電気学会全国大会講演要旨
4-031
インバータ過変調領域での駆動まで考慮しつつ定常・過渡特性の両立を図るPMSM電流制御系の実機検討
◎近藤孔亮・道木慎二(名古屋大学)
PMSMの移動体駆動システムへの適用には、限られた電源電圧の中で駆動領域の拡大、高速なトルク応答が求められる。インバータ過変調駆動は、電源電圧の利用率向上に有効な手段であるが、変調率に応じた低次高調波電流が発生し、広帯域設計の閉ループ電流制御系においては制御性能の劣化を招く。定常的な安定性の維持には、電流制御系の帯域制限は有効であるものの、過渡応答性を犠牲にした設計となる。従って広帯域な電流制御系の下では高調波電流の補償が鍵となる。 本稿では、標準的な電流制御系、BSFを適用した電流制御系との比較を通じて提案している電流制御系が、過渡特性と過変調駆動時の安定性を高い次元で両立していることを実機実験により示す。