イベント企画
トップコンファレンス5-3 教育学習支援情報システム
2026/9/3(木) 15:30-17:30
第6イベント会場

座長:新村 正明(信州大学)

15:30-15:50 講演(1) 連合学習と差分特徴を用いたランキングベースのAt-Risk学生予測
米田 俊祐(九州大学 大学院システム情報科学府情報理工学専攻 修士課程2年)
【原発表の書誌情報】Yoneda, S., Švábenský, V., Li, G., Deguchi, D., Shimada, A.:
Ranking-Based At-Risk Student Prediction Using Federated Learning and Differential Features,
Proceedings of the 18th International Conference on Educational Data Mining (EDM),
pp. 289–302 (2025).
【概要】本研究では,教育データにおけるプライバシー保護およびNon-IID性への対応を目的として,連合学習と差分特徴を組み合わせた予測手法を提案する.評価実験では,集中型機械学習と同等の予測性能を達成するとともに,差分特徴の有効性が確認された.
【略歴】2025年九州大学工学部電気情報工学科卒業.同年九州大学大学院システム情報科学府情報理工学専攻修士課程入学,現在在学中.島田研究室にて教育データを対象とした連合学習およびNon-IID性の影響軽減に関する研究に従事.
15:50-16:10 講演(2) 教員向け専門能力開発研修が教員のAIリテラシーに及ぼす効果
長江 侑紀(ストックホルム大学 教育学部)
【原発表の書誌情報】Nagae, Y., Zhang, L., & Farias, L. H. (2025). The effects of professional development training on teachers’ AI literacy. In A. I. Cristea, E. Walker, Y. Lu, O. C. Santos, & S. Isotani (Eds.), Artificial Intelligence in Education (pp. 368–380). AIED 2025. https://doi.org/10.1007/978-3-031-98414-3_26
【概要】教育分野における人工知能(AI)の導入は急速に拡大しているが、多くの教員は、AIリテラシーやその教育への応用に関する正式な研修を受けていない。 本研究は、ある学校向けAI教育プロバイダーが実施したオンラインAI研修プログラムに参加した、スウェーデンの幼稚園から高校までの教師たちの視点を調査したものである。本研究では、アンケートデータ(N=206)を用いて、ユネスコのAIコンピテンシー・フレームワークを指針とし、教師の AI に対する態度、知識の習得、および教室での活用について検証した。記述統計からは、85%以上の教員が研修前に正式なAI教育を受けておらず、偶発的な学習に頼っていたことが明らかになった。、相関分析、分散分析(ANOVA)の結果、この研修により、教員のAIに関する知識、特に倫理分野の知識が著しく向上し、専門分野やジェンダーなどあらゆる背景の教員において平均スコアが最も高くなった。デジタルコンピテンシーはAIに対する態度や知識の習得に正の影響を与えた一方で、年齢や教職経験は負の相関を示した。また、教育へのAI導入に対する認識は、教科や学校段階によっても異なることが示された。自由記述式の回答に対する総括的コンテンツ分析では、生徒による誤用、倫理的課題、およびAI導入に対する制度的障壁に関する懸念が浮き彫りになった。 こうした懸念があるにもかかわらず、教師たちはAIを授業計画、教材作成、および個別化された学習に有益であると捉えていた。特別支援教育や語学の教師からは、マルチモーダルな学習支援や、非スウェーデン語母語話者に対するアクセシビリティの向上など、明確な利点が報告された。本研究は、スウェーデンという地域に限定的な知見でありつつも、AI研修が教育実践にどのような影響を与えるかについて実証的な知見を提供し、AIを統合した教育における専門能力開発に関する政策提言に資することで、広義にAIリテラシーに関する議論に貢献するものである。
【略歴】2015年九州大学教育学部卒業、2018年東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、2024年同科博士課程修了。博士(教育学)。日本学術振興会(JSPS)の助成を受け、博士課程でDC1、スウェーデンでの在外研究のため海外挑戦プログラム、国際基督教大学(ICU)でPD、現在は海外特別研究員として、スウェーデン・ストックホルム大学のポスドク研究に従事する。専門は、教育社会学、比較教育学。研究テーマとしては、移民と教育、幼児教育、社会統合、職業訓練が主であるが、近年はスウェーデンにおける研究からAIと教育の研究へも関心を持つ。
16:10-16:30 講演(3) EDNMによる学習行動の可視化分析と早期リスク予測
唐 成(名古屋工業大学 大学院工学研究科 准教授)
【原発表の書誌情報】Cheng Tang, Bin Li, Haichuan Yang, Gen Li, Li Chen, Boxuan Ma, Atsushi Shimada.
EDNMs for visual analytics of learning behavior and early risk prediction.
International Conference on Artificial Intelligence in Education (AIED)
pp. 177-190 (2025)
【概要】本研究では,学習行動の可視化分析と早期リスク予測を実現するEDNM(Ensemble Dendritic Neuron Model)を提案する。EDNMは樹状突起の剪定機構に基づく特徴選択により高い説明可能性を有し,単一モデルで異なる時期の早期予測に対応できる。7つの教育データセットを用いた評価の結果,RNN系手法と同等以上の予測性能を示し,学習者支援に有効であることを確認した。
【略歴】2018.04~2020.03 富山大学大学院 博士前期課程
2020.04~2022.03 富山大学大学院 博士後期課程
2022.04~2022.07 富山大学 工学部 研究員
2022.08~2023.05 名古屋工業大学 工学研究科 特任助教
2023.06~2026.03 九州大学 システム情報科学研究院 助教
2026.04~ 名古屋工業大学 工学研究科 准教授
16:30-16:50 講演(4) オンライン学習における中学生の自己説明の質と数学学習成果に影響を与える動機づけ要因の検討
中本 陵介(京都大学 学術情報メディアセンター 緒方研究室 / 株式会社ELYZA 研究開発部 研究員)
【原発表の書誌情報】Nakamoto, R., Flanagan, B., Dai, Y., Takami, K., Ogata, H.:
Examining motivational factors influencing self-explanation quality and mathematics achievement in online learning for junior high students,
Interactive Learning Environments, Vol. 33, No. 10, pp. 5706–5725 (2025).
【概要】オンライン学習環境で学ぶ中学生164名を対象に、動機づけ要因、自己説明の質、数学学習成果の関係を分析した。挑戦的課題への取り組みや数学への自信が学習成果に寄与する一方、過度な内省や外的圧力が負の影響を及ぼすことを示した。
【略歴】博士(情報学)。京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了。NEDOプロジェクト等を通じて、自然言語、手書き解答、画像情報、学習ログなどの多様な学習プロセスデータを統合的に解析し、学習者の理解過程やつまずきを可視化・支援するマルチモーダルAI技術の研究開発に従事。株式会社日立製作所中央研究所AIイノベーションセンター主任研究員として産業特化VLMの研究開発に取り組んだ後、現在は株式会社ELYZAにてPhysical AIおよびAI Agentの研究開発を担当。教育・産業・実世界環境を横断し、人間の理解・判断・行動を支援する次世代AIシステムの社会実装に取り組んでいる。