電気学会全国大会講演要旨
7-070
電力ケーブルの設置深さが洋上風力発電システム内の避雷器の電圧・電流特性に与える影響
◎岩崎由香・吉川直希・雨谷昭弘(同志社大学)・山本和男(中部大学)
洋上風力発電システムに雷撃があった場合,その雷電流の一部が接地システムから海水に流出し,風車の電位上昇を引き起こす。風車内には電力ケーブルが引き込まれており,その心線やシースに風車内に設置された避雷器を介し,雷電流の一部が流れ出ることとなる。本稿では,重力式の基礎構造を持つ風力発電システム内に引き込まれた電力ケーブル(シースなし)の海水中における設置位置が,風車内外に設置された避雷器(心線と塔脚接地間に挿入)に加わる過電圧とそこを流れる電流に与える影響について,FDTD法を用いて検討を行った。海中に設置された電力ケーブルの場合,架空に配置された場合に比べて避雷器を介して流れ込む雷電流は小さくなり,避雷器の負荷が軽減されることが明らかとなった。 また,陸上風力発電システム接地特性に比して,周囲が低抵抗率の海水である為,定常接地抵抗は低く,定常領域においては良好な接地システムを構築出来ている。従って,洋上風力発電システムでは,陸上風力のように定常接地抵抗値を下げる対策は必要無いものの,波頭部で発生する誘導性の電位上昇に対する雷害対策が必要であると考えられる。