集積ナノフォトニクスをベースにした光電融合演算アクセラレータ
納富 雅也(東京工業大学/NTT物性科学基礎研究所)
光によるコンピューティングは1980年代から90年代にかけて活発に研究されたが、当時CMOSプロセッサに対する優位性を見出すことはできなかった。近年、ムーアの法則の終焉が議論される中で、光による演算技術が再び見直されている。ただし、かつてと境界条件及び切り口が異なっている。重要な相違点は、ナノフォトニクスをベースとした光集積技術が使えるという点にある。この点は次のようなインパクトを持つ。1)素子サイズの小型化により光の伝搬によって実行される演算形式の大幅な低遅延化が可能となった。2)大規模な干渉系をチップ内に実現できることで光の干渉を演算に利用できるようになった。3)ナノフォト技術により光電変換の効率が劇的に向上した。我々は、ナノフォトニクス技術をベースに上記の特徴を生かして、CMOSプロセッサと協調して動く、光電融合の演算アクセラレータを目指した研究を行っており、講演では現在行っている研究の概要を紹介する。