)が前提として謳われている.
本セッションではアジャイルな働き方について,その起源や背景,従来の指揮命令型との対比なども含めて解説する.アジャイル開発およびアジャイルのモデル契約を理解される上での一助となれば幸いである.

【略歴】アジャイルコーチ ・ Agile Studio プロデューサー
2005年頃からエクストリームプログラミングを開発現場で実践.2010年には「価値創造契約」を提唱.
現在はアジャイルコーチとして「まっとうなアジャイル開発」を標榜して日々コンサルティング・コーチング活動に従事.自動車メーカー,医療機器メーカー,通信キャリア,金融機関などのDXを推進.
監訳書に『アジャイルプラクティス』(オーム社),『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』(オライリー)がある.

11:00-11:30 パネル司会

高岡 詠子(上智大学 理工学部 教授)

高岡 詠子

【略歴】慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業,同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻博士課程修了,博士(工学).現在,上智大学理工学部教授.放送大学客員教授.
医療看護介護用Web/スマフォアプリ等開発と運用,情報教育に従事
2010-16会誌編集委員,2012-16CE研運営委員,2012-17 論文誌編集委員,2014-16TCE編集委員,2012-初等中等教育委員会委員,2015-情報処理教育委員会,2015-LIP-Gr主査,山下記念研究賞,学会活動貢献賞,2016-18/2021-理事(教育)

パネリスト

市毛 由美子(のぞみ総合法律事務所)

市毛 由美子

【略歴】平成元年弁護士登録,日本アイ・ビー・エム株式会社法務部,都内法律事務所を経て平成19年~のぞみ総合法律事務所パートナー,平成21年度第二東京弁護士会副会長,平成22年9月~平成24年8月日本弁護士連合会事務次長,現在,情報処理学会LIP所属,総務省情報通信審議会委員,㈱FOOD & LIFE COMPANIES(旧社名㈱スシローグローバルホールディングス)社外取締役,アスクル㈱社外取締役

パネリスト

平岡 敦(たつき総合法律事務所)

平岡 敦

【略歴】1990年早稲田大学第一文学部哲学科卒業.2019年筑波大学大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻博士前期課程修了.修士(法学).1990年から(株)シーエーシーに勤務.2000年司法試験合格,2002年から弁護士(原後綜合法律事務所),現在に至る.日弁連弁護士業務改革委員会副委員長,第二東京弁護士会業革委員会委員長,情報処理推進機構(IPA)社会実装推進委員会委員・情報処理技術者試験委員,内閣府日本経済再生本部裁判手続等のIT化検討会委員等

パネリスト

柴田 睦月(中村法律事務所)

柴田 睦月

【略歴】2014年弁護士登録。同年より国内メーカーにて輸出契約交渉、社内コンプライアンスを担当。2017年より、のぞみ総合法律事務所にて独禁法案件、労働問題、国内訴訟等を多数担当。2019年より、小島国際法律事務所にて、渉外案件、M&A案件を担当。現在は、中村法律事務所カウンセル弁護士として、国内外の企業案件に幅広く対応。コンプライアンス対応等に加え、デザイン、NFT、メタバース等の分野に注力。

パネリスト

中野 安美(Agility Design 代表取締役/アジャイルコーチ)

中野 安美

【略歴】アジャイルコーチ,働く女性のメンター
生保IT子会社にて生命保険分野のシステム開発にプロジェクトマネージャとして長年従事.2015年よりアジャイル開発,新規事業サービスデザインなどを社内で推進.その後クラウドサービスベンダーを経て,アジャイル・クラウド開発を通じて競争力のあるビジネス創出や働き方の改革を推し進めたい思いから2019年9月AgilityDesign(株)を設立.組織へのアジャイル導入支援やグループコーチングによるセルフマネージメント強化支援を行う.アジャイル経営カンファレンス実行委員長,AgileJapan2020実行委員長

パネリスト

木下 史彦(永和システムマネジメント)

木下 史彦

【略歴】アジャイルコーチ ・ Agile Studio プロデューサー
2005年頃からエクストリームプログラミングを開発現場で実践.2010年には「価値創造契約」を提唱.
現在はアジャイルコーチとして「まっとうなアジャイル開発」を標榜して日々コンサルティング・コーチング活動に従事.自動車メーカー,医療機器メーカー,通信キャリア,金融機関などのDXを推進.
監訳書に『アジャイルプラクティス』(オーム社),『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』(オライリー)がある.

パネリスト

和田 憲明(富士通株式会社)

和田 憲明

【略歴】情報処理推進機構(IPA)アジャイルWGメンバ(2017年~).ITベンダー所属.2006年に社内でアジャイルコミュニティを作り普及活動を実施してきた.2011年からは,本業として社内のアジャイル支援活動に従事している.また,社外の様々なアジャイルコミュニティにも参加しており,日本でのアジャイルの潮流を長年肌で感じてきた.趣味はジャグリングを多くの人達に教えること.「ジャグリングは見るよりやる方が100倍面白いですよ」

パネリスト

居駒 幹夫(青山学院大学 社会情報学部 学部特任教授)

居駒 幹夫

【略歴】日立製作所で大規模ソフトウェア製品の品質保証,ソフトウェア生産技術などを担当.2018年より青山学院大学で教育・研究活動.社会人向けの教育プログラムADPISA運用.博士(情報学).主な著書:「アジャイル開発のプロジェクトマネジメントと品質マネジメント」(日科技連),「ソフトウェア品質保証の基本」(日科技連)