電気学会全国大会講演要旨
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液体培地中の成分が高電界パルスによる大腸菌殺菌に及ぼす影響
◎村上祐一・村本裕二・清水教之(名城大学)
今回は液体培地の成分が高電界パルスによる大腸菌殺菌に及ぼす影響を検討した。実験試料は、NaCl試料(0.05 wt% NaCl水溶液)、Try+YE+NaCl試料(0.1 wt% Tryptone+0.05 wt% Yeast Extract+0.05 wt% NaCl水溶液)、YE試料(0.05 wt% Yeast Extract水溶液)にそれぞれ大腸菌を入れたものである。各試料に-4.4 kVのパルス電圧を60秒間隔で印加し、生菌率を求めた。 Try+YE+NaCl試料とNaCl試料の生菌率は同程度であり、YE試料のものより低い。高電界パルスを細胞に印加すると、細胞質内外のイオンの移動によって細胞膜の両側に電位差が発生する。そして、この電位差が高ければ、細胞膜に孔が形成される。無機イオンは、TryptonやYeast Extractに含まれるアミノ酸やペプチドより移動しやすいと考えられる。このため、NaClの濃度は高電界パルスによる大腸菌殺菌に影響を及ぼすことが考えられる。