64QAM変調方式を用いた60GHz帯無線通信を実現するためには、広帯域かつ低位相雑音な局部発振器が求められる。60GHz帯では表皮効果により受動素子の損失が大きく、この要求を満たすのが難しい。
本研究では、注入同期技術を用いることで、広帯域と低位相雑音を両立するとともに、発振器の周波数変動を補償する回路を実装した。また、位相同期回路にサブサンプリングを利用し、ループ帯域内の位相雑音を低減した。これにより、1MHzオフセットで-96.5dBc/Hzの位相雑音性能を達成し、世界初の60GHz帯での64QAM通信を実現した。