一般に，マイクロ波増幅器はトランジスタの最大動作周波数fmaxよりも大幅に低い（通常はfmax/4以下の）周波数帯で動作するよう設計されることが多い．しかしながら，ミリ波帯で動作する増幅器の場合，fmax/2を超える高い周波数での設計が必要な場合もある．このようなニアfmax増幅器ではトランジスタの利得が小さいため，何らかの方法で利得を増大させることが望まれる．本稿では，トランジスタに無損失かつ可逆(reciprocal)なフィードバック回路網を接続して利得を増大させる技術に着目し，高利得増幅器の設計理論を提案する．本稿の理論を用いることで，ニアfmax賞信号増幅機の設計が見通し良く行えるようになる．