4-023
過渡状態を考慮した電圧ベクトル選択法により計算量削減を図るモデル予測制御に基づくPMSM電流制御系
◎嶋岡雅浩・大畠弘嗣・道木慎二(名古屋大学)
近年ハイブリッド自動車・電気自動車等の移動体の動力源として,小型高出力・高効率といった特徴を有する永久磁石同期モータ(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)が多く用いられている.移動体におけるモータ駆動システムに対する要求として,駆動領域の拡大や,応答の高速化が挙げられる.これらの要求を満たす制御系として,筆者らはモデル予測制御(MPC)に基づくPMSM電流制御系を提案し,その有効性や実現方法についての検討を行っている. MPC電流制御器は,PMSMの電流挙動の予測と評価を行い,適切なインバータ出力電圧の時系列パターン(以下,電圧パターン)を探索・決定する.この際,インバータが出力し得るすべての電圧パターンに対し,探索を行うため,それに伴う計算量が膨大になることが問題として挙げられている.そこで本稿では,計算量削減のための探索アルゴリズムの改良とそれにより生じた問題点の対策について検討する.