電子情報通信学会総合大会講演要旨
A-12-2
パーソナルデータの利活用に携わる人材における倫理的思考の形成過程について ――コンピュータ科学者の事例研究――
◎加藤弘則・伊藤昌毅・瀬崎 薫(東大)
データ利活用の現場におけるプライバシー問題を理解するためには,ユーザーのプライバシー観だけでなく,利活用の背景にあるコンピュータ科学の成り立ちや,何を理想としてデータ利活用技術が発展してきたかについての理解も重要である.以上を踏まえ,デバイスやシステム作りに携わるコンピュータ科学者を対象に半構造化面接法を用い,各人の倫理観の汲み取りとその醸造過程を検討した.その結果,コンピュータ科学者は技術を自らのアイデンティティの源にしたうえで,各人の倫理観は技術が莫大な富をもたらす現実を背景とした功利主義に根差したものと,各人が描く「より良い社会」の実現という,未来を見据えた世代間倫理の間で絶えずせめぎあっていた.