近年，車載測距センサ等への攻撃に関するセキュリティ研究が多数報告されている．センサが攻撃を受けた時に誤った測距値を出力する原因として，なりすまし攻撃波に対して正常な測距演算処理が行われた結果誤った測距値となる場合と，異常な攻撃波が混入した結果センサの受信信号処理演算中に誤った測距値が算出される場合がある．従来研究においては主として前者の攻撃事例が報告されている．本研究では，後者の事例として２種類の赤外線測距センサを対象デバイスとし，攻撃実験を実施した結果を述べる．さらに，異常測距値が算出されたメカニズムを解明するために，処理演算回路の動作をシミュレータで解析して考察した結果を報告する．