一般講演

4-201

二関節筋再現機構を持つ2リンクマニピュレータのシミュレーションモデル

◎上野泰伴・宮崎敏昌・大石 潔（長岡技術科学大学）

生体特有の機構である二関節筋をロボットに組み込み、手足の制御に応用しようという研究がなされている。この二関節筋を電動モータで再現する手法として遊星歯車を用いた機構が提案されている。しかしながら遊星歯車機構は複数のギアが相互に干渉しあう複雑な機構であるため、正確なモデル化がされていない。そこで本論文では2リンクマニピュレータを含めた遊星歯車機構のモデルを提案している。このモデルのシミュレーションと実験機の応答結果を比較し、実験機と同様のシミュレーション結果を得られることを確認した。

4-202

二関節筋を備えたロボットアームにおける遊星歯車機構の特徴による速度制御手法

○原田翔太・宮崎敏昌（長岡技術科学大学）

従来の二関節ロボットアームは各関節を直接駆動する方式で構成されているが，実際の生物の四肢は各関節を駆動する単関節筋だけでなく，2つの関節に跨って作用する二関節筋を有することが知られている。この二関節筋を遊星歯車機構の3入力2出力で使用することにより実現することが試みられており，アームの手先出力の拡大，レッグロボットの蹴り出し等で良好な性能を示すことが確認されている。しかし，位置制御または軌跡追従制御を行いたい場合に速度拘束条件によって難しく速度制御の帯域を上げると歯車のかみ合いにより破損の恐れがある。そのために速度制御の帯域を上げないで希望の応答が実現できるように位置制御を行う目的とする。

4-203

介護用パワーアシストリフトの被介護者における身体的負担の評価

◎青木優吾・伊藤和晃・犬塚勝美（豊田工業高等専門学校）

少子高齢化が進行する今日において，増加傾向にある介護者の精神的・肉体的負担の軽減が課題となっている。本研究では，被介護者の移乗動作における介護者の負担軽減を目的に，介護用電動パワーアシストリフトを開発する。提案リフトは高価な力センサを用いず，操作力推定オブザーバにより介護者の操作力を推定する。推定した操作力からインピーダンス制御に基づき位置指令を生成し，位置制御ベースのパワーアシスト動作を実現する。本稿では，提案動作が被介護者に与えうる精神的負担を，実運用されているエレベータの速度特性との比較によって評価し，精神的負担に大いに関係すると思われる停止ショック量を低減すべくアルゴリズム変更を行う。

4-204

4軸駆動型電動船舶のための推力モードスイッチング船体運動制御

◎宮原一博・宮﨑敏昌・大石 潔（長岡技術科学大学）・北条善久（東洋電機製造）

近年、環境問題改善や操船性向上を目的として電気推進船舶が注目されている。 本研究では、舵を持たない4軸駆動型電動船舶について運動制御法を研究している。本船は従来船舶と比べて運動性能が向上するが、複数のプロペラにより、推力制御系が複雑化する懸念がある。そこで、基盤となる4つの推力出力モードを選定し、それらを高速でスイッチングすることで船舶の前後左右運動を行う制御法を提案し、前進運動に関してシミュレーションを用いて有効性を検証した。その結果、通常の一定推力での運動と提案する推力モードスイッチングによる運動は、その前進速度において99.99%の一致を確認し、提案法は推力制御系の簡易化に有効であることを確認した。

4-205

電動耕耘機における耕耘反力のモデリング

◎多田武流・宮崎敏昌（長岡技術科学大学）

本稿では、電動耕耘機における耕耘反力についてそのモデル化を行い、シミュレーションによってモデルの出力波形を確認した。実際の耕耘機のロータリ部分において、耕耘刃の回転によって周期的な反力が発生すること、またその反力はどの深さの土を掘っているかによって変化する事を式の上で再現し、シミュレーションを行うと、深さによって反力が増大し、ロータリ部分の力関係により周期的に反力が変動することが確認できた。今後実験を行い、シミュレーションと実験結果を

4-206

リニアアクチュエータを用いたせん断力測定およびフィードバック機構の開発

◎宮元大地・五十嵐 洋（東京電機大学）

近年，人口における高齢者の割合が増加している．それに伴い，介護従事者にかかる負担もとても大きくなっている．実際に，腰痛などの発症も増加している．本研究では，これらの要因である体位変換に注目し，その対象である褥瘡にフォーカスする．褥瘡の原因である，せん断力の計測に加え，フォースフィードバックが可能なシステムを提案し，プロトタイプを開発した．基礎実験として，圧力およびせん断力の計測が可能であることが示唆された．今後，計測精度の向上に加え，自由度を増やすことで，複雑な動きをフィードバックできるシステムに拡張する．これによって，専門的な知識を要求される介護の自動化が期待できる．

4-207

移動型接触対象に対する相対加速度プロファイルに基づく撃力抑制力制御

◎真木隼斗・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

近年，対象からモータへ加わる力を制御する力制御系に関する研究が盛んに行われている。 力制御系は接触対象からモータへ加わる反力の制御を行う制御系であり，位置制御とは異なり接触時に対象に対して大きな力を加えることはない。 しかし，対象に接触していない場合の力制御系において，対象に接近し接触した際に撃力が発生する。 そこで，力制御系の力指令値に対象とモータの相対位置および相対速度にゲインを掛け，指令値に足し合わせることで撃力を抑制する。 また，本稿では対象が移動している状況を想定し，対象とモータの相対加速度を考慮することで撃力を抑制するための方法を明らかにする。 また，提案法の有効性を実験によって確認する。

4-208

Transactive Energyに基づくネガワット取引による社会厚生変化に関する一検討

◎森谷綾乃・吉田佑作・山口順之（東京理科大学）

再生可能エネルギー発電や新しい電力応用機器の普及に伴う電力需給変動の増大が，系統運用・制御を困難にすることが懸念されている。 海外の先行検討では、需要側と供給側の機器同士が直接通信してリアルタイムで需給の情報をやり取りし、それを電力市場価格に反映するTransactive Energy（TE）という概念が提案されている。 TEの実現には通信技術の向上が必要とされるが、国際的検討な検討によって技術面での実現可能性は今後高まっていくことが予想される。そこで本研究では、業務・産業部門の需要家が有する分散型資源の限界費用を利用して、TEの概念に基づいた電力取引の経済性の価値評価をする。

4-209

Site-oriented mean-field(SOMF)によるインテリジェント交通流の近似解析

◎張 征陽・星野貴弘・浜松芳夫（日本大学）

交通システムは、高度道路交通システム（ITS）の発展によって大きく変化した．ITSの発展の例としては、クルーズコントロール(以降，CC)をはじめとする定速走行機能とアアダプティブクルーズコントロール(以降，ACC)をはじめとする車間制御機能付き定速走行機能がある．それらの機能によって，運転者の疲労軽減だけでなく，渋滞の緩和効果も期待されている．近年このようなACC，CC車両の普及率増加に伴い，今後の交通現象をよく再現するにはACCとCC車両が混在する交通流を検討する必要がある．本稿では、ACCとCC車両を考慮した交通流モデルにおける流量や平均速度といった諸量をSite-oriented mean-field(SOMF)近似によって導出する．

4-210

レーザースキャナを活用した軌陸車の誤進入検知システムの開発

◎原田 諭・黒澤良史（東日本旅客鉄道）・槙 修一・初本慎太郎（日立産機システム）

当社では、列車と工事用重機（軌陸車）の衝突事故を受け、レーザースキャナにより検知した軌陸車の位置と線路閉鎖（安全に作業できるエリア）の情報を照合することで必要に応じて警報を鳴動するシステムを開発した。本システムでは、軌陸車に搭載されたレーザースキャナにより、周囲の構造物までの距離と方向を認識することで自車の位置を特定することができる。 本システムの有効性を確認するため、軌陸車が検知エリアに進入してから警報が鳴動するまでの時間について評価した。結果、軌陸車が線路に誤進入してから1秒以内に警報の鳴動させることが可能であり、軌陸車の運転手等に危険を知らせる手段として有効であることを確認した。

4-211

交通ボトルネック周辺での車間制御機能付き車両の導入効果

◎久保良介・星野貴弘・浜松芳夫（日本大学）

高速道路をはじめとする自動車専用道路では，自然渋滞の発生頻度が最も多いといわれている．この原因として，適切な速度と車間距離が維持されなかった結果，発生することが知られている．近年，ITS技術の発展に伴い，車間制御機能を搭載する車両（以降，ACC車両）が増えつつある．ACC車両の増加は，渋滞の低減に一定の効果があると考えられる．本稿では，システム内にACC車両と車間制御機能を搭載していない一般車両の2種類が混在する交通システムを対象とする．既存の交通流モデルを基に，ACC車両を混在させた交通流モデルの速度分布を明らかにする．また，ACC車両の配置及び配分が交通流に及ぼす影響について検討する．

4-212

米国でのHVDC給電システム実証事業〜HIKARIプロジェクト〜

◎林 俊宏・臼井健一・矢島寛也・吉田吉晃・廣瀬圭一（NTTファシリティーズ）

高電圧直流（HVDC）給電システムは、データセンターにおける電源システムの省エネ技術として着目されている。HVDC給電システムの今後の海外普及を目的として、NEDOからの委託により、HVDC給電システムの実証事業―HIKARIプロジェクトを米国テキサス州にて2015年8月より開始した。本プロジェクトでは、HVDC給電システム、太陽光発電システム、リチウムイオン電池を導入し、スーパーコンピュータ等のICT機器、空調機、LED照明に給電している。本システムは2016年8月に構築を完了し、順調に運転を続けている。今後は、システムの運転安定性、省エネ性能、および経済性の評価を実施予定である。

4-213

レーザーバリアを用いた軌陸車の検知について

◎徳永 亘・手代木卓也（東日本旅客鉄道）・辻川琢也（日立製作所）・住吉 亨・増井健志（日立情報通信エンジニアリング）

京浜東北線川崎駅構内で発生した列車と軌陸車の衝突を受け、高精度GPSを用いて軌陸車の位置を検知して列車との衝突を防止する保守用車ロケーションシステムの開発を行っている。本システムは軌陸車1台ずつ装置を設置するため、多数の軌陸車が作業を行う工事用搬入路では機器操作や維持管理コスト増大などユーザーの負担が大きくなる。そこで、工事用搬入路に設置したレーザーセンサーがレーザー光を発射して軌陸車を検知するレーザーバリアを用いた軌陸車検知装置を試作して機能確認試験を行ったので報告する。

4-214

輸送障害時における運転整理提案アルゴリズムの枠組み

○中村達也・田中峻一（西日本旅客鉄道）

輸送障害時の運転整理は現在指令員の経験と勘に基づく手作業を主に行われている。そのため、複雑な運行サービスの提供エリアにおいて一定以上ダイヤが乱れ、人間の処理能力を超える情報が指令室内に輻輳・集中すると、運転整理案を作る基となる情報を十分把握できないうちに状況が変化し、さらに問題が複雑化する悪循環を引き起こすことがよくあり、ミス発生のリスク増大や、ダイヤ回復や情報提供の遅れを招いている。これらの解消には、人手での運転整理手順を体系的に整理し、コンピュータにより整理案を自動生成し、整理後のダイヤを短時間で確定する仕組みを作ることが有効である。本稿では、そのアルゴリズムの枠組みについて提案する。

4-215

ETC車両検知器データによる車種判別

◎増島悠人・泉 隆・高橋友彰（日本大学）・山内伸一郎（首都高ETCメンテナンス）・及川宗敏（首都高速道路）

ETC(Electronic Toll Collection System)は高速道路料金所で料金収受を無線通信により行うシステムである。本研究は，ETCレーンシステムにおけるETC車両検知器の高度化を目的として，車両検知器データから車種と関連のある特徴量を抽出し，料金区分（軽自動車等，普通車，中型車，大型車，特大車）別の車種判別について検討している。本稿では，車種判別精度向上のために，AdaBoostを利用した車種判別における弱識別器の算出方法の検討，並びにその有効性確認のための車種判別実験について報告する。

4-216

電源コードの素線短絡検出器の試作と評価（第3報）

太田秀俊・阿部哲平・深川健太・○水野幸男（名古屋工業大学）・吉田敦至（河村電器産業）

電気機器火災の主要原因のひとつである電線の短絡を検出し火災を未然防止するため、素線短絡検出器を内蔵する壁付コンセントを試作した。素線短絡が発生した場合に生じる電圧波形の歪みを特徴付ける検知時間と電圧波形の歪みの持続時間に基づく素線短絡判定条件を満たすかどうかを検出回路で判定し、満たす場合にはブレーカを作動させて電力供給を遮断する機能を有する。種々の回路条件下で検出器の評価を行った結果、判定条件に基づき正確に作動すること、負荷接続・遮断時の過渡現象による電圧波形の歪みでは誤作動は生じないことを確認した。

4-217

機器保守向け不良要因推定手法

○遠山泰弘・平井規郎（三菱電機）

生産装置、空調、ビル設備等の機器において、故障・異常等の不良発生時の保守作業効率化のため、不良要因を推定するニーズがある。従来、センサデータの相関変化から不良の検知、要因推定をする手法があった。本稿では、センサデータと併せて、設定値や機器情報等のカテゴリデータを利用して相関分析することで、不良検知、要因推定の精度を向上する手法について述べる。

4-218

平板導体を利用した高周波加熱の検討

◎朝倉良太・桑野寛久（三菱電機）

高周波加熱は産業分野においても、蝋付けや焼き入れなど様々な用途に利用されており、加熱コイル形状や加熱条件など最適条件を見出す検討が行われている。提案方式では、加熱対象（ワーク）を加熱するコイルを1 ターンの平板導体で実現するため、N:1 トランスを介して、共振インバータに接続された1 次側巻線から1 ターンの平板導体に高周波電流を供給する構成とした。原理上、1 次側巻線に高周波小電流を流し、2 次側には高周波大電流を供給できる。本方式は、平板導体でコイルを形成できるため、自由な形状のワークを加熱でき、また加工が容易であるためコイルの製造ばらつきを小さくすることができる。解析により提案方式の有効性を確認した。

4-219

デシカント空調システムにおける風量-除湿特性に関する研究

◎藤澤一平・石川敏嗣・林 則行（宮崎大学）

我々は150 ℃以下の排熱を用いたデシカント空調システムを利用し, 温室内環境改善を目的とした研究を行っている. 先行研究では, 外気の絶対湿度が低い場合, 外気を除湿する換気方式を用いると本研究で目標とする温室内の温湿度(18~25℃, 60~80%)に制御できないことが分かっている. また, デシカント空調システムで除湿できる水分量は送風機の風量に依存していることが分かっている. 今回は, 換気方式を用いて二つの条件で温室内の除湿試験を行った. また, それぞれの結果に応じて風量を変えて比較を行ったので報告する.

4-220

高性能コンパクト形インバータ全閉自冷タイプの熱流体解析

◎櫻井賢彦・森 俊二・野村尚史・金子公寿（富士電機）

近年，システム全体の小型化，省配線化によるコストダウンが可能となることからインバータの分散設置が注目されている。インバータの分散設置例を図1に示す。分散設置ではモータ直近にインバータを設置するため，インバータには，小型かつ水や粉塵，オイルミストなどの多い悪環境でも適用可能な耐環境性が必要になる。この要求に対応するために，現在主流となっているSiを使用したパワー半導体に対して，小型，低損失なSiCを使用した高性能コンパクト形インバータ全閉自冷タイプを試作した。 本論文では，試作したインバータの特徴と熱流体解析について報告する

4-221

2次高調波共振・拡大現象の産業プラントでの実システム検証

○芦崎祐介・板谷陽平・宍田康裕（東芝三菱電機産業システム）

産業プラントの母線統合により2次高調波が共振・拡大する事象に関して、事前の高調波解析結果を検証するため、実系統で試験的に短時間の母線統合を行い、解析結果と同様の共振現象が発生することを確認した。

4-222

旋盤型電解放電加工機のためのサーボ式力センサ

○原田 慶・古谷克司（豊田工業大学）

無機絶縁体への微細加工を目的とした旋盤型電解放電加工法での加工速度向上には，工具電極と被加工物が常に接触した状態で，押付力を0.1N以下の微小力にする必要がある．磁気吸引機構を持つ高剛性なサーボ式力センサで定圧制御する時には，硬い対象に接触させると力センサを変位させるステージの動きが振動的になる．そこで，押付力を安定化するため，電圧と変位と押付力の関係を多項式近似し定圧制御を行った．対象物が300μmp-pで変位した時の押付力を力センサで測定すると，0.01〜0.1Nで制御できていた．ガラス棒に60min間で深さ370μmの溝を加工できた．

4-223

3次元形状造形可能なモータコア製作用3Dプリンタの設計・製作と実験

◎大石尚典・藤本康孝（横浜国立大学）

近年、高性能なレーザの開発や粉末材料の開発などによって、高速で高密度・高精度な金属製品を直接製作するための3Dプリンタの開発が進められている。 本稿で提案している3Dプリンタは、モータコアの一例として、本研究室で独自に開発されているスパイラルモータのコアに焦点を置いている。 従来の製作法では、接着作業の手間、接着材がはみ出てしまう、プレスする方向への精度の誤差が生じてしまうといった問題点が発生してしまう。 本稿では、これらの問題点を改善する3次元形状造形可能なモータコア製作用3Dプリンタの設計・製作と混合材料へのCO2レーザ照射実験について示す。 その結果により、提案方式による造形は用途によっては実用に耐えられることが分かった。

4-224

単純適応制御を用いたACサーボモータの追従制御

◎尾花雄一郎・黄 慶九（工学院大学）

サーボモータの位置決め制御において、負荷が変わると制御ゲインの再調整を行わなければならない。本研究では、負荷が変わっても制御ゲインを再調整せず、高い適応性をもつサーボ系を実現するために、適応制御の中でも比較的実現が容易である単純適応制御をもとにサーボモータの位置決め制御システムを構築する。制御設計はMATLAB/Simulinkを用いることにより行い、ブラシレスDCモータを制御対象としたシミュレーションを行うことにより、シミュレーション上において良好な追従を確認することができ、本研究手法の有効性を示した。

4-225

未知システムの推定インパルス応答に基づく制御系設計法

◎寺西 郁・嶋田直樹（石川工業高等専門学校）

本研究では未知システムの推定インパルス応答に基づいて制御系を設計するIRBC（Impulse Response Based Control）を提案する．従来のMBC（Model-Based Control）では，制御対象のモデルが既知でなければならず，未知のシステムに対してはシステム同定を行う必要がある．しかし，従来のシステム同定法では，高い推定精度の確保や実験条件の設定が難しいことが多い．そこで，音響分野で用いられているTSP信号を用いて，多慣性共振系のインパルス応答を推定し，これに基づく制御系の設計が可能であることを数値シミュレーションと実機実験を行い検討した．従来の研究で行ったスイープ信号による周波数特性試験とほぼ同様の結果を得た．

4-226

サーボシステムの動的解析モデルに関する研究

◎森田昌一・黄 慶九（工学院大学）

産業用ロボットおよび駆動用のACモータの需要増加に伴い、高性能かつ省エネルギーなサーボシステムが求められており、ロバスト制御、適応制御、省エネルギー制御が該当すると考えられる。 本研究では、それらの新たな制御の考案と適用を実現することを目標とし、その準備段階として、モータメーカで市販されているサーボモータの仕様に基づいたサーボシステムの解析モデルの構築およびステップ応答解析を行い、整定時間を測定した。その結果、モデルの整定時間が市販品の整定時間の範囲以内に収まり、適切な速応性が得られた。したがって、構築したモデルがロバスト制御、適応制御、省エネルギー制御の考案と適用における準備として有効であることを示した。

4-227

プラント同定における周期的周波数不感帯を考慮したFRA法

◎立花弘貴・前田佳弘・岩崎 誠（名古屋工業大学）

共振モードを有する精密サーボシステムにおいて，精密プラントモデルに基づく制御特性解析や制御器設計は，最終的な制御性能を左右する重要項目の一つである。精密プラントモデルの獲得に際し，正弦波やM系列信号などのプラント同定用の加振信号を用いたFRA法が産業界で広く用いられている。しかし，実際の位置決め動作時における物理挙動は加振時のそれと異なることがしばしば経験されており，従来FRA法では試行錯誤的なモデルパラメータの調整に多大な労力を要することも少なくない。 本稿では，位置決め動作時の時系列信号に対するFRA法の枠組みにおいて，周期的な周波数不感帯によるFRA誤差の抑制法を提案し，その効果を実機実験により検証する。

4-228

ロボットの位置と力のハイブリッド制御

◎花房拓哉（工学院大学）

将来ロボットは工場だけでなく、家庭や公共施設など、より身近な場所で使用され、人と同じような作業が求められることが予想できる。ロボットがさらに人間に近い作業に適応して行くには、より複雑な物体を把握、操らなければならない。これを実現するためにはロボットは位置だけではなく、力を扱う必要がある。本研究は、2自由度マニピュレータに対して、位置制御と力制御を組み合わせた位置と力のハイブリッド制御を適用させ、その動作をシミュレーション内で実験、再現する。位置制御と力制御を組み合わせた位置と力のハイブリッド制御によって、位置制御だけでは困難であった複雑な作業をロボットに適応させることが目的である。

4-229

移動ロボットの経路制御における予測制御の検討

○山岡清志（神奈川県産業技術センター）・上野誠也・樋口丈浩（横浜国立大学）

本研究は、移動型ロボットの経路制御に資する手法を検証し、改良手法を提案するものである。本手法は、コストが安く、比較的小さいロボットにも搭載できることを目指して設計するものである。本手法は、移動物体が視野に無いときは、獲得した情報量をフィードバック制御により障害物を早期に見つけ，危険を回避するように移動する。また、視野に存在するときは、移動物体との衝突の危険性を優先して安全な領域まで回避行動をとる。数値計算によりロボットの経路制御における有効性を示す。

4-230

自動調整機能を備えたアクティブ除振システムの開発

◎加藤孝宜・高橋宗大・渡辺成夫（日立製作所）

半導体や液晶ディスプレイの製造装置では、加工精度向上の観点から装置振動低減の要求が高まっており、アクティブ除振システムの導入が検討されている。従来のアクティブ除振システムは、装置設置環境により床振動周波数が変化した場合、十分な除振性能を得るためにはシステムの調整が必要であった。そこで、本研究では、様々な設置環境で最適な除振性能を実現するため、自動調整可能なアクティブ除振システムを開発し、実験検証を行った。その結果、一般的な床振動の周波数帯域(1〜10 Hz)内で振動周波数が変化した場合でも、除振率-10 dBを達成した。

4-231

距離画像センサを用いた車両感知器の検討

◎松崎浩明・田久保伸一・高橋友彰・泉 隆（日本大学）・桐生典男（日本信号）

近赤外レーザーを用いた3D距離画像センサは、太陽光や夜間、ヘッドライトなどの外部環境の影響を受けず、距離を含む3次元の画像を得ることができる。このセンサの応用として、様々な環境下での運用が要求される道路を走行する車両の検知について検討した。

4-232

パーティクルフィルタを応用した先行車両追跡に関する検討

◎関 弘翔・泉 隆・細野裕行（日本大学）

本研究は、自車両前方の環境を映した車両前方画像に対して画像処理を行うことで先行車両の存在を検知し、その情報をドライバに提供することで、ヒューマンエラーによる追突事故の低減を目的としている。本研究では、抽出が容易かつ単眼による距離推定が可能といった利点から車両下の影に着目しており、車両下影抽出の精度向上を目的に車両下影の追跡を検討している。本稿では、パーティクルフィルタを応用した車両下影追跡の追跡精度向上に関する検討を行った。

4-233

最小二乗法を用いた直線近似による白線抽出の検討

◎高橋遥平・関 弘翔・泉 隆（日本大学）

本研究は、車両前方画像を画像処理することで先行車両の抽出を行い、その存在をドライバに提供することで、ヒューマンエラーによる追突事故の低減を目的とする。従来の白線抽出手法の改善案として、最小二乗法による道路白線の直線近似を行い、白線抽出の改善案について検討したので報告する。

4-234

ファジィ論理を用いた交通流シミュレータの検討

○高橋友彰・木内康晴・泉 隆（日本大学）

交通管制システムが行う道路情報板等からの提供情報は，車両感知器等の収集設備から得られる現時刻の交通状況をもとに作成されており，実際には車両の移動時間により交通状況が変化し，提供された情報とは異なることがある。そこで，車両の移動時間による交通状況変化を提供情報に加味するために，交通流シミュレータを構築したので報告する。

4-235

人車共住・同居社会の実現推進の提言

○木下繁則（キャパシタフォーラム）

電気駆動車両はゼロエミッション車両である。従来のICE車両は排気ガスのため、人が住む場所と車を置く場所とは隔離し、別々となっている。ゼロエミッション車両はこの垣根がなくなり、人と車の共住・同居が可能となる。本論文では、人車同居の戸建て住宅やドライブスルーのスーパーマーケットの実現の推進の提言である。更に本論文では、ICE自動車にはない特徴を持つ4輪独立電気駆動車両の人と車の共住・同居についても提言する。

4-236

植物工場におけるエネルギー最小化を目的とした機器の運用計画手法の検討

◎村上紗彩・藤本 悠（早稲田大学）・渕上英紀・服部敏朗（前川製作所）

近年、植物工場での植物の生産が注目を集めている。しかし、多くの植物工場では、空調機器や自動生産を実現する栽培システム(栽培棚)の消費電力によるエネルギーコストが大きく、得られる利益とのバランスをとることが難しいというのが現状である。そのため、植物を育てる際のエネルギーコストをなるべく抑えることが植物工場の現在の大きな課題となっている。本研究は、植物を同じ量・品質で生産しつつ、エネルギーコストの観点から栽培棚の運用計画を最適化する手法の開発を目的としている。本報告では運用計画の実システムへの実装を視野に入れ、とりわけ植物の鮮度を保つための管理や収穫に携わる人数や勤務時間によって生じる様々な制約を考慮した手法について検討を行う。

4-237

AEを使用した金属プレス不良品加工中全検器の考案

◎浦壁昭悟（ベザレル）

金属プレス加工業において、不良品対策はますます求められている。同業界では従来最終工程に全数検査を置いていたが、各種のセンシング技術により加工中の検査手法が開発されている。今回、AEを使用した不良品検査の一手法を考案し、その開発に向けた道程を発表する。

4-238

EV、PHV用充電ロボットの実現可能性検討

○浅野勝宏・水野直樹（名古屋工業大学）・大野友也・弓田 修（トヨタ自動車）・浅野勝宏（豊田中央研究所）

PHV、EV用の充電システムにおいて、手動で充電コネクターを接続する方式は、接点が露出されるため感電・防水対策、また、摩耗に対するメインテナンス、さらには操作ミスに対する対応が必要になる。また、悪天候下や、コネクター＆ケーブルが汚れている状況下においても、ユーザーに接続の負担を強いることになり、一部のユーザーには、この負担を受け入れてもらえないなどの問題がある。 これに対して、ユーザーに接続のための負担を掛けない非接触充電方式が研究開発されている。今回は、別のアプローチとして、高効率で充電可能な自動接続型充電ロボットの実現可能性を検討する。

4-239

2電源HEECSを用いたEVテストベンチでの効率測定とモード走行シミュレーション

◎田村文太郎・小林幸司・前多竜馬・小島一祥・弦田幸憲・河村篤男（横浜国立大学）

近年，ガソリン車の排気ガスによる環境問題が深刻になっている。これを解決するために，自動車業界ではハイブリッド車や電気自動車(EV)の研究が盛んに行われている。特にEVは電気のみで走るため，車の排気ガス問題を解決する有力な手段とされている。だが，従来の電気自動車は一充電走行距離が短いという欠点がある。これを解決する方法として，2電源HEECS（High Efficiency Energy Conversion System)が提案された。従来のパワートレインではバッテリを一つ使用するのに対し，2電源HEECSではバッテリを二つ使用する。低速域ではバッテリを一つのみ使用し，ある速度を超えるともう一つのバッテリも駆動させ，速度に応じてインバータに必要最低限の電圧を供給する。今回は2電源HEECSを用いたEVテストベンチでの効率測定とモード走行シミュレーションについて報告する。

4-240

車両雷撃サージの高周波振動

◎長島佑貴・Sultan Alkhteeb・於保 茂・清水博幸・西村誠介（日本工業大学）

近年の自動車は多くの電子機器を搭載しており、落雷により発生したサージ電圧の影響が懸念される。そこで実験車を人工雷撃装置で雷撃し車体金属に誘起されたサージ電圧を観測した。このサージ電圧を調べると、高周波のリンギングがみられた。そこで本研究では自動車車体の簡易モデルとしてNiCrで立方体の箱を作り、これを雷撃試験し高周波リンギングを調べた。その結果NiCr箱の側面で電位差があり、NiCr箱内に電磁界が侵入することが分かった。サージ電圧波形の高周波リンギングはこのNiCr箱内部の電磁界の影響である可能性がある。高周波リンギングは車室空間が空洞共振器として作用した結果発生したものと推定される。

4-241

i-MMD用新構造モータの開発

◎宮崎将吾・井上雅志（本田技術研究所）

Hondaのi-MMD用駆動・発電モータには中型車格のセダン・ミニバン搭載可能な小型化、出力増加による高出力密度化が要求されている。しかし、従来モータ構造ではでのモータ小型化・高出力化を両立させることは困難であった。 また、ハイブリッドのモータに用いられる磁石には希土類を添加する必要があるが希土類の鉱床は偏在しており生産国が限られており、資源調達リスクの観点から磁石使用量を低減する必要性がある。 そこで、モータ小型化・高出力化を達成するため、平角線を用いたステータ新構造を採用し、磁気回路の工夫すること、従来モータに対して磁石使用量を28%低減した。 従来に対して、小型化と磁石使用量低減させつつ、315Nmの最大トルクと135kWの最大出力を実現した。

4-242

アクティブエアサスペンションを装備した大型車のロール角抑制制御

◎高野秀一・森 泰親（首都大学東京）

本研究では、コーナリング時に発生するロール角をアクティブエアサスペンションの高さ制御によって抑制し、大型車の横転防止を目的としている。これまでにエアサスペンションの高さ変動によるロール角、ばね定数の変化を考慮した車両ダイナミクスモデルを作成した。本稿ではさらにエアサスペンション高さを変動させる際に考慮すべき空気排出量を調節する流量弁、供給を調節するコンプレッサをモデルに組み込み、エアサスペンション内部の空気質量変動を考慮したモデルを作成した。そして、走行時にサスペンションの空気質量を変動させロール角抑制を行った際の車両挙動と横転防止可能性についてシミュレーションをおこなったので結果を報告する。

4-243

Observation of Artificial Lightning Surge in Automotive Body

○Sultan Alkhteeb・長島佑貴・於保 茂・清水博幸・西村誠介（日本工業大学）

The surge voltage and current induced by artificial lightning in an automotive body were observed to investigate the potential risks to vehicle's electric and electronic systems. The magnitude of the surge voltage measured at the metal body varied significantly with ground points and suggested that the vehicle body was not an ideal conductor. The artificial lightning current exhibited a high frequency ringing on top of the transient response of the measurement system, and indicated an influence of the automotive body on the lightning response.

4-244

パッシブコイル切換方式走行中非接触給電システム

○保田富夫・岸 洋之・藤田稔之・藤田幸一・砂金富保（テクノバ）

電気自動車では，一回の充電による航続距離が約200kmと短く，充電時間が長いという課題がある。これら課題を解決する手段として走行中非接触給電システム（以下、DWPTシステムとする）が注目されている。従来提案されているループコイル方式DWPTシステムでは，高効率化や漏洩磁界・放射ノイズの低減が課題として指摘されている。停車中非接触給電システムとの互換性を考慮したDWPTシステムでは，車両位置に応じて地上側送電コイルを高速切換制御するためのセンサ・装置が必要でありシステムが複雑になるという課題がある。 本報告では，従来DWPTシステムの課題を解決するDWPTシステムを提案し，シミュレーション及び実機評価による基本特性を報告する。

4-245

電流零区間導入によるSRM の振動・騒音低減法の効率改善

◎河 正周・Jihad Furqani・千葉 明（東京工業大学）

近年，スイッチトリラクタンスモータ(SRM)がレアアースを使用せず，安価に製作可能なモータとして注目されている。しかし，SRMには振動・騒音が大きいという欠点を抱えている。この対策として様々な研究がなされており，制御的手法と設計的手法に大別されるが，本研究では制御的手法を用いる。その内のひとつの手法として，固定子に働くラジアル力の合計を一定にする事で振動・騒音を抑えるという制御法が提案されている。また、磁気未飽和領域においては、この制御法を用いつつ効率も低下しないことが示されている。しかし、磁気飽和領域における効率は未だ報告がされていない。そこで本稿では、磁気飽和領域での騒音低減制御時の効率の測定結果の報告を行い、電流0区間を導入することにより効率を改善可能であることを示す。

4-246

二重巻線を有する同期発電機を用いたハイブリッドシステムへの実機検証

◎内田周平・山中建二・北條昌秀（徳島大学）

巻線が二重に施されたセグメントコンダクタ式オルタネータ（SCオルタネータ）のそれぞれの巻線にドライバを接続することで，異電圧（24V，12V）における個別制御及び動作が可能であるシステムを提案した。本論文では，SCオルタネータをディーゼルエンジンに搭載し，提案システムの効果を確認した。ディーゼルエンジンを定速運転させ，24V系にアシスト指令，12V系に発電指令を与えたところ，エンジンに負担をかけずに24V系から12V系にエネルギーの伝達が行えた。これよりSCオルタネータが変圧器動作していることがわかり，提案システムでは高電圧化する際でもDCDCコンバータが必要ないシステムである。

4-247

FLATTENING RADIAL FORCE SUM OF 18-12 SWITCHED RELUCTANCE MOTOR IN MAGNETICALLY SATURATED CONDITION

◯千葉 明・Jihad Furqani・河 正周（東京工業大学）

One of the alternatives in hybrid electric vehicle applications is a switched reluctance motor. Switched reluctance motors are considered have several advantages, such as low manufacturing cost, high reliability, robust, possible operation at high temperature, and high rotational speed. Flattening radial force sum is one possible way to reduce acoustic noise and vibration of switched reluctance motor [1]. In this paper, flattening radial force sum method is proposed to reduce acoustic noise and vibration of 18-12 switched reluctance motor in magnetically saturated condition. Driving current is derived to minimize variation of radial force sum. Proposed driving current consists of DC, fundamental, second, and third harmonic components. A comparison is presented between the FEM analysis and approximation.

4-248

機電一体型モーター用低ESLフルSiC 6in1パワーモジュールの開発

○秋山和成・杉山公二・樋口 久・車 昆・松岡 寛（ACR）

本発表は、機電一体型モータ用の低ESLフルSiC 6in1 IPMタイプパワーモジュールの開発について、SBDレス化を行った試作品の静特性と動特性の評価結果を中心に開発状況を報告する。

4-249

擬似乱数列を利用した均等化時間低減法のバッテリモジュール充放電時における均等化動作特性

◎佐藤大記（東京理科大学,鉄道総合技術研究所）・星 伸一・内田晃介（東京理科大学）

著者らはこれまでに，バッテリモジュールのセル電圧ばらつきを解消するLC直列回路方式セル電圧均等化回路を提案してきたが，提案回路は他の昇圧機能を有する均等化回路と比較すると均等化に時間を要するため，均等化時間を低減させる制御法についても合わせて検討してきた。一方で，提案回路はバッテリモジュールが充放電状態にある場合においても正常な均等化動作が可能であるという特徴を有するが，均等化時間低減法を適用した際の動作特性については未検討であった。そこで本稿では，これまでに提案した擬似乱数列を利用した均等化時間低減法について，バッテリモジュールが充放電状態にある場合における均等化動作の特性について検討したので報告する。

4-250

リチウムイオン電池を用いた充放電システムの構築

◎小杉篤司・伊藤 遼・藤縄隼人・新井浩志・内田真人・佐藤宣夫（千葉工業大学）

地球規模での環境破壊，自然災害など，エネルギーに関する問題が山積している．それらの解決策の1つとして，太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが挙げられる．ただし再生可能エネルギーによる発電は，日照状況や気象状況による変動が鋭敏であることから，電力マネージメントが重要課題と考えられる．そのような中で，適正な充放電を実現する蓄電技術が必要不可欠となり，具体的には，最適な充放電に基づいたシステムの実現に期待が寄せられている．

4-251

直並列巻線切り替えを導入した交流発電機の直並列比率切り替えによる実験特性

◎山岡祐也・山中建二・北條昌秀（徳島大学）

電気自動車(ハイブリッド自動車)の主電動機には，低速域から高速域まで幅広い運転領域が必要とされており，我々は幅広い運転領域を得る手法として直並列巻線切り替えを提案してきた．提案する巻線切り替え回路は半導体デバイスにより，交流電動機の固定子巻線を直列接続と並列接続とに切り替えることで運転領域を拡大する．提案回路を交流発電機に導入した場合，発電機の特性を高電圧型と大電流型に切り替えることができる．本稿では，単位時間当たりの直列接続と並列接続の比率を変化させながら発電を行なった結果，任意の値で発電電流を変化させることができることがわかったので報告する

4-252

バッテリ交換型電動バイクのバッテリ劣化を考慮した走行計画

◎山岸富士雄・森 泰親（首都大学東京）

バッテリ交換型電動バイクは各地に置いているステーションで満充電バッテリを交換しながら長距離走行を行う電気モビリティである.これを普及させる為に,1充電の航続距離が短い,それに伴う充放電回数の多さによるバッテリ劣化,交換回数の増加といった問題点を解決する為に効率の良い車速走行パターンを構築する事が目的である.本研究は,バッテリ劣化の1要因としてバッテリの開回路電圧依存性に着目し,この値を抑えるように電力出力を調整し効率の良い走行パターンを生成する手法を提案する.提案手法を用いて生成された走行パターンでシミュレーションを行い,バッテリ劣化を抑え,交換場所を遠ざけ,交換回数も減らした結果を示している.

4-253

定電力負荷を含む直流電源システムの不安定現象に関する検討

◎久保祐輝（デンソー）・小笠原悟司（北海道大学）

内燃機関自動車をはじめとしてハイブリッド自動車などは，二次電池を電源としてパワーエレクトロニクス機器を動かす直流システムとなっている。この直流システムにおいて，インバータが定電力負荷として動作すると負性抵抗としてふるまうため，システムが不安定になる懸念がある。本稿では，システムの特性方程式から不安定条件を導出し，導出した3つの条件式の物理的な意味を検討した。

4-254

スマートグリッド系統バランシング信号へのビル空調電力ネガワット制御の追従評価

◎衣笠 仁・安積英駿・高浜盛雄・蜷川忠三（岐阜大学）

近年，高速デマンドレスポンス（Fast Automated Demand Response: FastADR）が注目されている。従来から業務用空調設備による数分刻みFastADRによる電力系統負荷周波数制御へ貢献可能性が検討されてきた。しかし，現実の系統側信号に対する追従性は評価されていなかった。本研究ではビルマルチ空調電力のFastADR応答特性を状態空間表現モデル化して，米国送電会社の系統バランシング評価信号へのFastADR制御追従性能についてシミュレーション実験を行ったので報告する。

4-255

スマートグリッド高速ネガワット制御用ビル空調電力室温モデルのディープラーニング

◎中山拓也・中村惇志・蜷川忠三（岐阜大学）・森川純次（三菱重工サーマルシステムズ）

ビルマルチ空調設備はその電力抑制によるネガワット生成負荷として有望だが，副作用である短時間室温変化の応答性予測技術がその実現の鍵である。ニューラルネットの電力・室温予測モデルは，設備・建物毎に訓練データ収集する必要がある。本研究では，モジュレーション訓練データ収集法とディープラーニングニューラルネットモデリング法により，5分後の電力量および平均室温偏差を予測するニューラルネットモデルの構築システムについて報告する。

4-256

リアルタイム電力料金ビル空調最適制御用の外乱予知リカレントニューラルネットモデル

◎大津英之・永田雄介・蜷川忠三（岐阜大学）・森川純次（三菱重工サーマルシステムズ）

我々は先行研究にて，ビルマルチ空調設備おいて，リアルタイム電力料金に対して最適な電力抑制指令パターンを予測するSimulated Annealing（SA）最適制御を提案した。しかし，ビルマルチ空調設備はその冷媒回路の複雑さから機器固有の確率的保護冷媒制御が優先されるため，最適制御の予測からみて外乱となる。この外乱となる保護制御は数時間におよぶ時間履歴と諸条件により確率的に発生するため予測モデルができていなかった。本研究では，数時間の時系列を記憶できるリカレントニューラルネットにより機器固有制御という外乱発生予測モデル構築を試みた。

4-257

ビル空調に対する分散協調PI制御の適用検証

◎勝山裕輝・田丸慎悟・村井雅彦・横川勝也（東芝）・井土拓海・石崎孝幸・井村順一（東京工業大学）

複数の制御対象を同時に制御する問題に対して、それぞれの制御対象に設置された分散コントローラを相互作用させて協調動作を生み出し、対象全体の制御性能を最適化する分散協調制御が注目されている。分散協調制御を適用することで、ビル空調システムの制御性能の向上が期待できるが、その適用方法は確立されておらず、制御性能の検証が十分にできていない。そこで、制御対象間の協調動作を生み出し、かつ、すべての制御対象が目標値に偏差なく収束することが示されている分散協調制御手法である、分散協調PI制御をビル空調システムに適用し、実証実験によって制御性能を検証する。

4-258

人物追従を用いた環境センシングロボットの制御

◎菅田唯仁・飯田謙一（奈良工業高等専門学校）・上田悦子（大阪工業大学）

農業従事者の高齢化が進行し，新規自営農業就業者が営農技術の取得を課題としており，その課題の1つとして環境情報管理があげられる．そこで筆者らは，環境情報測定器を搭載した移動型センシングロボットによって，温度，湿度，CO2濃度の環境情報を収集するシステムを提案する．提案システムでは，ハウス内マップと農業者によるティーチングに基づいてセンシングロボットが自動巡回し，ハウス全体の環境情報をより詳細に測定可能となる．学内のフィールドにて実験を行った結果として，農作業者のティーチングによってフィールドのマップ生成が実現され，自動巡回の経路計画が可能であることが確かめられた．

4-259

3D距離画像センサによる新ホーム監視システムの開発

木暮隆雄・齋藤 章（東京急行電鉄）・笠井貴之・江上 司・○松原達也（日本信号）

東京急行電鉄株式会社では、駅ホームの安全対策の1つとして池上線・多摩川玉川線の全駅に旅客の触車を防止するホーム監視システムを導入している。今回、池上線のシステムの更新に合わせ、既存システムの光電センサを3D距離画像センサへ変更し、さらに従来では実装のなかったホーム転落検知と車両戸挟検知の二つの新機能を追加した新たなホーム監視システムを日本信号株式会社と共同開発し運用を開始したので紹介する。

4-260

受信信号強度と移動基地局を用いた位置推定

○石川優一朗・五十嵐 洋（東京電機大学）

GPSを用いた位置推定は一般的に普及しているが，屋内での精度は悪いという欠点がある．この問題を解決するために多くの研究がされてきたが，中でも受信信号強度をもちいた手法はコストが非常に低く，注目されてきた．一般的に受信信号強度をもちいた手法は精度が悪い手法とされており，精度向上に向けた研究がされているが電波干渉やマルチパスの問題は解決しきれていない．そこで，本研究では移動基地局を用いることで精度がどれほど変化するかを検証する．結果としては精度改善の可能性を示すことが出来た．

4-261

EDLCを用いた直流遮断器用実験装置の開発と転流方式による直流遮断実験

○木村紀之（大阪工業大学）

世界的に直流給電システムの利用が盛んに研究開発されている。データセンターの高効率化を目指したDC給電方式、などのシステムに関する研究発表が増加している。しかし、システムの自由度を向上させるには、線路を切り離しできる遮断器が必須である。本研究では、金属コンタクトによるスイッチに電流ゼロ点を発生させるために、外部回路から電流を注入する方式を用いる。電源としてEDLCを多数直列とし、適当な電圧を蓄電し、電磁開閉器を金属コンタクトスイッチに用いた短絡電流遮断実験を行った。その結果について発表を行う。

4-262

ガスタービン発電機と仮想同期発電機による誘導電動機直入れ起動に対する優位性評価

平瀬祐子・◎阿部兼尚（川重テクノロジー）・杉本和繁・古賀 毅・崎元謙一（川崎重工業）

分散電源による自立系統において誘導電動機の直入れ起動を行った場合，電源が一般的な自立インバータの場合には過電流停止する可能性が高く，電源が機械式発電機の場合には系統電圧低下によりこれと同等容量のIMは起動できない。筆者らはこれまでに，インバータに同期発電機と同様の特性を模擬する制御手法である仮想同期発電機(virtual synchronous generator：VSG)制御を発表しているが，これはインバータの即応性と同期発電機の慣性応答の模擬を兼ね備えるため，上記の問題を共に解決できることが判った。本研究では，機械式発電機としてガスタービン発電機を想定し，VSGインバータを介してIMを直入れ起動した場合の優位性を示すシミュレーション結果を速報する。

4-263

3次元太陽光発電モジュールFPMの葉序依存特性

◎市野将真・久保田南輝・谷内利明（東京理科大学）

メガソーラー等の平面設置形の太陽光発電システムは、広大な設置面積を要求しかつ植生への影響も懸念される。そこで、3次元に太陽光発電パネルを設置し設置面積当たりの発電量を増大するシステムが提案され、その一つにフィボナッチ数列に基づく葉序をまねたFPM（Fibonacci Number Photovoltaic Module）がある。多くの植物の葉序はフィボナッチ数列 (Fn+2=Fn+Fn+1) に基づいており、葉の並びが一番下の葉と同じ向きに達するまでの葉の枚数 (Fn+2) と周回数 (Fn) とがFn/ Fn+2で表され、1/2葉序、1/3葉序、2/5葉序・・・などがある。本研究では、この葉序とFPMにおける発電量との関係をシミュレーションによって明らかにした。

4-264

アーク加熱による過熱水蒸気生成法の検討

◎成田優斗・杉本俊之（山形大学）

過熱水蒸気は飽和水蒸気をヒーター等でさらに加熱した完全に気体状態の水であり,食品加熱,殺菌,金属脱脂,乾燥等に利用されている。本研究では飽和水蒸気の配管を不要としたコンパクトな過熱水蒸気の生成を目的としてアーク加熱を用いる方法について検討した。アーク加熱した円筒電極の内部で水の微粒化と蒸気加熱を同時に行う構造の装置を試作し,装置の内外での温度を測定した。その結果,アーク点からのノズルへの伝熱量が多いために途中でライデンフロスト現象が起き,高い温度の過熱水蒸気を生成できなかった。伝熱量を抑えるためにアーク点とノズル間の肉厚を薄くしたところ,最大温度260℃の過熱水蒸気を生成できた。

4-265

誘導帯電を用いた静電吸着法における導電性微粒子の挙動

◎大森拓磨・杉本俊之（山形大学）

気体中の微粒子を電気的に回収する方法として電気集塵機があげられる。本研究では，気体中ではなく床や机などの上に堆積した微粒子を気流や放電を使わずに誘導帯電を用いて吸着を行う静電吸着装置を試作し，その性能を評価した。この装置は，表面に絶縁膜を持つ高電圧電極と接地された試料の間に置かれた導電性微粒子を，誘導帯電を用いて吸着させる装置である。供給される電荷は試料の表面抵抗率に依存するため，表面抵抗率の異なる試料で実験した。その結果，表面抵抗率が高い試料上の微粒子ほど捕集効率が低くなった。しかし，絶縁体の領域にある材料であっても，ガラス程度の導電性があれば50%以上の微粒子を吸着させることは可能であった。

4-266

高速除電のための気流アシスト式自己放電除電器の開発

◎若月雄貴・杉本俊之（山形大学）

ものづくりの現場において，生産過程で生じる静電気が問題になっており，その対策として除電器が用いられている。除電器には電圧印加型と自己放電型があり，それぞれにメリット・デメリットが存在するため，これらのメリットを組み合わせたハイブリッド除電を構想し，気流アシスト式自己放電除電器を試作して性能評価を行った。移動する帯電物を対象に，自己放電型の帯電物の移動速度による除電性能への影響と気流による効果を検証した。自己放電型は移動速度が速くなっても除電性能は衰えず，気流の流量が大きいほど除電性能の向上が確認できた。これらの結果から，電圧印加型と組み合わせたハイブリッド除電の有効性が示唆された。

4-267

二方向電界を用いる粘性水滴の静電混合

◎西澤拓朗・東山禎夫（山形大学）

絶縁板上に置かれた水滴に, 共振周波数の交流電界を印加して共振振動を起こさせて，撥水性材料上に置かれた水滴を非接触で攪拌する方法について検討し，粘性液滴の混合性能を高めることを目的として，水滴内部の液流を促進するような大きな変形を引き起こす条件を調査した。二方向電界の位相差を90°にし水平方向の電界をできるだけ大きくすることによって水滴の変形を促進した。90µLの粘性水滴と10µLイオン交換水を用いて混合性能を調べた結果30mPa・sの粘性水滴を15秒で攪拌できた。

4-268

ロボットアームのミカン選別における画像認識

◎黄 慶九・佐野壮一（工学院大学）

本研究ではミカン収穫ロボットの実現に向けた、画像認識における果実検出を行うプログラム作成を目的とする。具体的には、USBカメラから得られたミカンの画像から、ハフ変換により色判別、円検出、座標計測、直径計測を行い、ミカンの大きさ、位置の情報をロボットアームに与えて、ロボットアームでミカンの選別を行う。

4-269

ロボット制御のための可視光通信を用いた屋内測位方式

◎佐々木 衛・中澤陽平（新潟大学）・駒形英樹（埼玉医科大学）・西森健太郎・牧野秀夫（新潟大学）

近年、自律型移動ロボットの研究が進められており、災害支援や介護分野への応用が期待されている。ここで、屋内測位手法の一つに可視光通信（Visible Light Communication、以下VLC）が挙げられる。しかし、現在測位に用いている魚眼カメラ型可視光受信機（以下、VLCカメラ）の解像度が低いため、量子化誤差による測位結果ばらつきが生じている。その結果PID制御による偏差の振動を十分に抑制できていないといった問題が存在する。 本研究では、VLCにおける送信データを既知とした場合について、従来のVLCカメラと高解像度カメラそれぞれから得られる画像に対する測位結果を比較検討する。その結果、移動時におけるx方向の測位誤差が83%（0.79cm）軽減された。

4-270

2リンク柔軟マニピュレータの省エネルギー駆動に関する研究

○阿部 晶（旭川工業高等専門学校）

本研究では，1つの駆動関節と2つの柔軟リンクから構成されるマニピュレータのPTP制御問題を扱い，2つの柔軟リンクの残留振動を抑制しつつ，駆動エネルギーが最小となるフィードフォワード制御法を提案する．提案手法において，PTP制御のためのマニピュレータの軌道を時間に関するべき級数を入力としたサイクロイド関数で表現する．このとき，生成される軌道の形状はべき級数の係数に依存する．そこで，2つの残留振動を抑制するとともに駆動エネルギーが最小となるよう多目的最適化手法を適用し，べき級数の係数をチューニングさせて最適軌道を求める．シミュレーションから，本手法の妥当性および有効性を検証する．

4-271

二足歩行ロボットの姿勢角を考慮した障害物回避の速い移動方法に関する研究

◎村井 瑛・田村和也・河村篤男（横浜国立大学）

現在日本国内での人口減少が進んでおり，災害時における二足歩行ロボットによる労働力の提供が期待されている。二足歩行ロボットが移動して作業を行う際，移動ロボットの機能として障害物回避問題が取り上げられることが多い。刻々と環境が変化する作業現場での移動はポテンシャル法が適していると考えられる。災害現場などでロボットが障害物回避を行う際，回避は勿論，移動の速さも重要になる。二足歩行ロボットは全方向に移動が可能であるが，移動方向によって速さの制限に違いがある。つまり回避移動中のロボットの姿勢角を考慮することが重要となるが，その姿勢も陽に考慮したものはなかった。本研究では，姿勢角を考慮することで目的地までの速い移動を実現する。

4-272

脚ロボットの跳躍のための脚長-脚角度モード変換に基づく分解制御

◎安部義隆・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

ロボットの跳躍動作は歩行に比べ大きなエネルギを必要とし，特に着地時の衝撃は大きな外乱となり制御トルクの限界値まで用いる必要がある。脚角度方向については外乱をロバストに抑圧することが求められるが，一方で脚長方向の外乱はばねの復元力として活用される。 本稿ではロバストな脚角度制御を実現するためのモード変換を用いた脚角度と脚長の分解制御を提案する。脚角度方向に高ゲインでロバストな制御器を組むことで，限られた駆動トルクにおいても駆動パワーを脚角度制御に集中し外乱抑圧性能を上げることが可能となる。鉛直跳躍の実験により提案手法の有効性を確認した。

4-273

外付加速度センサとSSA法によるロボット関節軸の負荷側外乱トルクの推定

◎福井順一・Thao Tran Phuong・⼤⽯ 潔・宮崎敏昌・横倉勇希（⻑岡技術科学⼤学）

ロボット関節軸の負荷側外乱トルクを補償するために，負荷側に外付加速度センサを取り付け，負荷側外乱を推定する方法が提案されている。 しかしながら，外付加速度センサにインパルス状の雑音が発生した際，負荷側外乱トルクの推定精度が低下する。 Singular Spectrum Analysis (SSA) 法はインパルス状の雑音を高精度に取り除くことができる。 本論文では， SSA 法を用いて加速度センサの雑音を除去し，負荷側外乱を正確に推定できることを数値シミュレーションにより確認した。

4-274

手術支援マスタ・スレーブロボットへの適用に向けた遅延時間補償制御のステップ応答比較

◎板井謙太朗・河合俊和（大阪工業大学）・西川 敦（信州大学）・正宗 賢（東京女子医科大学）

近年、マスタ・スレーブロボットによる内視鏡下手術が普及しつつある。マスタとスレーブの対応は通常1対1であるが、複数のマスタとスレーブをネットワークで結び、任意の組み合わせで操作できるロボットシステムの構築を目指している。手術支援マスタ・スレーブロボットのネットワーク接続で課題となるのが、通信の可変的な遅延時間である。本研究では、ネットワーク接続する手術支援マスタ・スレーブロボットに対する遅延時間補償制御の適用に向けて、Smith予測器、通信外乱オブザーバ、ゲインスケジューリングの3手法を対象に、遅延時間100ms、300ms、500msとしたステップ応答シミュレーションを行ってその振る舞いを比較し、各手法の特徴を得た。

4-275

予測に基づく家庭用空調機器の運転計画手法における適切な学習データ量の検討

◎黒羽亮一・藤本 悠・広橋 亘・天野嘉春・田辺新一・林 泰弘（早稲田大学）

家庭内の省エネルギー推進を目的に，Home Energy Management Systemの導入が進んでいる。筆者らは家庭用空調機器(AC)運転制御に着目し，設置された環境に順応し適切なAC運転計画を作成する手法の開発を行なってきた。適切な運転計画の作成には，設置環境の広さや部屋の断熱性等の特性を把握した上で室温・消費電力の推移を予測する必要がある。過去の実績情報を用いた機械学習の手法によりこれを実現することを考えた場合，学習に用いるデータ量に関する検討が必要となる。本稿では，AC運転計画における適切な学習手法の選定，および適切な学習データ量の検証を行う。また適切な量のデータを学習に用いることにより運転計画の性能向上が為され得ることを数値実験により確認する。

4-276

Investigation in Low Voltage Induction Motor for Mechanical Failure Detection and Analysis using Frequency Spectrum Component

◎Shrinathan Esakimuthu Pandarakone・Keisuke Akahori・Toshiki Matsumura・Yukio Mizuno（名古屋工業大学）・Hisahide Nakamura（トーエネック）

In recent days, the necessity to condition monitoring and maintenance has increased to a greater extent. In most of the cases, holes had been formed in the bearing of the induction motor for fault analysis. Whereas considering the industrial environment, the chance of occurrence of scratch is considerably high than the possibilities of holes. Hence in this paper, scratch has been considered as a factor for fault analysis. Thus by considering the scratch on the outer raceway of bearing, experimental results were obtained at the different load condition. Following that, the detection of the bearing fault is achieved by the Fast Fourier Transform. Finally, the diagnosis was performed with the help of Support Vector Machine.

4-277

水面検知型微振動センサのお風呂見守りへの適用評価

○堀田和孝・辻 寛正・瓦井秀樹（関西電力）・澤山卓也（ニューセンサー開発）

本報告では、水表面の揺れを利用した微振動センサについて、報告するものである。その性能は、極めて小さい振動まで検出することが可能なため、お風呂の見守りへの適用性を評価した。評価の結果、センサを浴槽の淵に設置することで入浴者の生体信号を検知することが可能であり、お風呂の見守りセンサとして可能性のあることがわかった。今後については、システムとしての評価を行っていく予定である。

4-278

H型昇降圧回路の入力電流ひずみ低減制御

◎渡辺章太・石黒義章・坂下友一（三菱電機）

LED 照明の点灯に用いる照明電源には，力率改善（PFC:Power Factor Correction）とLED 電流制御が求められる。著者らは小型化・高効率化のため1 つの変換器で力率改善とLED 電流制御を両立できるH 型昇降圧回路を提案し，検討を行っている。照明電源を変換器1 段で構成する場合，昇圧動作と降圧動作とを切り替えながら制御を行う必要がある。H 型昇降圧回路の昇圧・降圧時の制御法はすでに報告されているが，昇圧動作と降圧動作の切り替え時に，スイッチング周波数が低下し，入力電流に入力フィルタとの共振による歪みが発生する現象の対策が必要である。 本稿では，上記課題の対策として固定周波数制御を提案し、動作原理と実機検証結果を述べる。

4-279

ステレオカメラによるパーソナルモビリティ用障害物認識システムの基礎検討

◎齋藤泰悟・山田 洋（仙台高等専門学校）

パーソナルモビリティの普及に向けた課題として歩行者や障害物と衝突する危険性に対する安全性が求められているが，システムが高価になることも普及への障害となるため安価なシステムが要求される．本発表では安価なUSB Webカメラによるステレオカメラを用いて物体との距離を測定した結果，計算値と実際の距離との比較をもとに導出した推定関数を用いることで，焦点距離が不明なカメラでも理論値に近い距離を推定することができた．またカメラ角度を変更した場合についても実験を行い，カメラの高さ方向を軸として回転させる場合距離が推定できなくなるが，レンズの光軸を軸として回転させる場合影響が小さいことが分かった．

4-280

医療機器利用家庭を対象とした電力エネルギーの観点から見た被災時の生活継続性診断手法

◎岩田不二雄・岩田章裕（関西電力）・芳澤信哉・藤本 悠・林 泰弘（早稲田大学）

太陽光発電と蓄電池を併設した住宅では，停電時には太陽光発電電力と蓄電池の蓄電能力とを活かして電力の自立供給が可能であるが，震災や停電等は事前に予想できないため，平常時において，いつ停電が起きた場合でも復旧までの期間に必要な機器に継続して電力供給できるように，LCP(Life Continuity Plan)を機能させておく必要がある。しかしながら，平常時の家庭でのLCPまたは医療機器を利用する家庭を対象としたエネルギー管理手法は，提案されておらず，必要な蓄電池容量の算出手法等も開発されていない。 ここでは、家庭でのLCPの種類（LCPレベル）を，稼動させる機器の組み合わせで定義し，LCPレベルごとに生活継続性を診断する方法を提案する。

4-281

需要家利便性を考慮した業務用ヒートポンプ給湯機の再生可能エネルギー電源との協調運用手法の検討

◎竹内 悠・近藤健一・深井威志・馬場旬平（東京大学）

近年急速に導入が進みつつある再生可能エネルギーの出力変動対策として需要家機器の消費電力制御が提案されており、本稿では業務用ヒートポンプ給湯機について実験に基づき消費電力・加熱能力特性をモデル化し、また業務用ヒートポンプ給湯機が設置されている施設の給湯需要の解析を行った上で、実際に運転を行った際の実験結果と計算機上のシミュレーションの比較を行い、作成したモデルが実機を精度良く模擬できていることを確認した。

4-282

駆動回路によるペルチェ素子の冷却効率の向上

◎関口 諒・石田恭介・佐野勇司（東洋大学）

冷却や温熱に用いられる熱電素子であるペルチェ素子の駆動には、駆動回路の損失を最小限に抑えながら高精度にPWM制御できるチョッパ駆動が用いられている。しかし、ペルチェ素子には自己発熱によって冷却効率が低下してしまう課題がある。従来のチョッパ型駆動回路では、ペルチェ素子に台形波状の電流が流れるので、方形波電流と比べると実効値が増加し、冷却効率はさらに低下する。本研究においては、ペルチェ素子を高精度にパルス制御しながら直流電流によって駆動することにより、自己発熱を低減し冷却効率を向上させた。実験の結果、ペルチェ素子の直流駆動時の自己発熱を、チョッパ駆動時に対して30.6%以上低減できた。直流駆動時の冷却効率は、チョッパ駆動時と比べて1.68倍に向上した。

4-283

H型昇降圧回路の高力率制御

◎石黒義章・渡辺章太・坂下友一（三菱電機）

LED照明電源には力率改善（PFC: Power Factor Correction）制御とLED電流制御の両立が求められており，ワールドワイドな入力交流電圧と様々なLED直列数に応じた出力直流電圧への対応が必要である。著者らは電源回路の小型化を目的とし，1段で構成可能なH型昇降圧回路のLED照明電源への適用を検討した。本回路は入出力電圧に応じて2つのスイッチング素子のオンオフパターンを切り替えることで昇降圧が可能な回路であることが知られている。今回，オンオフパターンの切替と同時にリアクトルに流れる電流を適切に演算した値を用いて制御することにより，PFC制御とLED電流制御の両立を可能とした。その制御方式と実機検証結果について報告する。