電気学会全国大会講演要旨
6-051
真空中の絶縁破壊過程におけるプラズマフレア内の二次元電子密度分布測定
◎稲田優貴・神谷朋輝・松岡成居・熊田亜紀子・池田久利・日髙邦彦(東京大学)
真空中における絶縁破壊は、フレアと呼ばれる高密度プラズマが電極間を進展・橋絡することで発生すると考えられている。真空遮断器の高耐圧化を実現するためには、フレアの挙動を基礎物理量の観点から詳細に検討し、その進展を阻害する手法を開発する必要がある。 本研究ではこれまで、放電プラズマ内の二次元電子密度分布が単一測定で取得できるシャックハルトマン型レーザ波面測定装置を開発してきた。本稿では真空中における絶縁破壊過程を解明するためには、シャックハルトマン装置の適用が有効であると考え、フレア内の二次元電子密度分布を測定したので報告する。 電流が立ち上が時に、1025m-3の電子密度を有するフレアがアノード先端で発生し、約104m/sの速さでカソードへ向かって進展していた。その100ns後には今度はカソード先端からもフレアが発生し、両フレアが融合したのち、安定的な真空アーク放電が形成される過程が電子密度画像から観測された。