電気学会全国大会講演要旨
3-147
極薄半導体ナノシートにおけるゼーベック係数膜厚依存性の第一原理解析
○中村康一(京都大学)
ナノスケール熱電変換素子を用いた高性能MEMSデバイスへの応用を念頭に、半導体ナノシート材料としてSiおよびSiCを用いたモデルを導入し、第一原理シミュレーションによって量子閉じ込め効果の詳細とn型にドープした場合のゼーベック係数の膜厚依存性を議論した。Siナノシートでは膜厚が3nm以上で明快な閉じ込め効果が観察され、それぞれの面方位に対応して妥当な膜厚依存性が得られた一方で、膜厚が2nm以下になると閉じ込め効果が失われ、キャリア状態密度やキャリア速度の大きな変化により急激なゼーベック係数の膜厚依存性が観察された。数nmサイズの半導体ナノシートでは独特な熱電特性を示すことが期待できる。