電気学会全国大会講演要旨
5-154
超電導ケーブルにおける液体窒素/絶縁紙複合絶縁系の動的電気絶縁特性
◎西町誠一郎・小島寛樹・花井正広・早川直樹(名古屋大学)
超電導ケーブルの絶縁設計においてクエンチ時などの突発的な熱ストレス下における電気絶縁特性の把握が重要である.そこで筆者らは,液体窒素(LN2)/絶縁紙(PPLP)複合絶縁系の動的絶縁特性を取得した.PPLPと半導電紙を平板電極と二クロムヒーターで挟んだサンプルをクライオスタットに収納し,T = 77 K, P = 0.1 MPaのLN2中において,交流高電圧印加かつヒーター通電時におけるサンプルの動的部分放電電圧(PDVdyn)および動的絶縁破壊電圧(BDVdyn)を測定した.その結果,PDVdynおよびBDVdynはジュール熱量Whの増加とともに低下し,Wh = 1000 JにおいてBDVdynが静的部分放電開始電圧(PDIVsta)を下回ることが明らかとなった.以上から,PDIVsta以下の絶縁設計においても,クエンチ時の過大な発熱によりBDに至る場合があることを示唆した.