電気学会全国大会講演要旨
2-107
分布した法線磁場による傾斜磁区の転移制御
○中居倫夫(宮城県産業技術総合センター)
薄膜軟磁性体で形成された矩形状の素子に,短軸方向を基準として膜面内で傾斜した磁化容易軸を形成し,この方向を制御することで,印加磁場に対して不連続的にインピーダンスが変化する素子が構築できる。この現象は,ストライプ状磁区構造と長手方向に磁気モーメントが揃った磁区構造との転移に伴い発生する。この素子は容易軸の方向制御で磁区転移のヒステリシス制御ができ,容易軸方向を70°付近にした場合にエネルギー安定状態であるストライプ磁区の存在が予想されるにもかかわらず,素子の長手方向単磁区と反長手方向単磁区の2状態しか発現しない磁区転移となる。本報告では,分布した法線磁場の印加で磁区の転移特性を制御する方法について報告する。