電気学会全国大会講演要旨
4-044
低周波信号重畳を前提としたモデルベース信号分離法を用いたPMSMの位置センサレス制御における位置推定性能改善法
◎李 亢・二村智洋・道木慎二(名古屋大学)・藤綱雅巳(デンソー)
高周波信号重畳によるPMSMの低速域位置センサレス制御法は騒音を招く問題がある。重畳信号の低周波化が静音化に有効だが、電流制御系の帯域と重畳信号の周波数が接近するため、フィルタによる信号分離法のフィルタ設計は困難になる。筆者らは既知であるパラメータとモデルから信号推定を行い、モデルベース信号分離法を用いることで、低周波信号重畳時にも制御性能を劣化させ難い手法を提案してきた。提案手法では、信号分離に軸誤差が存在しない場合のモデルを利用するため、位置情報が含まれる高調波信号は、電流制御系から厳密には分離できず、電流制御系の影響を若干受けることとなる。その結果、位置推定の応答性は、電流制御系の帯域と重畳周波数に依存して変化することとなる。そこで、本稿では、この影響を厳密に考慮することで、重畳周波数に依存しない応答性を得ることが可能な位置推定系の改善法を示す。