イベント企画
情報教育の現状と未来〜情報教育課程の設計指針の改訂について〜
2025/9/4(木) 15:30-17:30
第2イベント会場
第2イベント会場
【企画概要】日本学術会議情報学委員会情報学教育分科会は、情報処理学会と連携して、2018年に「情報学の参照基準」、2020年に「情報教育課程の設計指針―初等教育から高等教育まで」を公表し、情報科目の教育の方針を示しました。その後の情報分野の急速な進化をふまえ、情報学教育分科会では情報教育課程の設計指針の改訂に向けた検討を行っているところです。 我が国の学術及び産業の推進に重要な案件であり、日本学術会議情報学教育分科会、情報処理学会、電子情報通信学会が主催し、大学及び高校の教員組織や情報関連する学協会と連携して公開シンポジウムを開催し、議論を行います。 | |
司会 | |
高岡 詠子(上智大学理工学部 教授) | |
![]() | 【略歴】東京都に生まれる.慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業,同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻博士課程修了,博士(工学).現在,上智大学理工学部教授.放送大学客員教授.日本学術会議連携委員, 本会フェロー.情報教育、医療情報学、自然言語処理の研究に従事.主な著書:チューリングの計算理論入門,シャノンの情報理論入門(講談社ブルーバックス),初歩からの情報科学('25), 計算の科学と手引き('19),計算事始め('13)および情報科学の基礎('07)(放送大学教科書). |
15:30-15:40 開会挨拶 | |
下條 真司(青森大学 ソフトウェア情報学部 教授) | |
![]() | 【略歴】1986年に大阪大学大学院基礎工学研究科で工学博士の学位を取得。大阪大学で助手、講師、助教授、教授、サイバーメディアセンター長を歴任。2023年4月より青森大学に着任。専門は情報通信、情報ネットワーク、インターネット・クラウド。 |
15:40-16:00 講演(1) 情報科を取り巻く現状と学習指導要領改訂に向けて | |
須藤 祥代(国立教育政策研究所|文部科学省 教育課程研究センター研究開発部|初等中等教育局 学校情報基盤・教材課/教育課程課 情報教育振興室、参事官(高等学校担当)付 産業教育振興室 教育課程調査官|教科調査官) | |
【概要】生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な進展を受け、学習指導要領の改訂に向けた議論が進められており、その方向性への関心が高まっている。中でも、小・中・高等学校における情報活用能力の抜本的な充実や、系統的な教育課程の構築、情報科の在り方は、大きな注目を集めている。こうした社会的背景のもと、本講演では、これまでに示された関連資料や文部科学省の現状の取り組みを紹介しつつ、現行の指導要領のもとでも取り組むべき授業改善の視点を考察する。特に、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、今すぐにでも実践できるものとして、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実の必要性とその実践について情報を提供し、情報科の今後の充実に向けたヒントを探る。 | |
![]() | 【略歴】国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部 教育課程調査官、文部科学省 初等中等教育局 学校情報基盤・教材課/教育課程課 情報教育振興室 教科調査官/参事官(高等学校担当)付 産業教育振興室 教科調査官。情報科初年度である2003年に東京都で教員として勤務を開始し、都立高校や中等教育学校を経て現職。NHK高校講座「情報Ⅰ」監修・講師、経済産業省「未来の教室」STEAM Library制作アドバイザー等を経験。生成AIや教育DX、探究・キャリア教育に関する実践事例提供も多数。 |
16:00-16:20 講演(2) 設計指針から参照基準へ | |
萩谷 昌己(東京大学名誉教授、情報処理学会会長) | |
【概要】2016年3月23日に公表された「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準 ― 情報学分野」(以下、参照基準)は、情報学という学術分野を定義するとともに、その学部レベルの専門教育を特徴づけている。その中で、特に情報学をメタサイエンス(他の多くの学術分野の基盤となる分野)と捉え、それが故に、専門教育と接続する初中等教育および他分野における専門基礎教育の中で、情報学を教えること、すなわち情報教育の必要性と重要性について説いている。情報教育課程の設計指針はその考えに沿って策定されたもので、情報教育の親学問として情報学を想定していることは言うまでもない。どの分野においても、研究と教育は車の両輪のように発展する。教育の進展に影響されて研究の分野が形作られることも自然である。本講演では、参照基準の策定の中心にいた講演者が、この度の設計指針の改訂に沿って参照基準を改訂する可能性について検討する。 | |
![]() | 【略歴】1988年 京都大学理学博士.2001~2022年 東京大学大学院情報理工学系研究科教授.2021年~ 東京大学 Beyond AI 研究推進機構長.2022年~ 東京大学名誉教授.2011~2017年 日本学術会議会員.2020~2022年 情報処理学会副会長.2025年6月~ 情報処理学会会長. |
16:30-17:20 総合討論 | |
司会 | |
中山 泰一(電気通信大学大学院情報理工学研究科 教授) | |
【討論概要】日本学術会議は,2018年に「情報学の参照基準」,2020年に「情報教育課程の設計指針―初等教育から高等教育まで」を公表しました.情報教育課程の設計指針は,情報学の参照基準で示された理念を具体化し,小学校から高等学校,大学までの情報教育を体系化し,各教育段階で情報学のうちから何を学ぶことが望まれるかを「情報教育の共通のものさし」として一貫した形で整理したものです.情報教育課程の設計指針は,いちど策定すれば終わりというものでなく,一定の期間の経過による改訂が必要です.日本学術会議情報学委員会情報学教育分科会では,2026年頃の公表を目指して,情報教育課程の設計指針の改訂に向けた手続きを進めています.最初に,パネリストの方々にそれぞれの立場から情報教育課程の設計指針についてご意見をお話しいただいた上で,フロアとの質疑応答を交えて議論を進めます. | |
![]() | 【略歴】1988年東京大学工学部計数工学科卒業.1993年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了.博士(工学).同年より電気通信大学において, 計算機システム,並列分散処理,情報教育の研究に従事.本会において,論文誌ジャーナル編集委員会編集長,教育担当理事,事業担当理事などを歴任.2014年度学会活動貢献賞,2016年度山下記念研究賞,2017年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞受賞.日本学術会議連携会員.本会フェロー. |
パネリスト | |
久野 靖(電気通信大学 特命教授) | |
![]() | 【略歴】1984 東京工業大学理工学研究科単位取得退学。理学博士。東京工業大学助手、筑波大学教授、電気通信大学教授を経て、2022から同大学特命教授。筑波大学名誉教授。情報処理学会 情報処理教育委員会、初等中等教育委員会、情報入試委員会、情報科教員・研修委員会各委員。日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 連携会員。プログラミング言語、ユーザインタフェース、情報教育に興味を持つ。 |
パネリスト | |
大場 みち子(京都橘大学工学部 情報工学科 教授) | |
![]() | 【略歴】982年(株)日立製作所入社. 知識工学応用研究, ミドルウェア開発に従事. 2010年-2022年公立はこだて未来大学 教授。2023年より現職.知的行動の記録と分析などの研究に従事. 2001年大阪大学大学院博士後期課程修了.博士(工学).日本学術会議会員. 本会フェロー, 理事(総務担当2009年度-2010年度, 事業担当2015年度-2016年度、長期戦略担当2022年度-), デジタル・ドキュメント研究会主査などを歴任. |
パネリスト | |
須藤 祥代(国立教育政策研究所/文部科学省 教育課程調査官) | |
![]() | 【略歴】国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部 教育課程調査官、文部科学省 初等中等教育局 学校情報基盤・教材課/教育課程課 情報教育振興室 教科調査官/参事官(高等学校担当)付 産業教育振興室 教科調査官。情報科初年度である2003年に東京都で教員として勤務を開始し、都立高校や中等教育学校を経て現職。NHK高校講座「情報Ⅰ」監修・講師、経済産業省「未来の教室」STEAM Library制作アドバイザー等を経験。生成AIや教育DX、探究・キャリア教育に関する実践事例提供も多数。 |
パネリスト | |
井手 広康(愛知県立旭丘高等学校 教諭) | |
![]() | 【略歴】愛知県立旭丘高等学校教諭.愛知県立大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了,博士(情報科学).プログラミングやデータサイエンスの教育に関する研究に従事.高等学校情報科の教科書や問題集,全国模試などの執筆にも携わる.情報処理学会初等中等教育委員会副委員長,同会情報科教員・研修委員会副委員長,日本産業技術教育学会理事,日本情報科教育学会理事などを務める.FIT論文賞(2017),山下記念研究賞(2022),学会活動貢献賞(2024)など受賞. |
17:20-17:30 閉会挨拶 | |
徳山 豪(東北大学 名誉教授) | |
![]() | 【略歴】東京大学理学研究科数学専攻博士課程修了、理学博士。 日本IBM東京基礎研究所、東北大学教授、関西学院大学教授を経て、現在東北大学名誉教授、関西学院大学フェロー。 専門は、理論計算機科学。 情報処理学会、電子情報通信学会フェロー。日本学術会議 情報学教育分科会 副委員長 として、情報教育の設計に携わる。 |