電気学会全国大会講演要旨
5-083
高強度Bi-2223高温超伝導線材における熱暴走による座屈と顕著な劣化
◎梶田健太朗・井口聖威・高尾智明(上智大学)・柳澤吉紀・前田秀明(理化学研究所)
高強度Bi-2223線材は400-500 MPaの許容引張応力を持ち、23.5 Tを超える磁場中で150-250 A/mm2の高電流密度運転ができる可能性があり、1 GHz(23.5 T)の磁場を上回る超高磁場・コンパクトNMR磁石実現の有力な候補である。しかしながら、高電流密度での運転では、熱暴走によるコイル損傷が危惧される。特に高強度Bi-2223線材は、プレ圧縮によるひずみを内包しているため、熱暴走時にこれが解放されることで機械的な破壊が起こる可能性もある。本研究ではこの種の現象について、ヒーターを用いた熱暴走実験により調べた。その結果、高強度Bi-2223線材は熱暴走による温度上昇で座屈が起き、線材構造が破壊されることで顕著な劣化が生じることが明らかになった。