電気学会全国大会講演要旨
2-010
ポリトリシクロペンタジエンの粘度と誘電特性におけるマイクロシリカフィラー高充填の影響
◎吉田圭佑・小迫雅裕・石辺信二・匹田政幸(九州工業大学)・亀井伸人(RIMTEC)
電気絶縁材料に対する更なる高い耐熱性・耐電圧性などの要求に対応するため、筆者らはエポキシ樹脂の新しい代替材料として、オレフィン系熱硬化性樹脂に着目している。その代表例として、ポリトリシクロペンタジエン(Poly- tricyclopentadiene: P-TCP)が挙げられる。これまで、P-TCPがエポキシ樹脂よりも高耐熱性を有しながら、低誘電率、低誘電損率であることを報告してきた。また、このP-TCPなどのオレフィン系熱硬化性樹脂は、その硬化前の溶液状態での粘度がエポキシに比べて非常に低いため、フィラー高充填混合やその注型作業において非常に有利となる特徴を有する。同材料を実用化する上で、エポキシ樹脂等と同様にフィラー高充填系での各種特性把握が重要である。フィラー高充填の理由は、樹脂の線膨張係数や熱伝導率や機械的強度を制御するためである。そこで本報では、マイクロサイズのシリカフィラーを高充填したTCP混合溶液の粘度、その硬化試料の誘電特性および絶縁耐圧をエポキシ樹脂と比較検討した結果を報告する。