電気学会全国大会講演要旨
6-268
パルスアークの入熱量に及ぼす電流遷移時間の寄与
◎籾井 平・岩尾 徹・湯本雅恵(東京都市大学)
TIG (Tungsten Inert Gas) 溶接法は,高品質な溶接法であるが,他の溶接法に比べて陽極への入熱が不足するため,溶接速度が低下してしまう。この欠点の解決方法の一つに,使用する電流をパルス波形し,陽極への入熱をコントロールする方法がある。陽極への入熱は,陽極近傍のアーク温度,電流,流速に従うため,電流波形のパラメータに決定される。本論文では,パルス波形のピークとベース電流の遷移時間に着目し,陽極への入熱量の解析を行った。結果として,異なる電流遷移期間ごとで,電流成分による陽極への入熱量は,陽極全体への入熱量は同一であっても,陽極への単位面積あたりの入熱量は,定常状態より陽極の中心に偏った。したがって,パルス電流波形を用いることで,溶融池形状を決定する駆動力に変化を及ぼすことが期待される。