電気学会全国大会講演要旨
2-046
ジシクロペンタジエン樹脂が高温絶縁特性に優れる理由(Ⅰ)
◎宮本真希・冨手直人・大木義路(早稲田大学)
エポキシ樹脂(E)とジシクロペンタジエン樹脂(P)にガンマ線を照射し,導電率を比較し,導電率変化の原因を示差走査熱量測定(DSC),熱重量分析(TGA)の結果より論じた。導電率は,Eでは照射量増加,温度上昇に伴って増加し,Pでは減少する。DSCスペクトルは,Eでは照射前後に変化しないが,未照射時のPでは一回目の測定で熱重合に起因する発熱が見られ,照射量増加に伴って発熱は小さくなる。また,二回目の測定では発熱は生じない。TGAでの初期分解温度は,照射量増加に伴ってEでは低下し,Pでは上昇する。以上より,Eではガンマ線照射により分子鎖の切断が進むため,導電率が上昇し,Pでは重合が生じ導電率が低下すると考えられる。