シンポジウム

 平成28年産業応用部門大会では,産業応用部門の各技術委員会が企画する14のシンポジウムを開催します。奮ってご参加下さい。(各シンポジウム内のサブタイトルは予定です)

S1: 鉄道事業におけるエネルギー消費の実態把握
8月30日午前   TER 交通・電気鉄道技術委員会(鉄道電気利用における省エネルギー・新エネルギー技術の効果の検証調査専門委員会)
 鉄道は他の交通機関に比べ環境優位性が高いと言われている。鉄道事業におけるエネルギー消費の実態について,地上,車上,運転の3つの部門において、各鉄道事業者等における実データの測定を踏まえた分析内容を紹介し,本委員会が目指す省エネ賦存量の把握,評価につなげていく。また,省エネ技術の定量的な効果についても整理し,紹介する。
  • 総論 〜鉄道事業におけるエネルギー消費〜
  • 開業から現在に至るまでの消費電力の推移
  • 同一線区におけるエネルギー消費量と季節変動
  • JR西日本における回生電力の有効活用に向けた取組み
  • 運転方法の工夫による直流電気鉄道車両の消費電力量変化の実態把握
  • 車両の省エネ技術の適用と具体的な効果
  • 車両の回生絞込みと補機エネルギーの実態把握
  • まとめ
  • 総合討論

 

S2: BACSにおけるインターオペラビリティの構築
8月30日午前   SMF スマートファシリティ技術委員会(BACS/BEMSにおけるオープンなインターオペラビリティの構築協同研究委員会)
 BACSシステムを構成するデバイス間(ネットワークが介在)のインターオペラビリティ(相互接続性)が確立して初めてデバイス間の情報の交換が可能となり,BACSの持つ諸機能が実現できる。オープン環境下のBACSにおけるインターオペラビリティの確立をBACSデバイス間,BACnetプロトコルとサービス,実現機能,インターネット活用の観点から論述する。
  • BACSデバイス間のインターオペラビリティ
  • スマートBACSの技術動向
  • インターオペラビリティとBACnet
  • BACSの機能とプロトコルサービス
  • インターオペラビリティによる機能の実現
  • 省エネ制御技術とインターオペラビリティ

 

S3: 精密サーボシステムの現状と課題
8月30日午前   MEC メカトロニクス制御技術委員会
 本シンポジウムでは,超高速・超高精度位置決め技術を必要とするナノスケールサーボシステムや,従前を凌駕する高速・高精度な速度制御,力・トルク制御を必要とする精密サーボシステムに関して,実際に研究開発を手掛けている技術者・研究者が集い,それぞれの製品に対する研究事例や課題を紹介しながら,これまでの研究成果を俯瞰しつつ情報共有を図り,精密サーボ技術の現状と課題,そして今後の展望について討論する。
  • 高速駆動実現のための波動制御
  • PWM型入力系の厳密線形化法と応用
  • ハードディスクドライブのヘッド位置決め制御
  • 精密サーボのための軌道追従制御理論
  • 高速・高精度位置決めのためのMEMSセンサ応用

 

S4: 鉄道オペレーションの技術開発の最近の動向
8月30日午後   TER 交通・電気鉄道技術委員会
 日本の鉄道技術を海外に輸出しようとする動きが盛んである。しかし,そのためには,日本の強みと弱みを的確に認識すること,海外における研究開発の方向性を把握すること,最新の技術開発の内容を理解すること,あわせて,国際規格に関する理解も重要である。本シンポジウムでは,鉄道技術の中核である鉄道のオペレーション部門を対象として,お招きした講師にこれらの視点から話題提供をいただき,会場をまじえて討議を行なう。
  • 鉄道オペレーション 日本の技術の特徴
  • ヨーロッパにおける鉄道オペレーションの研究の動向
  • 交通系ICカードデータを活用した運転整理結果の評価
  • 数理最適化を用いた鉄道オペレーションの研究開発の動向
  • 鉄道オペレーション分野の標準化ーIEC, ISOの動き

 

S5: 用途指向形モータとその支援要素技術の変遷と次世代展望
8月30日午後   RM 回転機技術委員会
 各々の用途から要求される低速・高負荷,高速高出力など多岐にわたる要求性能を満足する用途指向形モータが実用化され,モータ技術発展の先導的役割を果たしている。その技術変遷の中で,モータ設計によって様々な課題が克服される一方で,動作領域を拡大するための可変磁束技術やモータの高効率化,高トルク密度化のための三次元空間利用設計など,新たな取り組みが顕在化してきている。これらの進化は,モータ設計技術に加え,それらを支える周辺要素技術(評価,解析,製造,材料,部品)の技術革新によるところも大きい。本シンポジウムでは,用途指向形次世代モータとその支援要素技術の変遷と最新の研究開発状況について整理し,その次世代の姿,可能性,展望について纏めた成果を報告する。
  • 総論 -次世代モータと要素技術の展望-
  • 用途指向形次世代モータの技術開発動向①
     可変磁力モータの進化
  • 用途指向形次世代モータの技術開発動向②
     三次元空間有効利用技術
  • 用途指向形次世代モータ開発の最前線
     最新の評価・解析技術動向
  • 用途指向形次世代モータ開発の最前線
     製造技術の変遷と次世代技術展望
  • 用途指向形次世代モータ開発の最前線
     磁石材料,磁性材料,電線材料
     パワーデバイス、機構部品の最新開発状況
  • 総合討論

 

S6: 上下水道施設における電気技術の最新動向
8月30日午後   PPE 公共施設技術委員会
 わが国の上下水道事業は,人口減少社会を迎えるなか,厳しい財政状況下で,安心・安全,そして持続的なサービスを提供してゆかねばならない。このための課題を解決するべく,電気,情報,制御関連の設備,ならびに技術が,どのように貢献してきたか,また今後いかにあるべきかを,公共施設技術委員会が近年,調査専門委員会で採り上げて提言してきた重要テーマを通じて,最新動向も含めて議論し,新たな方向性を探りたい。
  • 挨拶
  • 上下水道施設におけるアセットマネジメント
  • 上下水道におけるアセットマネジメント事例
  • 上下水道におけるICT活用に関する検討
  • 上下水道施設におけるセキュリティマネジメント
  • 上下水道施設の信頼性向上への提言
  • 上下水道施設における環境負荷低減技術
  • 上下水道施設における低頻度大規模災害対策
  • 閉会挨拶

トップに戻る

S7: 電気・熱エネルギー機器及びICTの環境影響評価
8月30日午後   IIS 次世代産業システム技術委員会
 京都議定書発効以来,地球温暖化対策として様々な環境影響評価手法が検討され,様々な電気・熱エネルギー機器及びICT (Information and Communication Technologies) の開発が進められてきた。その経過は単純なものではなく多種多様な手法や製品が開発されてきている。本セッションでは民間企業の現役社員が電気・熱エネルギー機器及びICTの環境影響評価手法や製品を紹介し,次世代産業技術の方向性を探る。
  • インフラ設備の環境および社会的側面への配慮とその評価
  • JEM-TR改訂 電子回路基板の評価
  • ICTの環境影響評価:富士通グループの事例を中心に
  • 排熱回収型蒸気発生ヒートポンプ
  • 省エネ投光器X-teraso

 

S8: 高パワー密度化に貢献するACドライブ技術(SiCから最新モータ技術まで)
8月30日午後   MD 産業応用部門モータドライブ技術委員会
 SiC適用やモータ設計向上などの開発と進化熟成によって,今までにないモータドライブの技術向上がある。その効果として,高い温度特性による電流利用率向上やモータ設計の自由度向上などに加え,実装パワー密度向上が挙げられる。これらについての有識者によるシンポジウムは非常に意義があるものと考えられる。このような状況を踏まえ,これらの新しい導入技術とこの成果としての高パワー密度実装についての論文を集め,議論する場の提供を提案する。
  • 鉄道車両用電力変換器へのSiC適用事例
  • SiC適用モータ駆動インバータ製品
  • GaNデバイスを用いたサーボドライブシステムの高パワー密度化
  • SiC適用による変換器の高パワー密度化
  • 車載用高密度インバータ実装技術
  • 高出力密度・高効率可変界磁モータ技術
  • 討議

 

S9:移動体エネルギーストレージの技術動向 -次世代蓄電システムと自動車、鉄道、商用車への最新適用技術-
8月31日午前   VT 自動車技術委員会
 自動車各社からハイブリッド自動車や電気自動車の実用化が進み,自動車におけるハイブリッド技術やパワエレ技術は黎明期から普及拡大期を迎えようとしている。一方,世界的な自動車産業の競争に優位に立つために,電気エネルギーを移動体に搭載するためのエネルギーストレージデバイスの利用上の課題,電力変換・伝送技術,これに関連したエネルギーマネジメント技術等のトータルシステムとしての更なる技術開発が必要である。本シンポジウムは自動車技術会の協賛により,最新の蓄電池の技術動向,自動車,商用車,鉄道に関する各種の最新研究開発内容をご講演いただくことにより,シンポジウム参加者にとって電気に携わる立場で蓄電技術の新たな研究課題を見つけるヒントになることを期待している。次の世代に残すための明るい社会・素晴らしい環境をつくりあげていく一助になるよう情報発信したい。
  • 調査専門委員会の活動について
  • 移動体エネルギーストレージの動向
  • マグネシウム電池
  • ハイパー電池
  • 商用車への適用
  • 鉄道への適用
  • EV蓄電池リユース
  • 総合討論

 

S10: 需要家向けスマートグリッドサービスの実現に向けて
8月31日午前   SMF スマートファシリティ技術委員会(スマートグリッドに関する電気事業者・需要家間サービス基盤技術調査専門委員会)
 本調査専門委員会はスマートグリッドを需要家サイドからみて,関連サービスの実現に向けた電気事業者と需要家のインタフェースに関する国際標準規格をサーベイするとともに,日本のニーズを実現するための仕様を国際標準規格の審議の場に提案してきた。本シンポジウムではスマートグリッドに関する国際標準規格の審議状況と日本からの提案仕様を紹介し,関係諸氏による闊達な議論,ご意見を頂くことを期待する。
  • 電力需給情報連携サービスの動向調査(仮)
  • BEMSにおけるDRのイニシエートとエキスキュート
  • 国内ユースケースを実現する情報モデルのIEC CIMプロファイル
  • 地域エネルギー管理のための情報モデルの検討
  • 国内エネルギーサービスのユースケースと国際標準化対応(仮)

 

S11: 家庭等におけるエネルギー高度利用化技術動向
8月31日午前   HCA 家電・民生技術委員会
 産業部門や運輸部門のエネルギー消費の削減が進む中,家庭等の民生分野のエネルギー消費は1970年に比べて2倍以上に増加し,削減が進まない状況にある。一方,家庭等においてもスマートメータの導入やエネルギーの見える化,HEMSなどのエネルギー消費削減や有効利用のためのツールが開発されている。本シンポジウムでは,家庭等における省エネルギー・エネルギー高効率の観点から家庭等の状況,エネルギー監視・制御技術,各種機器自体の省エネ・高効率化およびそれを支えるデバイス・回路技術動向を述べる。さらに,家庭等に応用可能な他分野動向を述べる。
  • 総論
  • 家庭等の情報通信/ネットワーク等動向
  • スマート家電およびエネルギー監視・制御技術動向
  • 家庭等機器の省エネルギー・エネルギー高効率利用デバイス・回路技術動向
  • 家庭等機器の省エネルギー・エネルギー高効率利用技術動向
  • 家庭等に応用可能な他分野技術動向
  • 総括討論

 

S12: 人間支援に向けたセンサ応用技術
9月1日午前   IIC 産業計測制御技術委員会
 本シンポジウムは,産業計測制御技術委員会傘下の高度センサ応用に関する協同研究委員会活動の一環としてセンシング技術に焦点をあてる。センシング技術の応用例として,モーションコントロールや環境計測に限らず,人間支援にフォーカスした研究も注目されている。そこで本シンポジウムでは,画像センシングや力の相互作用に着目した研究報告を通して,解決すべき課題やその応用可能性について幅広く議論を行う。
  • 画像センシングと力ベースのモーションコントロール
  • 液晶広角中心窩レンズの開発 〜局所ズームユニットの設計〜
  • アクティブステレオ三次元計測による生体信号計測
  • 力覚情報に基づく操作補助機能を有する移動ロボットのための遠隔操作システムの研究
  • 高周波電圧印加法と慣性外乱を用いたブラシレスDCモータの低速センサレス制御
  • 機械操作熟達センシング

トップに戻る

S13: ITSの利活用による道路交通管理
9月1日午後   ITS  ITS技術委員会
 近年,インフラと自動車など移動体との連携,協調に関する施策が注目されている。ITS技術はこうした施策を支える中核的な存在であり,今後,さらなる展開が期待される。本シンポジウムでは,施策を実現するにあたり,現実的な視点に立脚し,必要となるITS技術およびその活用事について紹介する。さらに,将来動向を睨み,ITS技術のあり方についても討議する。
  • 高速道路におけるICTの活用
  • 高速道路休憩施設混雑情報設備の現状と課題
  • 第三者被害防止に向けた照明鉄塔に代わる低位置照明の導入
  • 交通流における車間制御機能のモデル化と利用に関する一検討
  • 離散プローブデータに対するマップマッチング
  • カーナビへの豪雨情報サービス

 

S14: 磁気浮上と磁気軸受の原理と応用
9月1日午後   LD リニアドライブ技術委員会(磁気浮上技術調査専門委員会)
 磁気浮上,磁気支持に関する技術では,ベアリングレスモータなどの駆動と支持を兼用した新たな技術が登場している。これまでの分類の方法は,能動的なものと受動的なものに大きくわけるものであった。この方法では新たな技術を明確に分類することが困難である。そこで,磁気回路を兼用/専用するものといった見方から再分類を行い,この分類方法により昨今の動向を調査した。また,磁気制振技術の実用例を特別に講演する。
  • 磁気浮上技術の体系化
  • 磁気回路専用型(平面運動)磁気支持の動向
  • 磁気回路専用型(回転運動)磁気支持の動向
  • 磁気回路兼用型(平面運動)磁気支持の動向
  • 磁気回路兼用型(回転運動)磁気支持の動向
  • リニアモータ駆動型制振装置による高層建物の制振技術

 

オーガナイズドセッション

 平成28年度産業応用部門大会では,2つのオーガナイズドセッション(OS1,OS2)を開催します。奮ってご参加下さい。

OS1: 産業応用を目指す先端制御システム
8月30日午後   IIC 産業計測制御技術委員会(先端制御システムの産業応用に関する協同研究委員会)
 提案委員会は,制御理論研究者と現場技術開発者の協力や交流によって,先端制御理論やロボット技術の実用化を促進することを目的として活動している。メンバーには企業の制御技術者も多数参加しており,製品化の視点から産業界における応用の可能性や問題点などを調査してきた。この活動の一環として,先端制御システムの理論と応用に関するセッションを提案する。
  • LQ制御に基づく電動パワーステアリングシステムの構築
  • 慣性計測装置を用いた回転積荷の搬送制御
  • 遺伝的計算を用いた決定木学習におけるデータセットの自動生成
  • DNAフィードバックレギュレータの安定性に関する研究

 

OS2: 論文賞受賞記念講演
9月1日午前   平成28年電気学会D部門大会実行委員会
 D部門誌およびD部門英文論文誌に掲載された学会の電気学術振興賞(論文賞)および2016年のD部門論文賞受賞者による受賞記念講演をオーガナイズドセッションの一つとして開催する。受賞内容のみならず,提案に至った経緯やその過程を苦労話なども交えてご講演いただく予定である。

電気学術振興賞 論文賞

佐藤孝洋, 五十嵐 一, 高橋慎矢, 内山 翔, 松尾圭祐, 松橋大器:
トポロジー最適化による埋込磁石同期モータの回転子形状最適化
電気学会論文誌D, Vol. 135, (2015) No. 3, pp. 291-298.

Abstract: This paper presents a new topology optimization method based on normalized Gaussian network (NGnet). In this method, the machine region is subdivided into small elements whose material states are determined from the output of NGnet so that the objective function is extremized under the given constraints. The present method is applied to shape optimization of the rotor in an interior permanent magnet motor. The rotor shape is optimized to minimize the torque ripple while keeping the average torque. It is shown that the optimization halves the torque ripple while the average torque remains unchanged. This result was validated through a comparison between the computed and measured torques.

 本論文では,規格化ガウスネットワーク(NGnet)を用いた新しいトポロジー最適化法を提案する.本手法では,最適化対象の領域を小さなセルに分割し, 与えらえられた拘束条件の範囲内で目的関数が最大(最小)となるように, 各セルの材料状態(例えば,鉄心/フラックスバリア)を決定する.NGnetは空間的に一様に配置された規格化ガウス基底の重み付き総和で表される.そしてNGnetの出力値によってセルの材料を決定する.最適化では,ガウス基底の重み係数を遺伝的アルゴリズムで決定する.
 本論文ではIPMモータのトルク特性が最適となるように,回転子形状と トポロジーを本手法により最適化した.最適化の結果,平均トルクを維持したまま,トルクリップルを半分程度に減らすことができた.さらに,本最適化結果に基づいてIPMモータを試作し,トルク特性を実測したところ,予想通りの結果が得られ, 本最適化法の有効性が実験的にも確認された.


秋田 学, 中島大輔, 渡辺優人, 稲葉敬之:
A Feasibility Study on Multiple Frequency CW for Landing Radar
IEEJ Journal of Industry Applications(英文論文誌D),
Vol. 4, (2015) No. 2, pp. 91-97.

Abstract: Landing radar that measures the velocity and the altitude of the airframe has been developed for the sensor, which helps safe landing. In applications where the observation range is limited to a very short range such as the final stage of landing, we can expect to obtain a high signal-to-noise (S/N) ratio. In these situations, the multiple frequency continuous wave (CW) with MUSIC (MUltiple SIgnal Classification) algorithm is considered to be useful for achieving a high resolution with a low sampling rate of several tens of kilohertz and relatively low-speed signal processing. In this paper, the multiple frequency CW with 1D and 2D MUSIC algorithm to measure the altitude is described. The simulation shows that the bias errors in both methods are less than 1% of the altitudes. The random errors of 1D MUSIC and 2D MUSIC are 1.3%-1.7% and 0.8%-1.0%, respectively. The random errors of 2D MUSIC are smaller than those of 1D MUSIC. We also show the fundamental experimental results obtained in an athletic field using the radar fitted on a cage lifted by a crane. We could obtain stable estimation results on altitudes between 1.0m and 7.0m. These results indicate that the multiple frequency CW radar is one of the effective tools for landing radar in the final phase of landing.

 機体と地表面の相対速度と距離を測定する着陸レーダは,機体の安全な着陸を補助するセンサとして開発がなされている.着陸の最終フェーズのように,観測域がごく近距離に限定されるような応用においては,レーダで計測されるデータは高いSN比が確保されることが期待される.このようなシチュエーションにおいては,送信ピーク電力が抑えられ,かつ数十kHz程度の低速のA/D変換機および低速の信号処理にて高い距離分解能が得られるレーダ変復調方式として,多周波CW方式が有力な候補であると考えられる.本論文では,MUSIC法等の超分解能法(一次元MUSICおよび二次元MUSIC)を用いた多周波CW方式の信号処理アルゴリズムを示す.シミュレーションにおいて,バイアス誤差に関して高度の1%程度,ランダム誤差については一次元MUSICおよび二次元MUSICでそれぞれ1.3%~1.7%,0.8%~1.0%程度であり,二次元MUSICのランダム誤差が一次元MUSICのランダム誤差よりも小さいという結果が得られた.また,運動場において,クレーン車にレーダを取り付け,基礎実験を実施した.上記アルゴリズムを用いて高度1.0m~7.0mの間で安定した計測結果が実験においても得られることが確認された.以上の結果により,多周波CW方式が着陸の最終フェーズにおける着陸レーダの変復調方式として有効であることが示された.

トップに戻る

平成28年産業応用部門 部門論文賞

崎村直秀,吉田圭佑,大橋駿裕,大石 潔,宮崎敏昌:
Fine Tracking Control System based on Double Equivalent-Perfect Tracking Control System and Error-Based Disturbance Observer for Optical Disk
IEEJ Journal of Industry Applications, Vol.4, (2015) No.1, pp. 1-10.

Abstract: Recently, high-precision tracking control has been required for optical disks. For this purpose, we have previously proposed a tracking control system that is composed of an equivalent-perfect tracking control (E-PTC). However, the conventional control system is not able to operate the inverse system properly for the state equation. In this paper, we propose a new double E-PTC system. With this new system, the inverse system for the state equation operates properly. In addition, we propose a double E-PTC system with an error-based disturbance observer using a notch filter for non-periodic disturbance suppression. The proposed system achieves more precise control and experimental results demonstrate its effectiveness.

 本研究では、著者らが発明したエラー予測型フィードフォワード制御系を基礎に、光ディスク装置のヘッドの上下方向のフォーカスサーボと左右方向のトラッキングサーボの両方のボイスコイルモータに対して、最速追従推力ベクトルを予測してモータ駆動を実現する2次元エラー予測型フィードフォワード制御系を新しく開発する。さらに、トラッキングとフォーカスのエラー信号の基本波成分と高調波成分を予測して高速高精度追従制御法も開発する。これにより、最速完全応答のナノスケールモータ駆動制御法を確立し、実験によりその有効性を確認する。

小俣晋平,清水敏久:
家庭用太陽光発電用パワーコンディショナの入出力EMIフィルタ設計手法
電気学会論文誌D, Vol.135, (2015) No.12, pp.1207-1216.

Abstract: Electro-magnetic interference (EMI) noise radiated from the DC cable of photovoltaic power conditioner systems (PCS) is a serious problem for radio transmission equipment. In order to prevent the interference, the International Special Committee on Radio Interference (CISPR) is discussing to determine a noise regulation value for this issue. To reduce the radiated noise, this paper studies the attenuation characteristics of EMI filters that are connected to both the DC- and the AC-sides of the PCS. In this paper, it is pointed out that the EMI filters do not show their own attenuation characteristic if those are connected to the PCS. In particular, when EMI filters are connected to both the DC- and AC-sides of the PCS, a specific series resonant frequency is observed and deteriorates the attenuation characteristics of both EMI filters. In order to prevent this problem, a design method for EMI filters which can reduce the common-mode EMI noise effectively, is proposed in this paper. Further, the effectiveness of the proposed method is confirmed through experiments.

 太陽光発電用パワーコンディショナ(PCS)と太陽電池を接続する直流配線から放射される電磁ノイズは放送波に対する深刻な電波障害を引き起こし始めている。このような障害を防止するため、IEC(CISPR)ではノイズ規制方策について検討を行っている。本論では、PCSの交流出力側に加えて、直流入力側にもノイズフィルタを挿入した場合のノイズ抑制効果について検討を行った。その結果、交流側と直流側の両方にノイズフィルタを挿入した場合、ノイズフィルタのノイズ減衰特性はそれぞれに固有のノイズ減衰特性が得られないこと、および新たに生じた共振特性によりノイズフィルタのノイズ減衰特性が悪化することを指摘している。さらに、ノイズフィルタの減衰特性の悪化要因を定量的に分析するとともに、効果的なノイズフィルタの挿入方法について検討を行っている。最後に実験装置を用いた検証実験を行い、本論の解析の妥当性を実証している。

大明準治,足立修一:
設計レス非線形状態オブザーバに基づく弾性関節ロボットアームの振動抑制制御
電気学会論文誌D, Vol. 135, (2015) No. 5, pp. 571-581.

Abstract: The purpose of our study is to achieve dynamic model-based control of a nonlinear elastic-joint robot arm. We previously proposed a plug-in feedback scheme for vibration-suppression control of a serial two-link robot arm with joint elasticity due to a Harmonic-drive gear. The serial two-link arm simulates the 1st and 2nd joints of the SCARA-type robot or the 2nd and 3rd joints of the PUMA-type robot. In order to suppress the arm-tip vibration of both robot types, it is important to control the basic two-link arm. We proposed a torsion-angular-velocity feedback (TVFB) scheme, which can be plugged into existing joint servos (PI velocity controllers) using a nonlinear state-observer based on a physically parameterized dynamic model of the elastic-joint robot arm. The feedback gains of the observer are set to be identical to the PI gains tuned for the existing joint servos. Thus, the nonlinear observer, which estimates the torsion-angular velocity, is designless. This paper proposes a simple gain-scheduling scheme with a few hand-tuned state-feedback gains for improving the stability of the TVFB, taking the arm-posture and payload changes into consideration. We only have to manually tune a few state-feedback gains. Several experiments are conducted to demonstrate the vibration-suppression and fast-positioning capabilities of the improved TVFB using the elastic-joint robot arm.

 自動化ラインで多用されるシリアルリンク型のロボットアームは,減速機の弾性によって先端が振動しやすい。この振動は各軸を1入力1出力系+外乱と見なすと解決困難で,多入力多出力の非線形連成振動系に基づく振動抑制制御系を設計すべきである。著者らは既に,この振動抑制制御系として,非線形状態オブザーバを構築し,既存の速度PI制御系にプラグインできる状態フィードバック方式を提案した。このオブザーバは,ロボットアームの非線形動力学モデルをそのまま内蔵し,オブザーバゲインにはロボットアーム各軸の速度制御系と同じPI制御ゲインを使用する。物理パラメータさえ精度良く推定されていれば,線形化などでオブザーバ用の状態空間モデルを導く必要はなく,オブザーバを設計レスにできる。そして,速度制御系へのプラグインとして,オブザーバによる軸ねじれ角速度の推定値を状態フィードバック(TVFB:Torsion-angular Velocity FeedBackと名付ける)する。TVFBは手調整が容易であり,産業用など既存のロボットコントローラに導入しやすい利点がある。本論文では,設計レスの非線形状態オブザーバに基づくTVFBの改良と,TVFBを用いた速度制御系を内側のループに持つ位置制御系の評価について述べる。TVFBの改良では,軸ねじれ角速度推定値のフィードバックゲインにおいて手調整結果に基づく簡易なゲインスケジューリングが慣性変動に対する安定化に有効であること,位置制御系での評価では,PTP動作やCP動作における振動抑制制御の有効性を確認し,さらに位置制御ゲインを上げることによって位置決め整定時間の短縮ができることを示す。

田中 晃,山本 修,荒 隆裕,堺 和人,小室修二:
演算子インピーダンスの周波数特性を利用した同期機諸定数の簡易算出法
電学論D, Vol.135, (2015) No.10, pp.1040-1046.

Abstract: This paper presents a simple method for determining synchronous machine quantities: d- and q-axes time constants and reactances. This method determines them only by drawing additional lines in the frequency characteristics of operational impedances. A new systematic drawing strategy for determining transient/subtransient open-circuit time constants and the d-axis transient reactance is proposed. The frequency characteristics of operational impedances are obtained by the standstill DC test using a small DC power supply. Since the rotational test becomes unnecessary, the proposed method is suitable for tests in a factory. The validity of the proposed method was demonstrated with a numerical calculation example on a large-capacity machine (800MVA, 25kV, 2 poles, 60Hz) and an implementation test on a small-capacity machine (10kVA, 200V, 31.9A, 4 poles, 50Hz).

 本論文では、演算子インピーダンスの周波数特性グラフに補助線を描くことのみによって、同期機諸定数(直軸および横軸の時定数とリアクタンス)を簡単に求める方法を述べている。特に、直軸と横軸の開路過渡時定数ならびに開路初期過渡時定数、さらには直軸過渡リアクタンスを求めるためのシステマティックな作図法を新たに提案している。演算子インピーダンスの測定には「直流試験法」を用いる。直流試験法は小容量の直流電源を用いた静止試験であり、一回の静止試験によって商用周波数から0.1Hz以下の極低周波までの電動機や発電機の演算子インピーダンスを精度よく測定できる特長がある。また、回転試験が不要となることから大形機の工場試験に適すると考えている。800MVAの火力発電用同期機発電機に対する数値計算例と10kVAの積層磁極形同期機に対する実機実験例を示し、提案法の妥当性を明らかにしている。

伊東淳一,野口健二,折川幸司:
非接触充電システムと電気二重層キャパシタを用いた電動アシスト自転車システムの開発
電学論D, Vol.135, (2015) No.12, pp.1225-1236.

Abstract: This paper presents a wireless charging system that utilizes an electric double layer capacitor (EDLC) as a power source for an electric assisted bicycle. The proposed system was optimized in terms of miniaturization. First, the minimum energy of the EDLC was evaluated. The results showed that the energy source in the proposed system can be smaller than that in the conventional system when the energy density of the EDLC is improved more than 1.52 times. Second, the coil of the wireless power transmission and the charger were analyzed. Short- and open-type coils of the same size were compared in experiments. The results showed that the short-type coil can be further miniaturized than the open-type coil at the same resonance frequency. Third, the volumes of the EDLC and converter were evaluated. The results showed that the volume of the boost type can be reduced by 30% compared to that of the buck type. Finally, in order to reduce the number of devices in the proposed system, the diode bridge rectifier was replaced with a three-phase inverter. This reduced the number of devices of the proposed system by one-third.

 本論文では,電気二重層キャパシタ(EDLC)と非接触給電技術を組み合わせた電動アシスト自転車システムの小型化を目的として,システム全体の検討を行った。まず,アシストに必要なEDLCのエネルギーを検討した。その結果,今後EDLCのエネルギー密度が現状よりも1.52倍以上向上すれば,EDLCの体積が従来用いられているリチウムイオン電池の体積より小型になることを明らかにした。次に,コイルの大きさを考慮した非接触給電用コイルを検討した。実機検証により,非接触給電用コイルの共振周波数を同じに設計する場合,新たにコンデンサを外付けするショート型コイルが,コイル巻線間の寄生容量を利用するオープン型コイルよりも,コイルサイズを小型に設計できることを明らかにした。さらに,EDLCを含めた電力変換システム体積を検討した。損失解析と体積計算により,電動アシスト自転車の電力容量(384W)では,昇圧形変換器が降圧形変換器に比べ体積を30%小型に設計できることを明らかにした。最後に,システムの素子数を低減するために,本来モータ駆動用である三相インバータの寄生ダイオードを用いて,非接触で受電する交流電圧を整流する手法を提案した。実機検証により,システムの素子数を2/3に低減できることを明らかにした。

玉田俊介,中沢洋介,色川彰一
A Proposal of Modular Multilevel Converter Using a Three-winding Transformer
IEEJ Journal of Industry Applications, Vol.4, (2015) No.5, pp.611-618.

Abstract: This paper proposes a new type of Modular Multilevel Converter (MMC) using a three-winding transformer. In general, MMCs require a buffer reactor in each arm, which increases the number of components required in the converter and the converter footprint. The proposed MMC with a three-winding transformer does not require buffer reactors. The mathematical representation of the proposed converter was first described. The operational performance of the proposed MMC was found to be identical to the typical MMC (with the buffer reactor topology) by making comparisons in the experimental tests on two physical prototype converters rated at 10kVA.

トップに戻る