電子情報通信学会ソサイエティ大会講演要旨
AK-1-
集束超音波治療の工学的基礎
梅村晋一郎(東北大)
強力集束超音波治療,特に加熱凝固治療を中心としてその工学的基礎について述べる.超音波のもつエネルギーは分子レベルでは希薄であるが,それを熱として蓄積することにより,生体組織に不可逆変化をもたらすことができる.強力集束超音波(HIFU)による治療はその応用に相当する.超音波エネルギーが熱に変換される効率すなわち吸収係数は,生体組織の場合,超音波周波数におよそ比例するので,超音波が治療目的組織まで生体中を伝播する距離に応じて,周波数を選択する必要がある.また,超音波照射時間を,熱伝導による拡散が目立たない時間内に設定すれば,集束超音波の空間的選択性を生かすことができる.一方,治療目的外組織の過熱を防ぐには,血液灌流による冷却のための休止時間をおく必要があり,これがHIFU治療のスループットを低めている.これらをできる限り原理から説明するとともに,治療スループットを向上させる研究についても言及する.