電気学会全国大会講演要旨
2-069
ジシクロペンタジエン樹脂が高温絶縁特性に優れる理由(Ⅱ)
◎池野理沙・平井直志・冨手直人・増崎裕季・大木義路(早稲田大学)
エポキシ樹脂(E)とオレフィン系熱硬化性樹脂であるジシクロペンタジエン樹脂(P)にガンマ線を照射した後,光吸収,化学発光,赤外吸収により両試料の酸化の進行と,複素比誘電率と導電率の変化を比較した。ガンマ線照射により可視領域の光吸収が増大して両試料とも酸化すると分る。Eは複素比誘電率の実部が温度上昇,照射量増加に伴い著しく増加し導電率が増える。一方,赤外吸収の結果から,Pの方が酸化は起こり易いが,複素比誘電率の実部は殆ど変化がなく導電率は120℃を超えると減少する。この原因は,ガンマ線照射により,Eでは酸化が進行するが,Pでは重合が生じるためと考えられる。