電気学会全国大会講演要旨
2-011
液体窒素/ポーラス絶縁紙複合絶縁系の電気絶縁特性
西町誠一郎・松岡達矢・栗本宗明・小島寛樹・花井正広・○早川直樹(名古屋大学)
超電導ケーブルにおいては,液体窒素(LN2)/絶縁紙複合絶縁系の電気絶縁特性の把握および誘電損失低減が重要となる.そこで筆者らは,低損失のTyvekを用いた LN2/Tyvek複合絶縁系の部分放電(PD)開始特性を検討した.バットギャップを複数(NB=0,5,13)設けたTyvekを平板電極で挟んだサンプルをクライオスタットに収納し,T = 77 K, P = 0.1 MPaのLN2中において,交流高電圧を印加し,PD開始電界(PDIE)を測定した.その結果,NB = 0時のPDIEおよびNBの増加に伴うPDIEの低下率はともにTyvekの方がPPLP-Aよりも小さいことを明らかにした.さらにTyvek内部のLN2体積が一般積層部やバットギャップよりも相対的に大きいという算出結果を示した.以上から,絶縁紙内部のLN2が複合絶縁系の電気絶縁性能に影響を及ぼすことを示唆した.