氷は低環境負荷材料であり、低温で安定な材料である。本研究では、氷の誘電的性質に着目した。極低温では、強誘電性をもつ氷として氷XIが存在するが、生成は大変困難である。著者らは、氷に直流電圧を印加し、そのまま77 Kまで冷却することで、氷XIと同様に分極を保持した氷を生成した。このように電圧を印加したまま冷却し、分極を保持させた物質をエレクトレットと呼ぶため、この氷を氷エレクトレットと呼ぶ。これまで筆者らは、氷エレクトレットを生成、温度上昇による脱分極電流を測定し、氷エレクトレットに蓄積される電荷量について報告してきた。本報告では、電圧印加時間、印加電圧値が電荷量に及ぼす影響について検討したので報告する。