イベント企画
トップコンファレンス5-2 システムとLSIの設計技術
2026/9/3(木) 15:30-17:30
第5イベント会場

座長:西澤 真一(広島大学)

15:30-15:50 講演(1) 秘密情報を公開しない構成選択により安定6ビット/セルを実現する全NMOS再構成可能PUF
Xu Shufan(京都大学 大学院情報学研究科集積システム工学講座新津研究室 博士三年生)
【原発表の書誌情報】S. Xu, K. Liu, L. Chan, H. Tagawa, H. Shinohara, and K. Niitsu, “25.8 A sub-threshold all-NMOS reconfigurable PUF with secure configuration selection for stable 6b/cell,” in IEEE Int. Solid-State Circuits Conf. (ISSCC) Dig. Tech. Papers, San Francisco, CA, USA, Feb. 2026, pp. 438–439.
【概要】本研究では、秘密PUFデータを公開することなく安全な構成選択を可能にする再構成可能PUFを提案する。提案PUFは、0〜70°Cおよび0.6〜0.8 Vの範囲において、各セルから6ビットの安定したPUFデータ生成を実現した。有効ビット当たりの面積は253F²であり、サブスレッショルド領域での動作により16.8 fJ/bの低消費エネルギーを達成した。さらに、全NMOSセル構造によって長期的なNBTI劣化を抑制できることを、45時間の加速ストレス試験により確認した。
【略歴】2021年に東南大学電子科学工学科を卒業。2022年に早稲田大学大学院情報生産システム研究科修士課程を修了。2023年9月より京都大学大学院情報学研究科集積システム工学講座博士後期課程に在籍。現在、PUF回路設計、PUF後処理技術、ハードウェアセキュリティに関する研究に従事。
15:50-16:10 講演(2) FIawase:網羅的なシステムレベル影響評価に向けたSET故障注入フレームワーク
張 明涛(Kyoto University)
【原発表の書誌情報】M. Zhang, Q. Cheng and M. Hashimoto, "FIawase: A SET Fault Injection Framework Towards Exhaustive System-Level Impact Evaluation," 2026 31st Asia and South Pacific Design Automation Conference (ASP-DAC), pp. 251-257.
【概要】宇宙線などによりLSI内部の組合論理で一時的な信号値の反転が生じ、それがフリップフロップに取り込まれると、計算誤りやシステム停止の原因となる。本研究では、このような故障候補をシミュレーションで抽出し、スキャンチェーンを用いてFPGA上で高速に再現・評価するFIawaseを提案する。従来比1000倍以上の高速化を確認し、多数の故障ケースを現実的な時間で評価可能にした。
【略歴】2023年早稲田大学大学院修士課程修了。現在,京都大学大学院情報学研究科博士課程に在籍。デジタル回路の信頼性設計,デジタル回路におけるソフトエラー注入・検出,および近似計算に関する研究に従事。
16:10-16:30 講演(3) LMESN:スケーラブルかつ超低消費電力な時系列推論のためのリーク電流駆動型MOSFETリザバー
Li Haoyuan(京都大学 大学院情報学研究科通信情報システム専攻集積システム工学講座 特別研究学生)
【原発表の書誌情報】H. Li et al., "LMESN: A Leakage-Driven MOSFET Reservoir for Scalable and Ultra-Low-Power Temporal Inference," 2026 31st Asia and South Pacific Design Automation Conference (ASP-DAC), Lantau, Hong Kong, 2026, pp. 1124-1130
【概要】エッジ環境における時系列推論では、低消費電力かつスケーラブルな計算アーキテクチャが求められている。しかし、既存のアナログ・リザバーコンピューティングモデルは、消費エネルギーの大きさや再構成性の制約といった課題を有している。本研究では、標準CMOSにおけるしきい値電圧ばらつきを活用し、超低消費電力な確率的ダイナミクスを実現する、リーク電流駆動・パルスベースのリザバーコンピューティングアーキテクチャであるLMESNを提案する。
物理アレイサイズの制約を克服するため、本研究ではShift-Multi-Mask(SMM)手法を導入する。SMMは、マスクの巡回シフトによって大規模な仮想リザバーをエミュレートし、マスク更新に要するエネルギーを100分の1以下に削減するとともに、単一サイクルでの再構成を可能にする。さらに、タスクレベルの性能を向上させるため、ADCの量子化範囲とリザバーマスク構造を離散遺伝的アルゴリズムにより同時に最適化する、ハードウェア・ソフトウェア協調最適化フレームワークを構築する。
22 nm CMOSにおけるポストレイアウトシミュレーションと8種類の時系列データセットを用いた評価により、未最適化のLMESNベースラインと比較して、最大13.7%の精度向上および5倍の分散低減を確認した。また、既存のアナログモデルおよびニューラルネットワークモデルと比較して、同等以上の推論精度を達成しつつ、3〜7桁低いエネルギー消費を実現した。これらの結果は、LMESNがエッジ時系列処理に向けたスケーラブルで低消費電力、かつタスク適応型の物理リザバーコンピューティング基盤となり得ることを示している。
【略歴】2022年に西安交通大学の学士課程を卒業。現在、同大学の博士課程に在籍している。2025年4月より、京都大学大学院情報学研究科に特別研究学生として所属。主な研究分野は、量子誤り訂正(QEC)、ニューロモルフィックコンピューティング、およびそれらのハードウェア実装である。
16:30-16:50 講演(4) 分離型ホットキャリア注入と軽量多数決方式Strong PUFモードを備えた83F² 2T PUF
陳 振哲(京都大学 情報学研究科通信情報システム専攻佐藤研究室 D3)
【原発表の書誌情報】Zhenzhe, Chen, et al. "An 83-F2 2T PUF Featuring Isolated Hot-Carrier Injection and Lightweight Majority-Voting-Based Strong PUF Mode." 2026 IEEE Custom Integrated Circuits Conference (CICC). IEEE, 2026.
【概要】本研究では、分離型HCI安定化と軽量Strong PUFモードを備えた高密度2T PUFを提案する。180nm CMOSで試作し、83F²/bit、17.3fJ/bitを達成した。HCI後は−20〜100℃で誤り率がほぼゼロとなり、30M CRPを用いた機械学習攻撃にも耐性を示した。
【略歴】陳振哲は、2021年に中国・西安電子科技大学サイバー工学学院において工学学士号を取得し、2023年に早稲田大学大学院情報生産システム研究科において修士号を取得した。現在、京都大学大学院情報学研究科博士後期課程に在籍し、ハードウェアセキュリティに関する研究に従事している。主な研究分野は、物理的複製困難関数(PUF)、回路信頼性、およびRISC-Vアーキテクチャである。